- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000023573
感想・レビュー・書評
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医学部分館2階心理学 : 146.8/WAT : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170972
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巷に広がる夢分析へのイメージを払拭し、心理療法としての夢分析とは何かを筆者の経験を交えて丁寧に論じられています。
科学的には証明不可能な無意識というもの。証明はできないかもしれないが、そういうものがあると仮定して精神の病理を観ていくと、非常にうまく説明ができることがある。そして夢とはその片鱗へと通じるものとして有用だ。
しかしそれもあの夢はこうだああだというようにセラピストがその解釈を断定するというものではなく、セラピストとクライエントとの相互対話によって深められていくものなのである。
これは夢分析だけならず、ほとんどの精神分析的心理療法に当てはまることだ。頭でっかちに理論を述べ立ててあるテキストに比べれば数段面白かった。クライエントの夢が各章の説明のために使われていたが、この本はクライエントの軌跡であると同時に著者自身の軌跡でもあるのだろう。
一つの物語を読んでいるような錯覚を覚える。しかしこれで終わり、集大成といったものではなく、まだまだ物語りは続く・・。こればプロローグといった印象も受ける。
著者自身がどういう思いでこの本を書かれたかは分からないが、臨床心理士という職業の特性(一生修行の身)を考えれば私がこう思うのも至極当然のことなのかもしれない。
また他には無意識の特性として「秘密性」「進入性」「被希求性」「破壊性」「超越性」の五つが挙げられていた。