幻の朱い実〈下〉

著者 : 石井桃子
  • 岩波書店 (1994年3月18日発売)
3.72
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000021463

幻の朱い実〈下〉の感想・レビュー・書評

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  • 大好きなんだけど、悲しすぎて読みたくない本がある。
    それが、この本。

    思い出しただけで、視界が白っぽくぼやけて涙がボワボワ…

    読後ガックリ来てすごく体力消耗して辛いので
    しばらく読んでいなかったけれど、

    この度文庫化したと言う噂を耳に
    (店頭でも確認)したので、記念に読み返しました。

    だれか大事な人に死なれるとただただ悲しい、
    辛いと言う思いでいるけれど、
    死んでいく方も辛いんだな、と
    しっかり感じることが出来て、
    なんだか救われた気持ちがする。

    また、あの時ああすればよかった、
    こうすればよかったと、
    残されたものは色々くよくよするわけだけど、
    実際、それは死なれた側の単なる感傷で、
    死んでしまった側は、あまりそんなことは気にならないのかな?
    などと思った。けれどこれはまだ、謎のまま。

    最後の最後で、邪魔をしたように思えた節夫
    (主人公 明子ちゃんの旦那)を
    ずっと憎んでいたけれど(おいおい)、

    この人は悪気はなく、ただただ考え無しなだけ、
    と今回は思えた。

    でも、やっぱりとにかく、
    大事な場面では自分の気持ちを最優先にした方が
    あとあと切なくは無いかも。

    また、第三部については、
    前に読んだ時もそれを気にすることと言う事がほとんど共感できず、
    この部分、すっかり忘れていたぐらい。

    世代、時代、なのかしらん??


    そしてそして、吃驚したのはこの本、
    出版されてもう20年だって!

    桃子さんが長い年月をかけて書き上げた…と
    出版されたのが、ついこの間のことのように思えるのに…

    そんなことを母親にメールしたら、
    「そんなの当たり前、桃子さんだって
    もういないんだから」と言うような返事が来た!

    うん、そう、そう、そう、なんだけど、
    ちょっと、共感が欲しかった…!

  • ・上巻がいかにも青春らしい軽やかさと起伏に満ちていたのに比べ、こちらは親しい人の病が重くなっていく陰鬱な展開。そういえば表紙絵も、同じ人物画ながら上巻は暖色、下巻は寒色なのは内容を暗示したものか。
    ・戦争を挟む時期が舞台の小説で戦争の影をあまり感じさせないのも、女性が主人公の小説で出産-子育てがほとんど描かれないのも、珍しいことに思う。
    ・亡くなったひとの書簡や本人の著作から、そのひとの人生を再現する様子は、歴史研究のようでもある。ただ主人公が衝撃を受けた事実は、読者の自分としてはそれほど意外でもなかった。あまり感情移入せず読んでいたからか。

  • 下巻

    結婚後、蕗子のところに行くのもままならない明子。
    金銭の問題も絡み、節夫と口論になり(というほどではないところが冷たく恐い)、蕗子のところへ3日間家出する。
    しかし家に戻ってみれば、蕗子が節夫に手紙を送っていたことがわかり、複雑な怒りを覚える明子。
    蕗子の体調は悪くなる一方で、とうとう入院。

    そして節夫の叔父が倒れ、明子が蕗子のところへいかれないタイミングで、蕗子も亡くなってしまう。
    前半の蕗子との手紙のやりとりは、とても臨場感がある。手紙は人を表すのだな~と思う。

    第三章は、ずっと年月が流れ、明子はもう70代になっている。すでに節夫は亡くなり、子どもの葉子も大人になり、子どもがいる。そしてメインは蕗子の同級生の佐野加代子とのやりとり。二人で蕗子の面影を追う。そして蕗子の恋人であった亘利吾郎の告白。加代子の最期までがつづられている。

    本日、この本の編集をされた山田馨さんのお話を聞く。
    山田さんは、石井さんと雑談友達のようなものだったそう。二人の共通は、木、草、花しかも雑木、雑草、雑花の類に惹かれるところ、また子どもへの興味だったとのこと。
    山田さんは石井さんの運転手で、夏にはいつも追分まで石井さんを送っていっていたということ。
    石井さんはまじめだけど、決してとっつきにくいわけではなく、自分のまわりのいろいろなことに興味を持つ5歳児の子どものような方だそうだ。
    この本を作るきっかけとなったエピソードなど聞きたかった。

  • 2014.7.30市立図書館
    思いがけない大傑作にであって、寝食のうち食を忘れて2日ほどでむさぼり読んだ。主人公の明子の心情にとても共感できて、石井桃子さんもこんなふうな人だったのかな、とおもうと親近感がわいた。

  • 蕗子の容態は日に日に悪化し、一方では明子の叔父が脳卒中で倒れる。叔父の介護に忙殺される中、ついに最も恐れていたことが…。昭和の物語でありながらも、やはり下巻でも、そう現代とは変わらないのだと思わされた。叔父の介護。迫る老い。人との結びつきが丹念に描かれ、最も悲しい場面でも、感情を極力抑えた描写が胸を突いた。
    第三部でいきなり半世紀後に飛んでいたのはびっくりしたが、そこで明らかになる蕗子の過去…そして明子の今…巧いなと思わされた。時々、控えめに戦争の辛さが語られる。そして晩年の夫のことも。 ものすごい勢いで一気読みしたので、その余韻を今もひきずっている。
    静かで美しい、そして「生きる」ということについて考えさせられる作品だ。

  • 2007年4月18日(水)、読了。

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