闇の子午線 パウル・ツェラン

  • 岩波書店 (1990年12月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (318ページ) / ISBN・EAN: 9784000023092

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  • パウル・ツェランを知ったきっかけは、大学生のときに、香山リカのエッセイで、讃歌と非在の者のばらの一部がとりあげられていたのを見かけたこと。学生時代に挑戦してみたが、詩も詩論も歯が立たず手放した一冊。今回、円錐書店で見かけたのを機に書い直してみたけれど、やはり自分には難解。著者自身が、「もともと翻訳されたテクストに即して詩を解釈することは不可能だ。」(p.78)と語る以上のむずかしさを感じる。それでも讃歌と非在の者のばらの周囲をぐるぐるし、ホロコースト、ユダヤ人であること、神への信仰、涙、石、黒いミルクなど、モチーフや頻出するテーマを切れ切れに追い求めることをのみ行い、わからないなりに、心にとまった詩をいくつか抜き出した読書だった。特に「プラハにて」「フーエディブルー」が印象に。◆祈れ、主よ/わたしたちに向かって祈れ、/わたしたちは近くにいる。p.62「テネブレ」◆沈黙、炭と化した/双手のなかで、金のように/煮られた。p.121「ヒューミッシュ」◆決してない。世界を下降しつつ。ぼくは歌わなかった。ひらかれて/きみはよこたわっていた、ぼくの/航行するたましいの前に。p.136◆何らかの進歩・開花への期待とは逆に、むしろ地軸回転が止まらぬかぎり、時間停止、時間消失がないかぎり、「いつ」という花は開いてしまう、という恐れである。p.146◆大気の/なかから眼の/鋏で/切りとれ/祈りの手を。おまえの口づけで/その手の指を切りつめよ」p.283(光の強迫3・7)

  • 一人の詩人がもう一人の詩人の作品と格闘した、その現場からの経過報告のような本。その対決の結果としての「フーエディブルー」の私訳は、息づまる緊張感に満ちている。しかし、ツェランの詩中のユダヤ的なるものをえぐり出しては重苦しく沈黙したり、言葉の中に執拗に「アウシュビッツ」の綴りを見出そうとする著者の関心のあり方はよく判らない。詩人自身に引きつけて詩を解釈する時、例えば東京大空襲で肉親を亡くした人間がそのことを語るのに、わざわざ「ヒロシマ」を引き合いに出したりするものだろうか。

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著者プロフィール

生野幸吉

「2005年 『鏡の国のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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