読む力は生きる力

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著者 : 脇明子
  • 岩波書店 (2005年1月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000023986

作品紹介

子どもが本を読むことの大切さは誰もが口にするが、つきつめて考えると、それはなぜなのか、心底から納得できる答えを得るのは案外むずかしい。長年、大学生を教え、「子どもの本の会」を主宰してきた著者が、このテーマに真正面から取り組み、たどりついた成果を、講演のようなやわらかい語り口で説く。

読む力は生きる力の感想・レビュー・書評

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  • 人前で10分ほど話すことになり、再読。
    図書館司書資格取得の際の課題図書でした。
    確かに絵本は簡単に勧めれるけれど、読み物の紹介は本当に難しい。
    でもそれは本文にあるように「遠慮しているつもりでも、手間を惜しんでいただけなのかも」。
    ちょうど先日、ブックトーク研究会で『いい本なのになかなか子どもに読まれない読みもの』というお題で本を持ち寄ったので、グッドタイミングな読了でした。

  • 主張そのものはおおむね同意できるが、全体的に科学的根拠が弱く、「サンプル」が教え子だけの場合も多いなど不満が残る。本に比べて、映像、電子メディア(豪華な挿絵本も含む)に対する視線が厳しいのは著者の世代によるバイアスか。絵本から本格的な読書になぜ移行できないのか?という問題意識は興味深いし、多くの冊数を読めば良いわけではない、ダイジェスト版の文学性の喪失なども批判として正当だ。

    ・子どもを意識した本を作ったのは18世紀中ごろのイギリスのニューベリー。それまで本を読むという習慣は子どもにはなかった。日本でも明治から出版文化が発達し、読書は教養スキルとなった。
    ・社会のなかで「伝えること」「受け継ぐこと」「手渡すこと」に学ぶ意味もある。自分のことを考えているだけでは意味は見いだしにくい。
    ・アフリカではいまも昔も本を読んでいない。昔は物語の国だったから。本はヨーロッパのもので自分たちのものでなかったから。しかし、その語りも南アフリカでは崩壊しつつある。テレビのせいで。
    ・本が普及するようになってから、昔ながらの共同体の力は弱まったが、本は世界中の人を結び、過去と現在をむすびつけて、大きな共同体が育ってきたとも言える。
    ・映像が子どもの発達に与える影響については、まだまだわからないことだらけ。でも、けっして内容の善し悪しだけの問題ではなさそうだ。(#「メディアはメッセージ」だ?)
    ・読むことの独自性。映像メディアに対して。1.話し言葉ではなく、書き言葉レベルの言葉を使う力。2.想像力。3.全体を見渡して論理的に考える力。(#1.と2.は関連している。メタ認知の視点。3.は本のアフォーダンスに関して。論理的には考えることは、本というメディア、読書という行為から必然として導かれるものではないだろう。技術によって変わる部分が大きい。アメリカの教育者ハーリーの論文の引用も電子メディアが具体的に示されていないので、根拠として弱い。)
    ・「作者への信頼感がもてる」「距離を置いて外から眺めながらも登場人物と一体になれる」ことは、児童文学作品を見分ける時の大切なポイント。

  •  ノートルダム清心女子大教授の脇明子さんが、子どもの読書について書いた本。

     今の学生さんたちのなかで、書かれた文章を理解してレポート等を書き上げるだけの能力があるにも関わらず、物語の本を一冊読み通すことのできない人がいるそうです。このことについて、児童期によい本と巡りあってこなかったこと、本の質ではなくただ冊数を読ませる学校での読書指導があったのではないかと指摘されています。

     またよい本は、自分で想像力を掻き立てる、物語を自分のなかで描きあげることにより、自分が主人公に同化すると同時に、俯瞰で物語全体を見渡すことができるものだそうです。
     話し言葉のレベルでなく書き言葉とレベルの文章、抽象的な物事を理解し表現する能力は、よい物語を読み自分で物語の世界を想像することによって、伸びてゆくのではないかともいわれています。

     自分の読書を振り返ってもいえることですが、脇さんがあげているような質のよい本に巡りあえていたらよかったなあと感じます。
     今からでも遅くない、例えば「あしながおじさん」「宝島」「くまのテディ・ロビンソン」など、古典的な名作を、ダイジェストでない完訳で読んでみたいです。

  • テレビ中心の生活をしてきた者にとって、ズキッと胸が痛くなる話もたくさん。メディアと関わりすぎた子育ての危険さなど、わかってはいたものの、ビデオやテレビに子守りさせていた自分をつくづく反省。でも、読んでみてよかった。娘になんでもいいから本を読めと言ってきたことが間違いかも知れないことなど、知れてよかった。娘の好きな本を尊重しつつ、これからは、私が感動できた、よい物語を薦める勇気も沸いてきた。絵本の読み聞かせでも、なるべく一人読みへの手助けになるような、物語性のあるものを選んでいきたい。
    本を読むことによる、メタ認知能力、疑似体験、想像力、そういうものを培うことは、確かな生きる力になるにちがいない。
    ついつい子供受けする本や絵本を選んでしまわないように、自分自信も勉強 していかなければ!

  • 「読書は本当に大切か」という問題提起に筆者が向き合った一つの答え。

    「いい本」とは、「ちゃんと読みこなせば、まんがよりもアニメよりもゲームよりもおもしろい」もので「人間や世界について基本的に前向きの姿勢を持つもの」とし、
    「読む」精神活動にて①書き言葉レベルの言葉を使う力 ②想像力 ③全体を見渡して論理的に考える力を育み、思春期を支え、大人になる手助けをする。

    「なんでもいいからたくさん」という指導、「名作を」という強要。
    藤原和博氏の「本を読む人だけが手にするもの」にも指摘あったように、「本の世界に自分自身を投影できるかどうか」が大切なので
    その年頃にあった本を息子たちと一緒に手にして読んでいければと思う。

    内容は非常に深く賛同できるのだが、根拠となる記述が弱いのが残念。

  • 頷ける内容に富んでいた。単に読書礼賛ではなくて、自尊心を支える文化、そのひとつとしての読書の重要性を基盤として、子どもと本をめぐる諸問題を考察する。特に、文字が読めても本が読めないという問題についての指摘は重要。大学生たちの等身大の報告からの分析は興味深い。また、子どもにとっていい本とは何か、大人が真剣に考え、導くことが必要だという考えには同意。想像力や「書き言葉レベル」の言葉を使う力、メタ認知能力など、まさに生きていくのに必要不可欠な力を育てる読書を楽しむことを子どもへ教えていきたい。

  • 本書は本の解説ではなく、本を読むことに関する本である。

    なぜ読書が大切なのか、子どもに絵本から児童書までをどのように読ませればよいか、そして時代は本を読まなくてもやっていけたひと昔前からデジタル化の進む現代かけてどう変化してきたのか、について丁寧に温かみのある文章で説明してくれる。

    (特に児童の)読書について、この本ほど親身に教えてくれる本は他にない。絵本についても詳しくなれる。

    子どもがいて本とどう関わらせていけばいいかわからない、という方に特におすすめの一冊。

  • 1階閲覧室 019.2||ワ||2

  • ◆きっかけ
    インスタpolkadot_andさんの記事 2017/3/29

  • 子どもたちに読書がなぜ必要かをひもといていく本
    多様化する社会に対応するために、読書で培われる自尊心が逆境にさらされたときも自分を助けてくれる、本が視野を広げるだけでなく時空を越えた人間理解を可能にしてくれる
    などとてもわかりやすく書いている

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