岩波文庫的 月の満ち欠け

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 557
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000014113

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞作待望の文庫化!

あたしは,月のように死んで,生まれ変わる――この七歳の娘が,いまは亡き我が子? いまは亡き妻? いまは亡き恋人? そうでないなら,はたしてこの子は何者なのか? 三人の男と一人の女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく,この数奇なる愛の軌跡.プロフェッショナルの仕事であると選考委員たちを唸らせた第一五七回直木賞受賞作,待望の文庫化.(特別寄稿:伊坂幸太郎)

感想・レビュー・書評

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  • 生まれ変わりをテーマに、人の価値観、自分が信じられない事柄の受容、愛のかたちを描いた、岩波文庫風の純文学

    (小説の表紙に書かれている程度のネタバレが含まれています)

    直木賞を受賞した本作は、生まれ変わりという非現実を扱っているという意味でSFのカテゴリーにも含まれそうですが、実際に読んでみると純文学と大衆小説の中間といった雰囲気でSFに苦手意識のある方にも読みやすい作品と思います。
    物語は、主人公の小山内堅(おさないつよし)が、自分はある女性の生まれ変わりだと主張する娘とその母親からの誘いに応じて東京駅を訪れるシーンから始まります。中年の小山内はその娘の突飛な発言と態度に戸惑いつつ、会話を進める形で物語が進行します。

    生まれ変わりをテーマにした作品はいくつもありますが、この作品はとりわけその性質を存分に利用しており、少し前に流行ったループものにも通じる印象さえ受けます。
    (ループものとは、アニメの「RE:ゼロから始める異世界生活」など、主人公が同じ時間を繰り返し体験しながら成長し、当初の悲惨な結末を少しずつ修正しながら進行する作品の総称と思っています)

    評価の方は、あくまで私にとってですが高いとは思われませんでした。大きな理由は作品のクオリティというよりは、私が作品に求めがちな「何らかの解決」を提示していない点が大きいですが、もう一つとしては、重要なテーマである記憶を残して生まれ変わる女性である瑠璃から、相手である三角への強烈な愛がいったいどうやって生まれたのかという部分の描写が薄いためです。
    突然の雨が引き合わせた二人なのですが、個人的には普通の恋愛小説にありがちなやり取りで二人は接近して想い合う描写が続き、そこに死と半生を繰り返しても消えることのない愛が生まれているようには感じられませんでした。
    これは、特に一人の相手を愛し続けることの困難を描く三浦綾子氏、そもそも愛という概念にあきらめの意味を含めているフランス文学などが好みの私にとっては違和感がありました。
    この作品のSF的な部分がこの絶対に変化しない愛、という部分にもかかっていると考えざるを得ないレベルです。

    たとえ前世の強烈な愛慕があったとしても、高校生や小学生の少(幼)女を含む幾人もの女性が壮年のオッサンを愛をもって追い回すという構成はオジサンの願望出しすぎじゃないですか?と思ってしまいます。

    私の個人的な感想が続いてしまいましたが、全体としては生まれ変わるたびに入れ替わる両親、それらの物語を単純な時系列ではなく計算された順序で描き出して結末まで導く作者の手腕により、結末を楽しみに読み進めることができる作品です。

    追記:
    作中に出てくる映画の「四月物語」は、あとから見てみたのですが、本作に負けず殆ど説明なしに女性から男性へのストーカーレベルの思慕という構成で、こちらもモテない男には辛い作品です。

  • なるほど、月の満ち欠けだあ…

    話の展開にドキドキしながら読んでいてアドレナリン過剰になりちょっと苦しかったがタイトルの訳が出てくるあたりで腑に落ち、ほっとした。

    運命って、出会いって何だろう?
    日々起こること、何気に通り過ごしていることが実はすごい運命的なことなのかも?

    ラストは次のドラマが始まりそうで気になる

  • そういうことあるかもと思わせる作品

  • 購入 紀伊國屋書店浦和パルコ店 2019/11/29
    読書開始 2019/11/29

  • 生まれ変わり・転生
    あるのだろうが、小説でやると、こうもこじつけ感が出てしまうのか。ご都合主義というか、面白いんだけどね。直木賞受賞としてはイマイチ。

  • でかい話だなあ、と思った

  • 面白かった。この人以上に淀みなく読み進めてしまう小説を書く作家はいないのではないだろうか。一文が簡潔な訳でも、平易な言葉を使っているわけでもない。それなのにいくら読み進めてもつまづかず、内容が入ってくる。トリックや伏線を緻密に張り巡らせている訳でも、極端にキャラクター付けされた登場人物が出てくるわけでもない。それなのに物語に引き込まれてしまう。
    言葉の意味は自分でもよく掴めていないが、「小説が上手い」と表現したくなる作家さんです。

  • 愛という名の正義は勝つ

  • 一人の少女、一人の女性と三人の男性が紡ぐ心がじんわり温かくなるお話し。
    あなたは生まれ変わりを信じますか?現世に強い思いを残した人は、形を変えて、きっと戻ってくる。突然、体が奪われ、あの人に会いたいのに会えない。一人の男性に会うために、三人の少女の体を借りて、、、

  • 摩訶不思議な輪廻転生もの。
    一人の男を追って次々と生まれ変わる女性。
    しかも結構短いサイクルで。
    だから一人の男性視点で語れる不思議な話。
    ちょっと怖いけど、最後はほっこり。
    読後感は良し。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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