村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

著者 :
  • 岩波書店
3.78
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本棚登録 : 419
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000022316

作品紹介・あらすじ

ほとばしる情熱、躍動する文体で迫る、人間・野枝。筆一本を武器に、結婚制度や社会道徳と対決した伊藤野枝。彼女が生涯をかけて燃やそうとしたものは何なのか。恋も、仕事も、わがまま上等。お金がなくても、なんとかなる。100年前を疾走した彼女が、現代の閉塞を打ち破る。

感想・レビュー・書評

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  • いゃあ 面白かった
    日本の歴史上の一人の烈女として
    描かれてしまうものが
    多い気がするのですが

    著者の栗原さんの
    飄々とした筆致が
    等身大の伊藤野枝さんを
    描きだされているのが
    とても魅力的です
    ※評伝には先ずみられないであろう
    随所に、挿入される筆者の形容詞句が
    なんとも素敵な効果を生み出しています

    この一冊が岩波書店から出されているのも
    また うれしいことのひとつです

  • 「資本家にたよったり、カネをかせいだりしなけければ、生きていけないという感覚をふっとばす。自分のことは自分でやる、やれる。それを行動にしめすことがだいじなのである。」
    人生は暇つぶし、という人もいるが、暇つぶしは暇つぶしでも、全力で、濃い暇つぶしをしたい、と思う。

  • おもしろかったー!
    関東大震災が起こった1900年代〜第二次世界大戦の前(うろ覚えかよ!)に、アナーキスト?大杉栄と一緒に殺された伊藤野枝の評伝?。評伝のもっと柔らかいやつ。
    作者の栗原康さんは伊藤野枝が大好き。歴史の間に挟まれる栗原さんのつぶやきに愛を感じる。やばい、かっこいい。悪いね、最後まで(野枝を助けてくれた官僚の後藤に対して)…痺れる等々。雑誌「青鞜」で交わした女性問題のやりとり(論文の応酬…けんかみたいなやつ)でも野枝の肩を持つ。それが微笑ましく感じた。
    尊敬してた平塚らいちょうにも最後の方では理解できないと批判されてかわいそうだったけど、自分の心に素直に、それが道徳と違うものでも気にしないっていう多分シンプルな行動指針は、今の時代とても大事なものかなと思った。4キロの海流を泳いで渡る野生の感覚を持った野枝、かっこいい。
    27歳で殺されてかわいそうだ。大杉栄は35歳だったかな?27clubの一員ですか(ミュージシャンじゃないけどね)大人になっていろんなつらいことに出会って、もっともっと考えが深まっていったら言うことも変わってきたのかなあ。

  • これはまたえらく型破りな評伝だ。もう全面的に「伊藤野枝、サイコー。マジかっこいい!」というスタンスに貫かれている。こういうのもありだなあと面白く読んだ。

    この語り口は好き嫌いが分かれるだろうが、何と言うか、著者の「血肉から出ている」という感じがあって、本気度が伝わってくる。一面では、野枝の思想・行動を、自身の考えに引きつけすぎのようにも思うが、高見からあれこれ言ってるスタイルより私は好きだ。何より、読んでてオモロイ。

    カネがないのを絶望的に悲惨なことだと思い、お上に何とかしてもらおうとし、少し恩恵にあずかれば有り難がり、世間的な道徳を内面化して生きるのは、「奴隷根性」だ。そこから抜け出せ!と、著者は煽る。

    私は、政治思想や運動としてのアナキズムには賛同しかねるが、精神のありようとしては心ひかれるものがある。どんな高邁な思想を掲げていても、「組織」は必ず人間を疎外する。それでも、多くの人はそのどこかの末端で生きていかなくてはならない。伊藤野枝のように生きた人への反感も憧憬もそこから来るのだろう。

  • 爽快に尽きる。禍々しくて、毒々しくて、人間的には嫌われていても、圧倒的な才能と野性で欲しいものを手に入れていく野枝の姿に憧れる。しかも野枝に魅入られた男たちはメロメロだ。弱者に生まれつき、戦い続けるしかなかった野枝は、おそらく本物の「毒」だったのだろう。しかし狂った社会の中で「毒」は「薬」となり、「薬」として殺されていく。しびれちゃう。かっこいい。最高だ。

  • 伊藤野枝の激しい人生を、疾走感抜群に書き進めた感あり。

    ただ、他の方のレビューにあるように、筆者の入れ込みが凄まじすぎて、主観的な解釈が暴走している気もした。
    だからこそ、入り込みやすい人もいるのだろうけど、、、

    大杉栄と伊藤野枝の理想とするアナキシズム社会はあまりに自由で、個人の身勝手な欲望ばかりに視点が置かれて現実的ではないと感じてしまったが、そんな自分が型にはまった小さい人間だなぁ〜とも思った。笑

  • 伊藤野枝さん。
    今まで、数冊の本で名前を目にしたことはありました。
    とても悲惨な亡くなり方をしたことも。
    今回、どんな人生を送った人なのか知りたくて、これを読んでみました。

    野枝さんの言うこと、いちいち身にしみる。
    ホント、男にとって女って奴隷だよなあと。
    残念ながら野枝さんが亡くなってから100年弱たった今の世の中でも、女性の立場ってあんまり変わってないよ……。

    しかしこの本、もっとおかたい文章かと思ってたらずいぶん軽い。著者は年下でしたか。
    読みやすかったけど、ちょっと疲れました。

  • 恥ずかしながら、大正の世に、こんなに自由を求めた女性がいたことを知らず。
    自分に忠実に奔放に生きた挙句、官憲に虐殺されちゃうんだけど、そういう、生き方、発言への弾圧を再び許してはいけないと思う。開放、されてこー!

  • 文章がうまくないので興ざめするのが多く、彼女の資料が少なかったのだろうか、作者の思い入れがそのまま言葉として現れるたび疲れてしまう。ともあれ彼女の破天荒な人生から現代も続く禁忌を読み取ろう。

  •  おなじ栗原さんの書いた『一遍上人伝』という、かなりぶっ飛んだ作品(『伊藤野枝伝』よりもさらに平仮名が多い)を読んだあとだったので、そこまで引っかからずに読めてしまったが、冷静に考えると、それは感覚が麻痺しているだけであるだろうなと我ながら思う笑 

     ところで、冷静に考えて納得がいかないのは、青山菊栄(後の山川菊栄)との廃娼論争に関しての、野枝の主張と態度である。正直に言って、ここでの議論は菊栄のほうが筋が通っている。しかも、さらに詰められると「自分は専門じゃないんだ」とかいって逃げてしまう野枝の態度は「いかがなものか」という感じである。しかし、なんだからわからないが、栗原さんは「野枝の圧勝だ」(p72)とか書いてしまっている。これは煙に巻かれた感じがするし、あまり印象がよろしくない。

     文体が面白いのは良いが、やりすぎなところも少なくない。それを面白いと見るか、どうか。
     以下は、伊藤野枝が、当時のパートナー辻潤の母親に責められてゲンナリしているシーンでの、辻潤についての記述(すべて地の文)。
     
     「そこを辻がたすけてくれればいいものだが、そういうときはだいたい家の端っこでピーヒョロロと尺八をふいている。なんなんだ、こいつは! なんなんだ、こいつは! ダダイスト、辻潤である。はたらかないで、たらふく食べたい」(p75)

    →これ、辻潤じゃなくて、ただの栗原さん本人じゃねえかw いいかげんにしろ!

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