作品紹介・あらすじ
「所有権」として法律的に現象している近代的所有権について、規範論理的な意味をではなく、その現実的な社会現象としての構造を分析する。そして、所有権を個人と個人との間の社会関係として構成して、近代市民法の基礎構造を明らかにする。著者の研究の出発点となった記念碑的著作。今回、版を改め、新たに著者による解題を付した。
感想・レビュー・書評
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弁護士になった知人が、法律を勉強するのなら、イェーリングの権利のための闘争 を読めといった。
権利のための闘争を読んだら、じゃ川島 武宜を読めというので読みました。
はしがきの「法解釈がそれ自身の主体性を失い権力に隷従し、また、蒸しそうで頻瑣な教義学に堕するかぎり、それは無用となり或いは有害となるだけである」
というのが印象的でした。
経験的には、法律屋さんは、権力に隷従していて、主体性を失っていると感じていたので。
「物件法の基礎理論」という大学の講義に基づくものとの事。
読んでいったら、イェーリングの「権利のための闘争」 が参照してあったので、なるほど、方理論を連続的に理解しはじめるのに役立ちました。
「近代において、労働が生産手段・生産物とおなじく商品になるに至ってはじめて、生産手段の非所有者も商品所有者として、形式的には対等に対立し、法主体者となるに至ったのである」という記載に対して、集団所有から個人所有への展開が欠落していないか疑問に思った。
川島武宜の作品