ネット・ポリティックス ― 9・11以降の世界の情報戦略

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 32
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000017978

作品紹介・あらすじ

9・11以降、通信規制・傍受が法的に整備され、自由な空間であったインターネットに規制がかけられはじめた。それにともない個人のプライバシー侵害も拡大している。激動する世界の情報戦略の状況を、政府・企業・関連団体などの現場取材と豊富な調査データから、浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • 9・11はアメリカだけではなく世界中のインテリジェンス・コミュニティに生き残る理由を与え、活性化させてしまった。
    ゴア副大統領の支持基盤はハイテク産業だった。
    インターネットコミュニティはワシントン政治jのルールに従って伝統的なロビー活動をしなくてはならないということ。
    安全なネットワークを持つことは、アメリカの利益になる。
    自由でなくなったインターネットは、本来の魅力を失いかねない。インターネットコミュニティはサイバースペースがもはや独立国ではなく、商業主義に乗っ取られ、政治に分断された空間になりつつあることを認識している。
    中国型情報化は、アメリカ型情報化についていけない国々にとってはひとつのモデルとなる。

    IETFはインターネットにかかわる標準技術策定のための組織であり、インターネットガバナンスの中核となる組織のひとつでもある。
    インターネットではガバメント・システムは成立しておらず、IETFやICANNなどが協調しながらも分散的に意思決定を行うことで、インターネットは成り立ってきた。

    かつての電信や電話のネットワークはITUという政府間調整気候を頂点とし、各国政府と通信事業者によってコントロールされていた。そこには競争はほとんどなく、技術革新に疎く用途限定的なものであった。しかしインターネットはITというシンプルなルールを元に政治体制やビジネスの利害を超えた接続を可能にした。

    インターネットではハードパワーはほとんど意味をなさない。重要なんおは、相手を説得し、誘導するソフトパワーである。インターネットのガバナンスはほとんどが技術をめぐる話にとどまっている。

  • 1118夜

  • 2013/2に読み直した。

    --2008/9の感想--
    弟の本棚にあったので読んでみる。サイバー戦争から、PGPなどの暗号から、インターネットガバナンスの問題まで扱う。それぞれがあまりに独立していて全体として誰のために書かれた本なのか最後まで理解できず。インターネットとインテリジェンスを安易に結びつけるのはいかがなものか。IETF, ICANNなどガバナンスの問題に触れた書籍は少ないのでその点は有用。
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    --2013/2の感想--
    改めて読んで筆者の問題意識の鋭さに気づいた。「なるほどー、そういうことね!!」の連続であった。5年前の自分は何もわかっていなかったことに気づく。

    筆者はインターネットについてのいくつかの誤解を解こうとしている。インターネットは世界中にある個々のノードが相互に接続したフラットな世界であるという信仰、「セルフ・ガバナンス」の伝統によりインターネットはインターネットコミュニティのものであるという神話、IETF/ICANNにおける強調分散型の意思決定が成り立たなく、特にICANNは機能不全に陥っていること。
    そして『市場化されたインターネットは市場の原理に吸い寄せられ、強者が弱者を支配するヒエラルキーを形成しつつある』ということ。
    筆者のように技術と政治の両方向からインターネットを考える人がいないと「理想郷インターネット」は現実に着地できずに崩壊するのではないかと、最近のサイバー戦争報道ブームを見ていて思う。
    印象に残る以下の一節は今日の現状をピタリと予言していた。
    「複雑化する状況のなかで、サイバー・ワシントニアンたちがインターネットへの規制強化に抵抗し、インターネットの自由を守り続けられるのかどうか、これが当面のネット/ポリティックスの課題となるのではないだろうか。(p.87)」
    恐れ入りました。ごめんなさい。
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著者プロフィール

土屋大洋(つちや・もとひろ)編者
 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授(兼総合政策学部教授)
 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科で修士号、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で博士号取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主任研究員などを経て現職。2008年3月から1年間、米マサチューセッツ工科大学で客員研究員。2014年2月から1年間、米イースト・ウエスト・センターで客員研究員。2019年4月から日本経済新聞客員論説委員。2019年10月から2021年7月まで慶應義塾大学総合政策学部長。2021年8月から慶應義塾常任理事。第15回中曽根康弘賞優秀賞、第17回情報セキュリティ文化賞を受賞。主著に『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房、2015年)、『暴露の世紀』(角川新書、2016年)、『サイバーグレートゲーム』(千倉書房、2020年)など。

「2022年 『ハックされる民主主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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