アンダルシーア風土記

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000024808

感想・レビュー・書評

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  • アンダルシーアはスペインの一地方。
    エッセイの一冊

  • 知っているようで知らない、アンダルシーア(と言いつつ割とイベリア半島を網羅した)の中世までの通史を紐解く本。レコンキスタがかなり一進一退で数々の不測の事態から成り立っていたことを初めて知った。ベルベル人強すぎ、ユダヤ人嫌われすぎ。
    当時勢力範囲の中にあったイスラームは当然として、隣国アンジュー(当時はイギリス領)、フランス、イタリア、神聖ローマ帝国をも巻き込んだ群像劇は日本の戦国時代に勝るとも劣らない面白さがある。と、同時に自分の世界史に対する知識の浅さを痛感させられた。世界システムなんかもそうだけど、もっと勉強が必要だなぁ。

  • アンダルシーアに行くにあたり読了。ヨーロッパ各国の歴史ってほとんど深入りしないから、とくにスペイン・ポルトガルについてもしらなかった。日本語の本もあまりなさそうですね?が、これを読めば、なぜバルセロナがまだカタルーニャ語を使ってるか、なぜアルハンブラ宮殿があんな建築なのか、リスボンやバレアス諸島の歴史建築の意味とか、なんとなくわかるようになりました。著者は本当に詳しくかつ歴史を物語のような文体で紡いでいくのは圧巻。よくもまぁこんな流れるように、、、。他のも読んで見たくなりました。Kindle Unlimitedで読めるのも有難し。

  • 出口治明さんの『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』で紹介されていたので、読んでみました。
    さすが!ほんとうに、とても面白かったです。

    それで、永川玲二さんのほかの本も読んでみたいと思ったのですが、シェークスピアなどの翻訳以外では、もう一冊エッセイが出ているだけ。
    というのは、この『アンダルシーア風土記』が発行された翌年の春に、急逝されたそうなのです。

    ところが調べてみたら、なんと私、このかたについて書かれている本を読んだことがあったのです!
    『スペインと日本人』という本の中で懇意にしていた渡辺雅哉さんという大学の先生が書かれています。

    「そういえば、酒好きの変わり者のおっさんいたわ!」と思い出し、この本を再読しました。
    でも、お酒を飲むのは確かですが、私は彼がグアダルキビール川のそばに住み、そこを『鳥穴亭』(トリアーナにちなみ)と名付けていたから、そういう印象をもってしまったのでした。そんな呑兵衛ではないようです、ごめんなさい。
    この『スペインと日本人』を読んで、永川玲二さんに、ますます興味をもちました。

    亡くなる四年前に「この世に僕に残された時間はもうほとんどない」と、ふたつの仕事を自分に課していた。
    一つはアンダルシーアの歴史を書くこと。これはこの本で見事な実を結びました。
    もうひとつは、永川さんが亡くなった翌年にノーベル文学賞をとったV.S.ナイポールの小説『神秘な指圧師』の翻訳を仕上げることでした。
    彼はその途中で亡くなり、大工原彌太郎氏が仕上げたそうです。
    おもしろいのは、ナイポールのトリニダードトバコの英語を尾道の広島弁に訳したこと。ねっ。面白いでしょう?

    誰にもみとられずに急に亡くなったので、亡くなったのは4月22日か23日であろうと言われています。
    実は彼の敬愛するセルバンテスが22日、シェークスピアが23日に亡くなっているのです。すごいなあ。

    「壊れた蓄音機」と揶揄されるほど無類の話好き。
    お会いできず残念。もうひとつのエッセイ、ぜったいに読んでみよう。

  • 永川さんの本ということで何の気なしに読んだが、なかなか読ませるとても良い本だった。絶版のようで入手が難しいのが残念。
    ※追記:Kindleで読めるようです。

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介
    スペイン・アンダルシーア地方の地理条件に宿命づけられた歴史を古代から追う。

  • めっぽう西洋の歴史に疎い。
    それでも、多くの人たちが古代ローマをはじめ西洋の歴史を楽しそうに紹介している記事を見るので、トライしてみた。

    ワクワクがとまらないというレベルにはまだ到達していない。それでも、しばらく前に感じていたようなチンプンカンプンな読後感も薄れてきた。

    今年は、西洋の本を読み続けていきたい。

  • スペイン アンダルシア地方を巡る歴史物語。古代ローマ帝国の時代から神聖ローマ帝国、イスラム教の時代など、アンダルシア地方の盟主は時代と共に変わっていく。1つの地方の移り変わりを追いかけていくだけだがとても深く味わい深い。

  • 近現代まで解説してあるものと思っていたらコロンブスの出発までで少し拍子抜け(しかも読み返してみたら前書きにちゃんとそう書いてありました)。しかし巻末の年表や世界史の資料集なんかを並行して見ながら読むと結構面白いです。

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著者プロフィール

1928年鳥取県米子市生まれ。東京大学文学部英文科卒業。東京都立大学助教授を経て、1970年にスペインのセビーリャに移住、海洋文学史等を研究。2000年、一時帰国中に没。著書に『ことばの政治学』(岩波同時代ライブラリー)、『アンダルシーア風土記』(岩波書店)、訳書にグレアム・グリーン『情事の終り』(早川書房)、アラン・シリトー『土曜の夜と日曜の朝』(新潮文庫)、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(集英社文庫)、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』(共訳、集英社文庫)などがある。

「2015年 『死を忘れるな』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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