ねじ曲げられた桜 美意識と軍国主義

  • 岩波書店 (2003年4月22日発売)
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本 ・本 (632ページ) / ISBN・EAN: 9784000017961

感想・レビュー・書評

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  • 図書館に返却2010/6/19。
    国家ナショナリズムを信奉していなかった特攻隊員たちがなぜ特攻する選択をしたのかを、国家が桜に象徴させたものから読み解こうとしているようだけど、違うかもしれない。
    桜が象徴してきたものの変遷に軽く触れて、桜の多義性を確認した後、明治にどういう国家体制が作られたのかを論じたところまで読んだ。

  • 確認先:川崎市立麻生図書館

    一言で言って物足りない。
    というのも、桜が孕むメタファーについてもう少し根を掘った分析もありえたにもかかわらず、なぜミリタリズムに「しか」回収できなかったのだろうか。そこに疑問符が残る(その点で言えば「カミカゼ」という虚構をなぜ自ら希望したのかという点でしか指導できなかったピエール・ブルデューの過失は重大である→もう少しマトモな意見を言うべきだったのではあるまいか)。

    たとえば、さくらんぼと「武士道」には関係性が望めるのかとか、そもそも桜をメタファーで用いること自体が特殊的な行為であると言い切れるのかといったような分析や見解もあればいくぶん期待したのだが……

    「政治にタッチすることはできても歴史を作ることはできない」――敬愛する巨匠の言葉を気安く拝借するのは気が引けるが、逆立ちした三流研究者(例:若桑みどり・渡部昇一など)と同じツッコミをせざるを得ない点に本書の欠陥が凝縮していると言ったらそれまでであろうか。

  • この本は「政治的・軍事的機関構築の歴史的過程と、そういう機関が、国家の究極的破滅への行進に国民を強制参加させるために使った手段を研究した」「それと共に、若者たちが思想ではイデオロギーを否定しているのに、行動では「進んで」それを再生産している、という正に驚くべき現象を理解する」ことをめざしている。

    「生」「死」「若者」「再生」「美」など多様な意味を古来から持ち続ける桜の「意味のフィールド」から、いかに国家が「死」の意味を桜に与え、それが古来からの桜の意味解釈であるかのように工作してきたか、ということを明らかにしようとしていて、非常に興味深かった。

  • 大塚信一著「岩波書店の時代から 近代思想の終点で」(2024)という本の中で、この本を、「桜の花を、天皇制を含めた日本文化の機能、人々の価値観と行動の在り方の象徴として深く解明している」良書としているので読んでみました。

    わが大君に召されたる♪
    いのち♫はえある朝ぼらけ♫
    たたえて送る 一億の♬
    歓呼は高く 天を衝く♪
    いざゆけ~ つわもの 日本男児~♫

    私は、行くぞー!って感じがして、個人的にはこの曲は好きだ。

    私は戦後生まれ、しかし、父親は終戦の1945年は20歳でまさに青春を戦争で過ごした人だった。
    なので?、父は軍歌が好きだった。子供だった私はソノシート(レコード)から鳴る軍歌を何度も聞かされていたので、私は今でも軍歌を何曲も歌える。
    雪の進軍とか、海行かば~とか、徐州徐州と人馬は続く、月月火水木金金とか、同期のサクラ、ここはお国の何百里、軍艦マーチ、若き血潮の予科練の~など。

    父は、終戦前に広島の呉にいたが、結核で郊外の病院に入院し助かったらしい。戦艦大和の設計に携わっていたのが自慢だった。ただ、テレビのニュースに映る昭和天皇を見たときは、「あいつのために、みんな死んでいったのに、なぜ自決しない」と普段はやさしい父が辛口の発言をするので、子供ゴコロに意外な気がしたものだった。
    私個人は、象徴としての天皇の継承ということには抵抗はないが、自身が戦ったときの象徴的トップの人物が生き残っているという点を考慮すると、父の発言も頷ける。
    天皇の戦争責任に関しては、この本の165ページに書いてあるが、ここ書くことは避けたい。(ほんとなのか?と思うからだ)

    わたしは日頃から「愛する人を活かすために死ぬことできるなら、それ以上の喜びはない」と思っている。どうもその耽美的な気持ちが、戦争に利用されてしまうのが良くないらしい。
    時代劇の見過ぎかもしれないが、武士が「やっと自分の死に場所を見つけた」というシーンにもゾクゾクするのだ。ただ、それもいけないらしい。

    世界に目を向ければ、戦争は今も起こり続けている、これはもう人間の性(さが)ではないか、とも思いたくなる。
    この本にも、特攻隊員は外面的にはお国のためだったが、内面は「なぜ」と揺れていたという記述があるが、それは人として当然である。しかし、全体が戦争に向かっていったときに自分だけ、ひるんで拒むことは、まずできない。そうなる前に、どうくい止められるか、その点で、この本は抑止力になると思う。

  • 桜は特攻隊のシンボルに

  • 戦争

  • 2010年4月2日

  • 分類=近現代史・太平洋戦争。03年4月。

  • 2008/1/9読了

  • ★そう、だから私は桜の花が苦手だった。

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