児童文学論

  • 岩波書店 (1964年4月20日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000009225

感想・レビュー・書評

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  • 訳者あとがきを読んでから、本文を読めば良かった。
    石井、瀬田、渡辺という児童文学の三巨匠が訳したんだ。

    ちなみに、原著の"the unreluctant years"はamazon.comで一つのレビューもない。だろうな。

    虚心坦懐に本書のテクストを読んだ場合、古典として幾分かの価値があること(児童文学を文学として捉えることが最大の価値か)を認めつつも、賞味期限切れの部分が多々あることは否定できない。

    この50年間で児童文学は、その範囲を広げ、対象を子どもだけでなく、その他まで越境しているからだ。

    しかし、個々の作品の評価が難しくなっていることは、今も昔もまったく変わってはいない。

    ・題材:昔話、英雄話、ファンタジー、子どもの日常、歴史
    ・構成(方法)、考え(テーマ)、手段(ことば)の3つが文学的な質を大きく決定する。
    ・英雄物語は、それを生み出した英雄時代の人びとの理想と考え方をあらわす、永遠の文学。
    ・コールリッジ:詩は一字一句読解できた時より、全体としてわかった時のほうが多くの喜びを与えてくれる
    ・大人は時の浪費が許されている。しかし、若々しい成長期というものが、たいへん短い子どもの場合は、浪費してよい時間は、ほとんどない。※良書のみ与えるべき。
    ・『アリス』:二つの基準で書かれている。ここに書かれていることばは、子どもの心がもっている金のカギであけるにふさわしく、そのおくにかくされた意味は、人生の経験をつめばつむほど明らかになってくるたぐいのもの。
    ・H.バターフィールド:歴史小説は、歴史を、一種、われわれの個人的経験の延長に変えるものであり、たんに、われわれの知識の量をいくらかふやすことではない。

  • 西洋中心の児童文学論なのかな。
    昔話について「すべての民族が文学創造の天分をもっているのではない」というのだけど、勝手に差別的な気がして、時代遅れに感じる部分もありました。
    ただし、全般としては児童文学に対して大変優れた考察がなされていると思います。
    ぜひ何度も読み返してこのストイックな態度と価値観を自分のものとしたいものです。

  • もう一度、ゆっくりじっくり読みたいと思う。この本に出てくる作品を読んだ上で。詩や叙事詩、歴史小説などの私が全然読めてない児童書のジャンルは特に、読んでいても理解しきれてないな~と感じた。なのでもう一回、もうちょっと児童書を知った上で読み返したい。

  • とってもわかりやすくかかれています。
    文学のこどもに対してあるべき態度が頻繁に言及されてました。
    様々な作品の引用も多くなされているので、読みたくなって困った。

  • 2008/9/19

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著者プロフィール

1907年埼玉県生まれ。1951年に『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』『山のトムさん』、絵本に『くいしんぼうのはなこさん』『ありこのおつかい』(以上福音館書店)、翻訳に『クマのプーさん』『たのしい川べ』『ちいさいおうち』(以上岩波書店)、『うさこちゃん』シリーズ、『ピーターラビット』シリーズ(以上福音館書店)など多数。

「2022年 『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー KATY AND THE BIG SNOW』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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