ソシュールの思想

著者 : 丸山圭三郎
  • 岩波書店 (1981年7月15日発売)
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  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000012201

ソシュールの思想の感想・レビュー・書評

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  • 前半はソシュールの生い立ち。後半はソシュールの思想、考え方などについての説明、考察です。
    ソシュールについては初めてこの本で触れましたが、まず考え方がとても合理的。ソシュールがもしも後世に論文を残していれば、もっともっと著名な学者として名を遺したことでしょう。
    そう思わせてくれるソシュールの理論についての解説が書かれています。
    ただし、理解するまでに時間がかかる思想だと思います。とっかかりがつかめればとても納得がいきます。しかし、つかむまでが私は長かった…!
    福祉の考え方でナラティブアプローチというものがありますが、その考え方をご存知の方はもうちょっとわかりやすいかもしれません。
    『真実はいつもひとつ』と言っている某小学生探偵がいますが、ソシュールは違います。
    『真実は人の数だけある』と私はこの本を読んで捉えました。
    物事、それそのものに意味はありません。意味をつけるのは、それを感じ取った私たち自身です。
    これまで得てきた経験が誰しも違います。その分だけ考え方、捉え方があります。過去の思い出に、今ある現状に、意味をつけているのは私たち自身であるのだということを教えてくれた本でした。
    言語学学者による考え方の解説本ですが、考え方にかなり応用がききます。それこそ、今はやりの自己啓発にまさに当てはまることでしょう。大変有意義に頭を悩ませることができました。

    ぶっちゃけて言いましょう。一回読んでも意味わからんです。一気に読んでなんとなく意味が分かります。おそらく本当に理解するためにはもっと読み込むことが必要でしょう。私にとっては大変難しく、しかし、興味深い本でした。

  • これまでどうにも解らなかったシーニェ、シニフィアンのシーニュ理論が、ボンクラな私の頭でもわかったような気になれる。有難い本です。

    丸山圭三郎先生のソシュールの思想に対する敬愛(エロス)が強く感じられる素晴らしい本です。

    先生ご自身の奥底から出る問題意識によって言葉のわけわからなさや恐ろしさに迫られているため、私が長い間抱いてきた言葉に対する不信が氷解しました。

    是非「まえがき」だけでも読まれることをお薦めします。

  • レヴィ=ストロースの思考に影響を与えたものとして、ソシュールが挙げられる。レヴィ=ストロースは、ニューヨークの「新社会研究院(New School for Social Research)」でヤーコブソンと知り合い、彼を介してソシュールの言語学を吸収し構造人類学を打ち立てたように記憶している。ゆえにこの本を手に取った。第一級のソシュール解説本らしいので。

    言語学に関しては無知も同然だったが、とても刺激的で読みやすい。ソシュールの基本的な用語(ランガージュ、ラング、パロール、シーニュ、シニフィアン、シニフィエ、恣意性/必然性)を丁寧に説明されたのち、『一般言語学講義』の編集事情に触れ、彼の思想が『講義』においてどのように歪曲されていたのかを<原資料>との対照によって浮き彫りにする。また、第一回講義と第二・第三講義の内容の違いからソシュールがどのように思考を深めていったのか(第一次元:<構成された構造>と<構成する構造=主体>、第二次元:ラングの<記号学的構成原理>)、なぜ晩年はアナグラム研究に傾倒していったかを解き明かす。個人的に最も秀逸だったのが、ソシュール言語学と現代思想を扱った章。取り上げられているのはメルロ=ポンティ、バルト、サルトル、テル・ケル派だが、それぞれ違った接点でおもしろかった(特にメルロ=ポンティが気になったので、そのうち読んでみたい)。だけど全体を通して見ると、ずいぶん内容の繰り返しが多いように感じた。しかし、それだけソシュールの要点を強く伝えようという意図なのでしょう。ソシュールの洞窟のまだまだ入り口にいるような感じなので謙虚に何回でも読み直したい。

    最後に、、、読んでいてちらほらとレヴィ=ストロースの名前が出てくる。たしかにラング・パロールを人類学において潜在的社会構造と顕在的現象に置き換えて適用したというのは、言われてみて納得(どちらかというと私は、今までヤーコブソンの音韻論をイメージしていた)。だが気になるのは、ソシュールの動態的な言語観、つまり記号学的構成原理(恣意性)に基づく<構成する構造=主体>はすごくブルデューの理論に似ていると思う。たしか彼は、構造と主体に注目しそこに「実践」や「ゲーム」概念を援用することで、行為者(主体)が構造の前に無力ではない――構造を内面化し、流用・援用する能動的主体であり、それぞれの歴史や現実を作り上げながら、日々の生活を実践していること、そしてその実践そのものが構造を再生産、あるいは変化させているということを指摘したように記憶している。ソシュール、ただ一人の理論の中にレヴィ=ストロース、ブルデューという若干の共通点はもちながらも異なる考えをもつ二人をみることができる。ということで、レヴィ=ストロースがどういう風にソシュールの思考を受容していったのかを丁寧に調べてみる必要がある。そしてとうてい読む気の起きないブルデューさんに関しても少しくらいは…。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4000012207
    ── 丸山 圭三郎《ソシュールの思想 19810715 岩波書店》
     
     記号学の前にソシュールなし、ソシュールの後に言語なし(パロディ)。
    http://d.hatena.ne.jp/aedlib/20110329
     百科自伝 ~ 鍋島 一緋との電話 ~
     
    ── 彼女に「フランス語の言語学に関する論文を、日本語で書いて、
    誰が(同業者以外に)読むのか?」と訊くと黙りこんだ。
    http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6731628.html
     俗物って死語だったかな? ~ 言語学者K女との電話 ~
     

  • 池田清彦氏推薦

  • 9/22
    ソシュールの思想をわかりやすく。

  • ソシュールにとって言語は、(1)社会的産物であると同時に歴史的産物である。(2)人為、文化の産物、恣意的価値体系である。というこの2つからなると考えていた。

    ・コトバがあってはじめて概念が生まれる。
    ・シーニュに1つの機能、1つの価値を与えることが可能となるのは記号感の差異によってのみである。
    『個は全体があって初めて存在し、価値を生ずる。(p290)』これは主知主義や経験主義に反対する思想となり、この考え方を別な分野に持ち込んだのがレヴィ=ストロースなどの構造主義者となる。

    ただ、この本の中で一番気になったのは、「言葉は人間に個性を与えたが、同時に個性を奪った。一つの言葉が他人に理解されることで、複雑な生活様式を与えられたであろうが、文化を得た代わりに、真実は失ったかもしれない。」(川端康成『新文章読本』)という引用が一番気になった。

  • 読了

  • 2008

  • 素晴らしい!!もちろんソシュールの概念を描ききっているところも、それを初心者にもわかりやすく書いているところも素晴らしいけど、なにより、著者自身の考えがソシュールの概念と混ざり合って一つの解答を示してくれる。そして、なによりソシュールのラングというどちらかという非人間的でそこから抜け出すことのできない、閉塞感と絶望感を示すのに対してのパロールという彼の解答、ラングの中から意味をつむぎだしそれを突き破るという、自分たちのあるべき道を示しているところで、この本は単純な言語学、哲学の本ではなく、人はどうあるべきかを示した思想書だといえるだろう。

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