散歩する精神

  • 岩波書店 (1991年2月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784000008860

作品紹介・あらすじ

この世界は、が限りなく生い茂る奥深い森だ。そして、人々が綾なすの交差する巨大な都市だ。この森と都市とを心ゆくまで歩きまわる詩人は、とを新たに発見・創造する。詩人であっての達人が、旅と書斎のなかで親しんできたさまざまな本と著者について語る自由闊達なのエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 「本を読むことは、その本の語り手と話を交わすことだ」「そして、本を通じて、他の時代の人びとと話を交わすということは、旅をするということと、ほとんどおなじだ」 旅では自分の前に開かれた未知の世界の空気を、自分の胸へ思い切り吸い込むことができる。いろんな人との出会いが心の栄養となるのは、旅も読書も同じ。

    「マリオンは典型的な古い北アメリカの町だった。…赤ん坊が生まれる。誰かが死ぬ。何も変わらない日々だけがのこる。だが、ありふれてみえる町の日々の一つ一つには、人がそこで生きている無言の物語が籠められている。」(アンダスンと猫)

    「一人の人生とは何だ。ハックスリーはそういうと、ちょっと黙った。それから、いった。じぶんの家にいて、鼻などほじりながら、日の沈んでゆくのをみている。そういうものだろうね。」(不思議の国のハックスリー)

    「足を引きずった野郎どもが三人、まず登場して歌う歌がじつにいい。Can do,Can do と、三人の野郎どもは歌うのだ。ラニアンが一番きらったのは、『あきらめる』ということである。」(ラニアンさん)

    …自分の日常で出会ったとしても笑みがこぼれ心が温かくなるだろうな、という言葉の数々は、いくら引用しても、し足りない。
    物語の登場人物の肩書や地位は、この本では問題とされない。平凡な町で日々を過ごし、何も特別な出来事に遭遇しているわけではない人が、本当に不意に、自分の人生について思いのよぎる瞬間があって、いわば、それを書きとめて集めたような本。
    「散歩する精神」というタイトルも、日常的であって詩的という2つの面を表現していて大好きだ。

    最後に、一番好きな物語からの引用を。「一個のじぶんが問題じゃなかったら、ジャズなんていったい何だっていうんだ。自分のやりかたをみつけるんだ。-You just have to keep on being yourself.」(ピーターとトランペット)
    (2010/9/14)

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著者プロフィール

福島県出身。詩人、児童文学作家、文芸評論家、翻訳家、随筆家。1960年、安保闘争で社会が大きく揺れている最中、早稲田大学の学生の時に「詩は書かれざる哲学を書くこと」と詩作を始める。1965年に詩集『われら新鮮な旅人』でデビューし、その後、『深呼吸の必要』(1984年)、『世界は一冊の本』(1994年)などで読者層を広げ、詩人として第一線で活躍し続けた。世界各地を旅して見聞を広め、人間の根源的な生き方について思索を深めた。その一方で、NHKの『視点論点』への出演や随筆集の執筆など、評論の分野でも活躍し、ほかにも『たべもの新世紀』『クローズアップ現代 2004年を読む アメリカ 超大国の不安』などに出演した。

「2025年 『混声合唱とピアノのための組曲 樹と人とはじまりのために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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