月の満ち欠け

著者 :
  • 岩波書店
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  • / ISBN・EAN: 9784000014083

作品紹介・あらすじ

内容紹介
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

著者について
佐藤正午(さとう しょうご) 1955年8月25日,長崎県佐世保市生まれ.北海道大学文学部中退.1983年『永遠の1/2』で第7 回すばる文学賞を受賞.2015年『鳩の撃退法』(小学館,2014年)で第6回山田風太郎賞を受賞.そのほかの著作に『ジャンプ』『身の上話』(光文社),『5』(角川書店),『アンダーリポート』(集英社),『小説家の四季』(岩波書店),『小説の読み書き』(岩波新書)など。本作『月の満ち欠け』 第157回直木賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 評価は高いのだけど、自分のように頭の悪い読者には時系列をグチャグチャにした設定はちょっと苦手。序盤、三角哲彦が人妻の正木瑠璃に一目ぼれし、恋人同士になったシーンはとても生々しくドキドキした。そこからは、複雑なストーリー展開と体温を一切感じない人物設定で一気に盛り下がる。正木瑠璃-->小山内瑠璃-->小沼希美-->緑坂るり。全体を通して、瑠璃の執着心は気持ち悪い。どうにかして三角哲彦に会いたい。その一心で瑠璃の輪廻転生する。これは愛なのか?世にも奇妙な物語なのか? ラストの章はなくても良かったのでは?②

  • 輪廻転生について。
    もちろん映画も観てきました!
    本書☆4,映画☆2(映画についても下の方で感想書いてます)


    誰もが1度は、死後のことや生まれ変わりを考えたことがあるのでは。
    でもなんだか口に出すのは阻まれるような、言葉にするにしても難しいかんじのテーマ。
    これを題材にすることを決めた作者さん凄いです。

    私自身は輪廻転生はあると思っています。
    学生時代に本気でこれを友人に熱弁したところドン引きされました、宗教的で頭がおかしいと。
    そこからは絶対に口にしなくなりましたが、
    この本を読んで同じ考えの人に巡り会えたような気分になりました(笑)

    輪廻転生を感じている本人もその周囲も受け止めるのは大変なことでしょう。
    その葛藤や順応を上手に表現されていて
    ミステリアスで深い作品でした。

    この壮大でミステリアスな物語をどう表現するのかなと
    映画を観にいきましたが、これは酷かった。
    チープな恋愛映画を観ている感覚。
    まずキャスティングミスなのでは。
    作者さん、直木賞作品の映画がこれで正解だったんですか。涙
    出てくるべき登場人物が出てこなかったり、
    キーマンがキーマンとしての役割をしてなかったり。
    原作なので忠実再現とまではいかないでしょうが
    これは物語が若干変わってきてしまっている。。。
    無理やり映画化する必要はなかったんじゃないかなぁ。
    輪廻転生という宗教的な話を大衆に受け入れてもらうためでしょうか。
    原作は良かったので非常に残念でした。

    輪廻転生。
    まだ解き明かされてない事柄なので想像が膨らみます。

    • 土瓶さん
      SHIORIさん、こんばんは~^^
      初コメですかね。よろしくお願いしますm(__)m
      私は映画だけ観てきたんですが、なんだかつまらなくて...
      SHIORIさん、こんばんは~^^
      初コメですかね。よろしくお願いしますm(__)m
      私は映画だけ観てきたんですが、なんだかつまらなくて……。
      そうですか。原作は良いのですね。
      読んでみようかな~。
      2023/01/13
    • SHIORIさん
      土瓶さん、初めまして。
      コメント&フォローありがとうございます(^-^)
      映画観に行かれたのですね。
      土瓶さんのような感想を持った方は多いと...
      土瓶さん、初めまして。
      コメント&フォローありがとうございます(^-^)
      映画観に行かれたのですね。
      土瓶さんのような感想を持った方は多いと思います(^^;
      映画中で分かりにく部分も原作ではしっかり描かれていますのでまた違った印象を抱くと思います。
      オススメとまではいきませんが。。。笑
      お時間があれば是非☺︎
      あまりコメントを頂くことがないので上手くお返事できてるか分かりませんが。。。
      2023/01/13
    • 土瓶さん
      お返事ありがとうございます。
      私、けっこうコメントする方なので馴れて下さい(笑)
      では〜<⁠(⁠ ̄⁠︶⁠ ̄⁠)⁠>
      お返事ありがとうございます。
      私、けっこうコメントする方なので馴れて下さい(笑)
      では〜<⁠(⁠ ̄⁠︶⁠ ̄⁠)⁠>
      2023/01/13
  • 誰もが不可能、あり得ない、とわかっていて、

    でも、憧れてしまう、『永遠に続く』想い。

    小説というものの醍醐味を存分に満喫できた。

    切なさの上に、ホッとした気持ちがポンと載せられて、温かな読後感。

    この作品のラストの更に後(のち)、

    小説に描かれていない部分で、2人はどんな言葉を交わすのかな。

    本作を紹介いただいたフォロワーさん、ありがとうございました。

    • aoi-soraさん
      shukawabestさん、こんばんは^⁠_⁠^
      素敵な感想です!
      確かに、小説に描かれていない部分…
      想像も膨らみますね。
      shukawabestさん、こんばんは^⁠_⁠^
      素敵な感想です!
      確かに、小説に描かれていない部分…
      想像も膨らみますね。
      2023/05/11
    • shukawabestさん
      aoi-soraさん
      ありがとうございます。オススメいただいた上にコメントもいただいて。
      淡い憧れや切なさの入り混じった不思議な読後感でした...
      aoi-soraさん
      ありがとうございます。オススメいただいた上にコメントもいただいて。
      淡い憧れや切なさの入り混じった不思議な読後感でした。50年以上生きてきて、初めての感触を味わうことができました。
      次は、三浦しをんさんの「風が強く吹いている」読んでみますね。その他にもいい本あったらオススメお願いします。
      最近、ブクログをサボってましたが、引き続きよろしくお願いします。
      2023/05/14
  • 映画化ってなってのと感動みたいなこともあって読んだけど私にはサスペンス的だった。

    瑠璃と言う女性が好きだった人の元へ転生を繰り返して会いに来るのだが

    時代が急に変わったり登場人物多くて簡単に読めなかった。

    ちょっと先でないかな…

    自分の産んだ子が、誰かの生まれ変わりで
    その人の元へ行っちゃうなんて、親としては寂しすぎるじゃん。

  • 今日ディーラーに車の点検に行って来た。
    待ち時間に読みかけのこの本を読む。
    物語もいよいよ終盤。
    参った、涙で視界が滲んでくる。
    そんな時に「お待たせしました」って営業さん。
    涙止まらないし、鼻水すすってるし、ちょっとおかしなおばさんて思われたかも。

    いやー、今年読んだ中で(大した数読んでないけど)間違いなくダントツ一番。
    ミステリーと恋愛がどちらも破綻せずに融合していて、この面白さ。
    佐藤正午の本は好きな本いっぱいあるけど、これ一番好きかなぁ。

    時間軸を行ったり来たりする展開や、すれ違う男女、SF要素が入っているいるところ、どれもこれもまさに佐藤正午なんだけれど、まったく使い古されてないしマンネリ感もない。
    純粋にその世界にはまって、どうしようもない心のありようにただただ途方に暮れてしまった。
    こんな恋したいよねー(笑)

    読みたい本もさほどなく、読んでも熱中せず、ブクログからは遠ざかり…
    ご無沙汰しております、フォロワーのみなさま。
    こんな私ですが、この本のレビューだけは書きたかった。
    一人でもいいからこの本を読む気になってくれると嬉しいなぁ〜

    • nejidonさん
      おお、vilureefさんのレビューが(笑)!!!
      何と何と嬉しいことでしょう。
      この日を待っておりましたよ。
      小説はあまり・・のワタ...
      おお、vilureefさんのレビューが(笑)!!!
      何と何と嬉しいことでしょう。
      この日を待っておりましたよ。
      小説はあまり・・のワタクシですが、読んでみようかと思っております。
      当たり外れが大きいので、外した場合はもう腹が立ってね(笑)
      しかも当たりは数少ないんですよね。

      また気が向きましたらいつでもレビューを載せて下さいませ。
      でもお仕事じゃないので、無理は禁物ですよ。
      2017/06/15
    • vilureefさん
      nejidonさん、アイコンの写真変わったんですね!(←今更??)
      私、nejidonさん、見つけられなくてどうしてるかなって思ってたんで...
      nejidonさん、アイコンの写真変わったんですね!(←今更??)
      私、nejidonさん、見つけられなくてどうしてるかなって思ってたんですよー!!
      ご無沙汰してます。コメントありがとうございます!

      体調、いかがですか?
      無理なさいませんように・・・。

      佐藤正午、私大好きなんですけれどレビューも少ないし、名前も売れないし・・・(^_^;)
      私はどんぴしゃなんですけど、かなり癖があるのかもしれませんね。
      私が大絶賛して、がっかりさせちゃったら申し訳ないです・・・。
      でも一度お試しを・・・(笑)

      私も、時々はブクログ顔を出すつもりでおりますので末長くよろしくお願いします(^_-)-☆
      2017/06/16
  • ブク友さんからのお薦めで7月15日に図書館でリクエスト。
    今月の20日にようやく手元に届き、遅読の私が2日間で読了。
    早い人なら半日もかけずに読み終えるだろう。
    ページをめくる手を止めて考え込む場面など、ひとつもない。
    それほどさらさらと読めるというのは、作者さんの確かな力量あってのものだろう。
    とにかく読みやすい。
    輪廻転生をテーマにした恋愛ファンタジーとでもいうのだろうか。
    多少ミステリーの要素もあり。
    割と使い古されたモチーフだが、情念に溺れず、かと言ってドライにも傾かず。
    「どうなる?」と展開を予想させる精密なプロットと絶妙な筆致で、上手い作家さん
    だなぁと感心しきり。

    物語は「瑠璃」という女性の生まれ変わりを軸として進む。
    ただこの女性が登場するのはお話が四分の一ほど進んでから。
    生まれ変わりのおかげで四苦八苦&右往左往する家族(特に男性は被害者と言っても
    良いほど)たちの方に、むしろ視点は多く当てられている。
    また、「瑠璃」がそれほどまでに相手に思いを残して死んでしまったのは「不倫」
    ゆえであり、その代償かと思うほど輪廻転生もなかなか首尾よくはいかない。
    ここまで周囲を混乱させてまで転生したいのかと少々辟易もするが、登場する家族たちの
    会話や回想から見えてくる細やかな心の機微が甘く切なくて、読みどころはこちらかと。

    興味深いのは、三度の転生が全て幼い少女の身を通して行われること。
    読み手としては、ここがもどかしいところ。
    たぶんこうなるだろうという着地点だったが、不倫相手はすでに中高年の域。
    対して、幼い少女である。この後の展開は・・相当辛くなりそうだ。
    ただ、序盤から登場している「小山内」という男の、ラストのエピソードにはじわっと来た。
    こちらを膨らませてもうひとつ書いてほしいくらいだ。

    自分自身で言えば、輪廻転生などしたくないな。
    他人の人生を乗っ取ってまで、自分の思いを遂げたくない。
    満ち欠けする月のように生まれ変わるよりも、樹木のように穏やかに満足して生きたいと願う。

    今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
    恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。
    でもお薦めしてくれたブク友さんを思い出し、感謝を込めてのレビュー。
    本当に久々の「小説読み」は新鮮な体験だった。

    • vilureefさん
      nejidonさん!!
      まあ、何と言うことでしょう!
      nejidonさんの本棚にはけっして並ぶことのないようなたぐいのレビューが!
      ブ...
      nejidonさん!!
      まあ、何と言うことでしょう!
      nejidonさんの本棚にはけっして並ぶことのないようなたぐいのレビューが!
      ブク友さんて私のことですよね?
      それなのに、今日までブクログ放置していて、ごめんなさいm(__)m

      いやー、でもうれしいな(笑)
      まさかまさか、読んでくださるなんて。
      ☆の評価はさておき、ページをめくる手が止まらなかったということは合格点かな(*^_^*)

      >今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
      恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。

      いやいや、恥ずかしいなんておっしゃらず(笑)
      とっても嬉しいです!!
      長年nejidonさんをフォローしていらっしゃる方々はびっくりされたかもしれませんが(^_^;)

      私こそ感謝です。
      たまにしか顔を出さない私でも、ブクログに帰ってくればnejidonさんがいて、こうして素敵なレビューを残してくださる。
      あー、嬉しい。
      今日はいい日になりました!
      2017/09/26
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!
      はい、ブク友さんというのはvilureefさんの...
      vilureefさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!
      はい、ブク友さんというのはvilureefさんのことですとも!!
      予約を入れてから直木賞を受賞されて、かなり焦りました。
      こりゃ、えらいこっちゃ!
      そんな作品なら、別に私が読まんでもええんちゃう?他にもおるやろ!
      でも心に決めたことなので、しっかり読ませていただきましたよ。
      星の数はご覧のとおりですが、佐藤さんという作家さんの巧みさは
      おおいに堪能させていただきましたよ=
      あはは、そうですね。他のブク友さんはびっくりされたかもです・笑

      いやいや、このレビューでvilureefさんにコメントをいただくなんて、
      ものすごく恥ずかしいです。テレテレです、もう。
      普段は手を出さないような作品も読むことが出来るって、ブクログならではですよね。
      自分の世界が広がったようで、とっても新鮮な機会でした。
      どうぞまた、面白い本に出会えたら教えてくださいね。
      2017/09/26
  • 直木賞受賞の感動的なストーリーなのだと思うけど…読みやすかったけど…私には刺さらなかった。残念。

    前世を記憶する子ども…というより丸ごと前世のまんま。で生まれ変わった事を周囲の人たちに気付かれるように隠す真似をしてる感じがしてならない。会いたい人に会うために生まれ代わり周囲の大人に事情を理解させて協力してもらう(させる?)…ちょっと身勝手ではないでしょうか??
    な〜んて思ってしまったのでした。

  • さらさらと読める まあ恋愛物語。
    瑠璃という女性と彼女に関わる三人の男性の物語なのだけど、貫かれている愛は瑠璃のひたすらな愛であり、その愛が数十年の時を越えて綿々と繋がって行くのがホネ。
    ミステリアスな要素を持たせながらも理屈っぽくなく哲学的でもなく ともかく淡々とした静謐な筆力で最後まで読み手を引っ張って読了させてくれる。

  • 入り組んでるストーリーを書ける作家さんは本当にすごいなと尊敬する。
    それぞれの関わり合い方が繊細だし、憎めないキャラを作り出すのが上手。

  • レビューを見て読んでみた。
    好きか嫌いかと言われたら、嫌いじゃない。
    けど好きかと言われたらわからない。

    生まれ変わりは抵抗なく受け入れて読めたが、
    実際自分の家族が誰かの生まれ変わりで、元の人生の思い残しのためになりふり構わず行動しだしたら素直に協力できるか自信がない。

    だいたいは小山内さんみたいに妻の話を信じないで精神的に参ってると決めつけてしまうんじゃないかな。そして外でそんなこと言うなよ!って口止めする。

    瑠璃は三角に会いたい一心で三度も生まれ変わった。
    確かに皆さん書いているように、そこまで執着するほどの関係かなと疑問に思う。
    育ってきた環境、正木との夫婦関係を考えると、わずかな愛(と思い込んで)にすがるような感じだったのか。会えないからこそ執着したのか。
    相手の大学生が自分と同じ熱量でいてくれるかわからないのに。

    最後に小山内さんが自分のまわりのサインに気づきかけていたが、もし私だったらと考えると怖かった。
    そういう目で家族や友人を見たことがないし心当たりもないけど、ふと気づいたら怖いだろうな。


    興醒めなことを書くと、舌を出して笑う女性に出会ったことがない。男性作家ならではの女性の仕草ではないかと思ってしまった。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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