- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000004398
作品紹介・あらすじ
フランス各地に今日もなお残存し、聖母マリアとして信仰の厚い対象となっている黒いマリア像。この聖母像はなぜ黒く塗られているのだろうか。キリスト教の浸透するよりはるか昔、ヨーロッパの古層にその起源を求めて旅立った著者は、キリスト教世界のうちに習合された民間信仰の存在を発見した。ヨーロッパ異教世界の復権。
感想・レビュー・書評
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南フランスを中心に、数百体にのぼる数が発見されている「黒いマリア」像。
像は一律に正面を向き、幼子を抱えている。
彼女たちの由来は何か?
一般的に「黒いマリア」は東方から来た女神たちの信仰に由来すると言われているそうです。
有名なのは以下の女神たち。
・イシス(古代エジプトの女神 オシリスの妹にして妻,ホルスの母とされた。)
・キュベレ(ゼウスの母神レアと同一視される)
・ディアナ(アルテミス)
しかし、著者はそれらの影響を退けつつ、自説を展開します。
それは、この地域にいたケルト(ガリア人)の大地母信仰が残ったものだというものです。
ケルト人の信仰はドルイドと呼ばれる僧侶によって司られていました。
彼らは霊魂の不滅を信じ,動植物の姿をとる神々を崇拝, 泉や森,とくにヤドリギ,オークを神聖視し, 犠牲をささげ占いをおこないました。
「黒いマリア」が見つかる場所はいつも泉のそばや、洞窟のそばなどドルイドたちが神聖視した場所でした。
では、この「黒いマリア」はキリスト教のマリアや東方由来の女神でなければ何者なのか。
彼はケルトの大地母神、ダナ(アンナ)を想定します。
のちにこのアンナはマリアの母、アンナとしてその地域で信仰されることになります。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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