日本語の形成

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (767ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000017589

作品紹介・あらすじ

日本の文明と言語はインダス文明を受けた南インドの古代文明、ついで中国文明という、当時の世界の最高の文明と、それを担った言語及びその文字を、次々に受け入れ、縄文時代以来の音韻体系を基礎としてそれを消化しながら形成されてきた。その意味を深く理解することが「日本」の言語史、文化史を正しく把握する第一歩となるだろう。これが「日本」とは何なのかという課題に対して著者の到達した見解である。

感想・レビュー・書評

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  • 「第II部和歌の系統」の「第一章サンガムと和歌の比較」が鍵を握っている。

    歌に限定すれば、言語の比較は容易だろう。
    同じ現象,同じ行為に対して,同じ歌が対応していれば、
    構造,単語,関係などのうち、いくつかに類似性を見出すことができるかもしれない。
    詩が言語の研究に大切な鍵を与えてくれることが分かった。

    言語は、第一者による研究が重要であり、その際に,他の言語(ここでは大野にとってはタミル語,相手にとっては日本語)が役に立つことも分かった。

    こういった研究が各地の言葉に対してなされたときに、日本語の源流と変化についての知見が得られるかもしれない。

    「タミル語もドラヴィダ諸語も膠着語であり、日本語も膠着語である。」
    膠着語以外の言語との比較にはないことがいくつも出て来るだろう。

    「古代日本語の農業用語はタミル語の農業用語と対応する」
    言語の一致ではなく,農業の伝搬経路の繋がりを示唆しているのではないだろうか。

    文化的に関係があれば、言語的に関係がある。

    言語研究の奥は深い。

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著者プロフィール

1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。

「2015年 『日本語と私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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