本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- 本 ・本 (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000022583
感想・レビュー・書評
-
『明治文学の雅と俗』をテーマに、座談会+各執筆者の文章という構成になっている。
座談会「雅俗文芸の解体」は、いくつかの点で大変興味深かった。
たとえば、江戸時代の雅俗と中国における雅俗の差異は、そのまま近世の固定的な身分制度と、科挙によって移動可能な中国の身分制度の差異を浮き彫りにしていた。
また、江戸時代における和歌=雅の閉塞性が、明治の郵便や雑誌といったメディアの発達によって、半ば強制的に、しかし淘汰される形で開かれたものに変化していった、という過程は、現代の紙媒体と電子メディアの関係にも通じるところがある。
各執筆者の文章では、「回覧雑誌『夕づゝ』の出現」が、回覧雑誌という形態とそれゆえの現存のし難さ(=原則として一冊しかなく、回覧し終ると解体されてしまう)を論じつつ、そのうえで、ほとんど奇跡的に『夕づゝ』が発見されたことと、この雑誌の紹介をしていた。
このことは、『我楽多文庫』など名前を知っているだけであった「回覧雑誌」という形態を考える一つの参考となり得た。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示