- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000004213
感想・レビュー・書評
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プーさんでおなじみクリストファー・ロビン本人が書いたエッセイ。
プーさん作者ミルンの息子の本で、タイトルがこんなに可愛らしいとさぞかし微笑ましいものだろうと思いそうだけれど、全く違う。
プーさんの中で実名で描かれたことは、残念ながらクリストファーの人生に影を落としたと言わざるを得ない。
また、実際の父子の関係は、プーさんから読み取れるほど親密ではなかったらしい。
これらを私が知ったのは、十年ほど前にこれの続編にあたる「クリストファー・ロビンの本屋」を読んでだった。
彼が散々言われて来た、「あんな素敵なお父様がいて、さぞ幸福な少年時代だったでしょう」という言葉は私も思っていたことだったので、今作の訳者あとがきで石井桃子さん(そう、こちらもプーさんと同じで彼女の訳なのだ…)も書いていた通り、彼の本はショッキングだった。
今作は続編ほどはっきりとではないが、父親、プーさんという作品、そして世間の人々への辛辣な言葉が時折書かれている。
ただ、キツいだけでなく、少年時代の回想録としてもかなり良い作品で、当時の生活も生き生きと描かれている。
この表現力を父親譲りとは言ってはいけないのだろうけど…業を感じてしまいもする。
余談だけれど、今回今作を読もうと思ったのは、映画「ゴーン・ガール」を見たのがきっかけだった。
エイミーと両親を見ていて、クリストファー・ロビン!と思ったのだった。
ミルン夫妻にはエイミー両親と比べるのは馬鹿馬鹿しいほど愛情があったとは思うし、クリストファーもそう思っていただろうけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ごく普通の親子のお話。
………
もし、プーの四冊の本が、他の多くの本のようであったら──今年出版され、
次の年には忘れられてしまうような本であったら──何の問題も無かったろう。
また私が、ちがった種類の人間であったら、問題はなかったろう。
ところが、不幸にも、フィクションの上でのクリストファー・ロビンは死ぬことを拒み、
彼と、彼の生きている同名人は、いつもうまくいくというわけにいかなかった。
いま挙げた不幸──不幸と、あるときには思えたのである──のうち、
前のほうのものにたいしては、父をとがめなければならない。
あとのほうのは、私がわるいのである。
………
ごく普通の親子のお話なのだけれども、私は関連作品として、
「クマのプーさん」を紹介しない訳にはいかないし、この本自体、
「クマのプーさん」なくしては成り立たない。
それが彼の言う「不幸」なんでしょうね。 -
1200.90.5/23.9刷、並、函、元パラ、帯なし。
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タイトルだけ見ると、プーさんシリーズの続きだ、って思っちゃいますが、違います。世界で一番有名な男の子になってしまったクリストファー・ロビン・ミルンの子ども時代の自伝です。
有名になるって苦労するもんなんだね。自分の努力じゃないもんね。
でも、一番興味深かったのは、父アランの兄弟の写真のくだり。 3人兄弟の写真は「今からでは遅すぎる」にも出ています。白いレースの襟のフォントルロイ・スーツを着た7〜8歳くらいの男の子が3人、父親の足元で仏頂面をしてます。
でもこっちの本に紹介される20歳前後の3兄弟の写真は違う。天使のような二男ケンと悪魔のような長男(名前忘れた)すべてを心の中に隠した三男アラン。どんな写真なんだろうなあ〜。写真は出てないので、想像するっきゃないんだけど、とってもワイドショー的興味津々。
それに、父親の自伝には出てこない、息子から見た父の姿。父だってカッコ悪いとこは書かないもんなんだよね。
自伝は読んだのにプーさんの本を読んだことなくて、だから、この本読んで、クマのプーさんの本を読もう!って思いました。