精神病 下

制作 : ジャック・アランミレール 
  • 岩波書店
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000011761

作品紹介・あらすじ

20世紀後半の思想的潮流に多大な足跡を残し、現在ますますその革新性が認識されつつあるJ・ラカン。本書は、「セミネール」として知られるラカンの講義録の第3巻にあたるが、フロイトの新しい読みと現行の精神分析批判、自らの基礎概念の説明、そしてシニフィアンの病としての分裂病を論じ、ラカン思想の中核を伝える。従来の精神病理学の袋小路を打破し乗り超えようとする精神科医はもとより、広く心の科学を探究する人々にとって待望の書と言えよう。

感想・レビュー・書評

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  • シニフィアンの話がメインになってきてからのほうが面白かった

  • 上巻より続く

    シニフィアンとシニフィエ
    12 ヒステリーの問い
    13 ヒステリーの問い(2)〈女であるとは何か〉
    14 シニフィアン,それはそれだけでは何も意味しない
    15 原初的シニフィアンとそのうちのあるものの欠損
    16 狂者の秘書
    17 隠喩と換喩(1)〈彼の麦束は欲深くなく,恨み深くもなかった〉
    18 隠喩と換喩(2)シニフィアンの分節とシニフィエの転移
    19 講演,フロイトの一世紀
    穴の周囲
    20 呼び掛け,暗示
    21 クッションの綴じ目
    22 〈君は私に就いてくる人だ〉
    23 街道と〈父である〉というシニフィアン
    24 〈君は〉
    25 ファルスと大気現象

    そう,精神病という特殊なテーマのタイトルがついていながら,ラカンの主要な概念がたくさん出てくるのだ。シニフィアンとシニフィエという記号論の話や,隠喩と換喩という比喩表現,象徴界・想像界・現実界という三項については当然といえるけど,大文字の他者やクッションの綴じ目など。
    本書は1955年11月から1956年7月に至るまでの講義を記録したものだ。『精神分析の四基本概念』も講義録ではあるが,読みやすさでは断然本書の方が優れている。原著のセミネール集は全部で25巻分もあるようだが,講義年度によって,聴衆も違うのだろうか。本書の前半ではフロイトも分析の対象にしたというシュレーバーなる人物が書いた『ある精神病患者の回想録』についての詳しい説明と検討があったりして,論点が明確。上巻では何が精神病で何がそうではないのかという論点も明確だが,下巻になると,上述したラカン特有のテーマがいろいろ出てきて,精神病とどう関係しているのか分かりづらくなってくる。まあ,読みやすいといっても,読後明確な理解が残ったかというと自身はない。なので,この読書日記もこの辺で終了します。

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著者プロフィール

1901-81年。フランスの精神分析家。パリ大学医学部などで学び、サン=タンヌ病院などで臨床に専念。1964年にはパリ・フロイト派を創設した。1953年から始められたセミネールは多くの聴衆を集めるとともに、大きな影響を与え続けている。著書に、『エクリ』(全3巻、弘文堂)。

「2019年 『アンコール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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