ヨハネの黙示録

制作 : 小河 陽 
  • 岩波書店 (1996年11月22日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000023870

ヨハネの黙示録の感想・レビュー・書評

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  • 暗示的な物語というのは, いかようにも解釈することができる。ときの権力者や宗教家がこれを用いて, 自らの権威の強化に用いることもできれば, 内なる者, 無垢なる信者, 無明の者が自己の生活系における気づきを得ることもできる。

    しかし, それはすでに警告している。欲にまみれた醜悪な獣なるものが自らの偽の権威を誇示し, 「とりこになるべき者は, とりこになっていく」ことを(13:10)。

    これは限定された民族の選民思想によって構成されたわけではないと私はみる。言わば, すべての民にこの物語は適用され得る。「淫婦のすわっている所は, あらゆる民族, 群衆, 国民, 国語である」(17:15)。

    ここでは, 神なるものは「イエス」という名の仮構によって提示される。曰く「御旨によって, 万物は存在し, また造られたのであります」(04:11)。「夜は, もはやない。あかりも太陽の光も, いらない」(22:05)。「わたしは, この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる神と小羊とが, その聖所なのである」(21:22)。「ただ神だけを拝しなさい。イエスのあかしは, すなわち預言の霊である」と(19:10)。
    わたしはここに哲学者シェリングの定義した「世界霊」をみる。それは先験的過去, すなわち, 意識を意識であると認識する以前の原意識的潜勢性であり, 自然の産出性である。それはまさに「預言の霊である」。

    その神のみを拝すること, 「死に至るまで忠実であ」ること(02:10), 「自分の持っているものを堅く保って」いることとはいかなる意味をもつのか(02:25)。
    わたしは仏陀の説法に相似する精神的態度を斟酌する。それは何者にも従属せず, 欲に執着せず, 自然によって清らかに生きようとする強い意志である。一方でその差異とは, 仏陀が個人概念をも消失しようとするのに対し, この預言なるものは個人を尊重し, 現世の未来にも幾分かの希望をもちあわせていることである。だが, いずれもその志向性は, 欲に対する執着の放擲とその独立的精神の維持のための強い忍耐とにみられる。そして, その執着の隠喩として, 悪魔, 姦淫, 女, まじない, 偶像, 獣などが用いられるが, それら自体を揶揄しているのではなく, 欲の増幅を指向させる不可視な蕩尽的観念に対する阻止を狙うものであると思われる。<現代においては, 現行の呪縛的結婚制度の逆説的な不幸性が認知されはじめている。実際的にその執着を解除するには, 共同関係の多様な試みが認められてしかるべきであろう。制度への愚直な強制観念は, 執着へと変貌し得るのである。>

    これら聖者における普遍性とは, 単に禁欲主義的志向性にあるのではない。それはあくまで, 欲の支配を通じて自由を束縛し, 隷属への道を歩ませようとする悪魔供とその下僕供に対する手段であり, 根源にあるのは自由への意志と, 結果としての生活の祝福である。賢明な者はこの根源こそを読み解かねばならない。

    「獣とその像とを拝む者, また, だれでもその名の刻印を受けている者は, 昼も夜も休みが得られない。ここに, 神の戒めを守り, イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある。...彼らはその労苦を解かれて休み, そのわざは彼らについていく」(14:11-13)。

    「富む者となるために...火で精錬された金を買い」<本質的価値の認められる資産の保有の推奨>, 「...裸の恥をさらさないため身に着けるように, 白い衣を買い」<知識の獲得の推奨>, 「見えるようになるため, 目にぬる目薬を買」う<批判的思考力と情報収集技能の涵養の推奨>こととは, 聖者の生活の前提である(03:18)。

    彼らはまた, 無慈悲である。

    「不義な者はさらに不義を行い, 汚れた者はさらに汚れたことを行い, 義なる者はさらに義を行い, 聖なる者はさらに聖なることを行うままにさせよ」(22:11)。

    聖者の生活において, 自称的共感の不幸に酔いしれてはならないことを教えてくれる。そして, 仮に多くがこのように聖者の生活を実践すれば, 生産性の向上と最適化に際する大量消費の縮減によって, 帰結的にデフレーションを誘発する。デフレーションは, 市民から財産を略奪しながら膨大な負債を抱える巨悪の窃盗犯である体制が最も忌み嫌うものである一方で, 他者の負債に影響を受けない理想的な元来の環境において, 自己充足を確立した市民にとっては, 物価の低下による恩恵がある。賢明な者はこれを読み解きなさい。原始共産主義ではなくリバタリアニズムの奥義を伝える, この預言なるものの先見性に, 私は瞠目したことを最後に書きしるしておくとしよう。

  • 「デクスター」シーズン6を見るための資料として。

  • 新約聖書の『ヨハネの黙示録』の本文と解説。図版が豊富でイコノグラフィー的な解説が付いている。内容は難しくはないが、象徴が多用されているので、多分理解にはかなり想像力を要するものと思われる。それもあり、目からの方がとっつきやすいと思うので図版が多いのは非常に嬉しい。象徴や譬えがそのまま文字通り表象されているのが面白い。「バビロンの淫婦」とはローマのことを指すのだそうだ。

  • 変な先入観を持たずに黙示録を読むには良い本。

  • 良質な資料だと思う。判りやすいし。

  • 岩波書店の本は、買い切りと言って返品不可!本屋で働いている時に注文品で取り寄せてが、キャンセルになり・・あえなく内部の人間が買うことに・・。そのいきさつで我が家にやってきた黙示録!面白かったけど、値段が高いよ!!

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