破獄

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000018487

感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん前から読みたいと思っていてなかなか手に取る機会がなかった本書だが、ようやく読めた。

    26年間の服役中に4回脱獄した実在の人物をモデルにした小説。
    終戦前後の時代背景がこの事件の大きな要因の一つであったこと、この事件を描くことで、戦時中、敗戦後の日本を別の視点で見ることができるという思いから筆をとったらしい。
    吉村らしく、細かく具体的なデータ、史実に忠実な記述、当時の暮らしぶりを丁寧に再現した描写など綿密な取材の跡がうかがわれ、また抑えた筆致からは冷え冷えとした刑務所の空気感まで伝わってきて、意図した通りの作品に仕上がった。

    主人公のモデルとなった人物については、以前何度かテレビなどでも実録として紹介されたのを見たことがあったが、意外に30年ほど前まで存命だったことに驚いた。
    吉村の著書を見るに、主人公がこうまで脱獄を繰り返したその背景には、不遇だった幼少期の影響もさることながら、戦争へとひた走っていた当時の日本の状況が、たまたま身体能力や知的能力にたけていた主人公に、強盗、脱獄といった負の生き方を選ばせてしまったという面もあったのかもしれない。

  • なんだか感情移入ができなかったというか、読んでで物語入り込めなかった。
    固い文体と時代描写が多くて「いったい俺は何を読んでいるだー」と思ってしまった。
    その時代の刑務所事情を知るために読み始めたわけじゃない。
    けど、国民より囚人のほうが良い食事事情だったとか、目新しいことは多々あった。
    脱獄することがそこまでサスペンス風味に、言うならばエンターテインメントじゃないからかな。
    あまりドキドキしない。
    すごく淡泊に進むし、脱獄犯の佐久間の視点が全くない。

    これは好みが分かれるのかな。
    終わりは良い。
    もう脱獄しない理由が腑に落ちる。

  • 北海道旅行で、網走監獄に行って、この本を知り、興味を持ったので、図書館で借りて読んでみました。

    四回も脱獄する執念がすごいと思いました。

  • 抗議行動としての脱獄。

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著者プロフィール

吉村 昭(よしむら あきら)
1927年5月1日 - 2006年7月31日
東京日暮里生まれ。学習院大学中退。在学中、大学の文芸部で知り合った津村節子と結婚。
1966年『星への旅』で太宰治賞、1972年『深海の使者』で文藝春秋読者賞、1973年『戦艦武蔵』『関東大震災』など一連のドキュメント作品で第21回菊池寛賞、1979年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、1985年『冷い夏、熱い夏』で毎日芸術賞、同年『破獄』で讀賣文学賞および芸術選奨文部大臣賞、1987年日本芸術院賞、1994年『天狗争乱』で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。吉川英治文学賞、オール読物新人賞、大宅壮一ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、太宰治賞、大佛次郎賞などの選考委員も務めた。
徹底した資料調査・関係者インタビューを背景にした戦史小説・ノンフィクションで、極めて高い評価を得ている。上記受賞作のほか、三毛別羆事件を題材にした『羆嵐』が熊害が起こるたび注目され、代表作の一つとみなされる。『三陸海岸大津波』は2011年の東日本大震災によって注目を集め再評価を受け、ベストセラーとなった。

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