ノレ・ノスタルギーヤ

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  • 岩波書店
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000018142

感想・レビュー・書評

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  • 中央アジアから水俣まで、歌をたどって追うコリョサラム(高麗人)の足跡。そういえば映画『ナミイ』は観たはずなのに、姜信子さんの本は今まで読んだことがなかった。最近ある講演会で、歌と映像を交えた語り口にすっかり魅了されてしまい、図書館でみつけたのがこの本。19世紀、生き延びるためにロシア極東へ流れて行った多くの朝鮮人がおり、さらにソ連によって「信頼できない民」とみなされた彼らが中央アジアに強制移住させられたなど、初めて知ることばかりだった。大国間の覇権争いにまきこまれ、世界中にちらばることになったコリョサラムの運命は、歴史的な悲劇にはちがいない。でも、侵略者がもたらしたメロディに自分たちの言葉を乗せて、長い時間と空間をもちはこんできた人たちのように、著者の語り口も、飄々として、物語を歌っているようだ。荒野の中に立ちすくむとき、「さあ、歩き出そうか。体の感覚を研ぎ澄まし、知恵をふりしぼって歩いて行こうか」という声を聞く、という一節が、強く印象にのこりました。

  • 『ノレ・ノスタルギーヤ』はエッセイ。<br>
      著者は在日韓国人。<br>
      ノレ。は韓国語で歌。<Br>
      ノスタルギーヤはロシア語で郷愁のこと。<Br>
    <br>
     私も、さまざまな問題について、凝り固まった考え方をしていたんだな。と、最終的には感じる。<br>
     移民や、強制移住、流浪の生活。 <Br>
     それらについて、それは、彼女自身の問題でもあるから、温かい、希望の目で、だけど、決してぼやけて希望に見えるのではなく、冷静に、自分を見つめた上で現れる希望の目。<br>
    <Br>
     もちろん、厳しい現実もあるだろうし、それを発する事も大切。<br>
     人々に、反省や、再びそのようなことが起きないように訴えかけることも大切。<br>
    <Br>
     だけど、そんなふうにばかり見ないでよ。
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     彼女はそういっているんだ。
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        私たち、とっても幸せなの。<br>
    <br>
         って。
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     忘れずに書き留めておきたい言葉。<br>
    「この世界は、どんなにその姿を追い求めても見つからない「本物の人間」のものではなく、他でもない、「獣心」と「本物の人間」への憧れとを内に抱えて、共に孤独を生きている私たちのものであるということ。」<br>
    「そして、「獣心」を抱え込みながらも真に人間らしくありたいと願い続ける愚直でちっぽけで孤独な魂の奥底にこそ、この世界を生き抜く希望が潜んでいることを。「本物の人間」ではなく、「本物の人間たろうと願い続ける獣心」のわれらの心の内にこそ希望があること。」
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    <Br>
    「ああ、きっと、そうなのでしょう、私が何かに呼ばれているのではなく、私が何かを呼んでいる。私が、呼んでいるのです。」
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    <br>
    「思うに、そこは、ひとりでは行けないけれども、皆で手に手を取り合って足並み揃えていくようなところでもない。<br>
      同じ空の下を同じ思いを胸に歩き続けている仲間がいることを感じながら、ひとり旅ゆく。そんな人々が切り開いてゆく無数の道が、いつかどこかで交差する。その「いつか」を信じて、「ことば」を探して、「歌」を求めて、「と」から始まる旅をユラユラと生きる私がいます。」



    <Br><Br><BR>

     やさしい目のあふれたエッセイ。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ. 作家. 85年, 東京大学法学部卒業. 86年に「ごく普通の在日韓国人」でノンフィクション朝日ジャーナル賞受賞. 著書に, 『ごく普通の在日韓国人』(朝日新聞社), 『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(岩波書店), 『棄郷ノート』(作品社, 熊本日日新聞文学賞受賞), 『追放の高麗人』(石風社, 地方出版文化功労賞受賞), 『はじまれ 犀の角問わず語り』(サウダージ・ブックス+港の人), 『生きとし生ける空白の物語』(港の人), 『声 千年先に届くほどに』『妄犬日記』(ぷねうま舎), 『はじまりはじまりはじまり』(羽鳥書店)などがある.

「2018年 『現代説経集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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