- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000021463
感想・レビュー・書評
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大好きなんだけど、悲しすぎて読みたくない本がある。
それが、この本。
思い出しただけで、視界が白っぽくぼやけて涙がボワボワ…
読後ガックリ来てすごく体力消耗して辛いので
しばらく読んでいなかったけれど、
この度文庫化したと言う噂を耳に
(店頭でも確認)したので、記念に読み返しました。
だれか大事な人に死なれるとただただ悲しい、
辛いと言う思いでいるけれど、
死んでいく方も辛いんだな、と
しっかり感じることが出来て、
なんだか救われた気持ちがする。
また、あの時ああすればよかった、
こうすればよかったと、
残されたものは色々くよくよするわけだけど、
実際、それは死なれた側の単なる感傷で、
死んでしまった側は、あまりそんなことは気にならないのかな?
などと思った。けれどこれはまだ、謎のまま。
最後の最後で、邪魔をしたように思えた節夫
(主人公 明子ちゃんの旦那)を
ずっと憎んでいたけれど(おいおい)、
この人は悪気はなく、ただただ考え無しなだけ、
と今回は思えた。
でも、やっぱりとにかく、
大事な場面では自分の気持ちを最優先にした方が
あとあと切なくは無いかも。
また、第三部については、
前に読んだ時もそれを気にすることと言う事がほとんど共感できず、
この部分、すっかり忘れていたぐらい。
世代、時代、なのかしらん??
そしてそして、吃驚したのはこの本、
出版されてもう20年だって!
桃子さんが長い年月をかけて書き上げた…と
出版されたのが、ついこの間のことのように思えるのに…
そんなことを母親にメールしたら、
「そんなの当たり前、桃子さんだって
もういないんだから」と言うような返事が来た!
うん、そう、そう、そう、なんだけど、
ちょっと、共感が欲しかった…!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・上巻がいかにも青春らしい軽やかさと起伏に満ちていたのに比べ、こちらは親しい人の病が重くなっていく陰鬱な展開。そういえば表紙絵も、同じ人物画ながら上巻は暖色、下巻は寒色なのは内容を暗示したものか。
・戦争を挟む時期が舞台の小説で戦争の影をあまり感じさせないのも、女性が主人公の小説で出産-子育てがほとんど描かれないのも、珍しいことに思う。
・亡くなったひとの書簡や本人の著作から、そのひとの人生を再現する様子は、歴史研究のようでもある。ただ主人公が衝撃を受けた事実は、読者の自分としてはそれほど意外でもなかった。あまり感情移入せず読んでいたからか。 -
2014.7.30市立図書館
思いがけない大傑作にであって、寝食のうち食を忘れて2日ほどでむさぼり読んだ。主人公の明子の心情にとても共感できて、石井桃子さんもこんなふうな人だったのかな、とおもうと親近感がわいた。 -
蕗子の容態は日に日に悪化し、一方では明子の叔父が脳卒中で倒れる。叔父の介護に忙殺される中、ついに最も恐れていたことが…。昭和の物語でありながらも、やはり下巻でも、そう現代とは変わらないのだと思わされた。叔父の介護。迫る老い。人との結びつきが丹念に描かれ、最も悲しい場面でも、感情を極力抑えた描写が胸を突いた。
第三部でいきなり半世紀後に飛んでいたのはびっくりしたが、そこで明らかになる蕗子の過去…そして明子の今…巧いなと思わされた。時々、控えめに戦争の辛さが語られる。そして晩年の夫のことも。 ものすごい勢いで一気読みしたので、その余韻を今もひきずっている。
静かで美しい、そして「生きる」ということについて考えさせられる作品だ。 -
2007年4月18日(水)、読了。