- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000025140
作品紹介・あらすじ
ルネサンスの理想を体現した「万能の天才」レオナルド。だが、手稿や史料のわずかな手がかりを綿密に読み解くと、「高貴な芸術家」は、私生児コンプレックスを免れない悲痛なほどの自己顕示欲と孤独癖の持主であった。鏡文字解読第一人者の情熱は、時代の社会観・宇宙観を背景に、通説をはねのけてレオナルドの真実に迫る。
感想・レビュー・書評
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レオナルド・ダ・ヴィンチのよく知られた華々しい部分というよりは、出生から30歳くらいまでの葛藤や挫折といった部分に焦点が当てられた伝記・・というより、その時期のノートを元にした論考と言うべきだろうか。
少ない資料や時代背景から、彼を取り巻く状況を浮き彫りにして行くさまは、推理小説のようで面白く、最後まで一気に読めた。
万能の天才というと神の如き人物かと思っていたが、本書で描かれている彼は、どこまでも人間らしい。
中でも、科学者としての姿は、30歳くらいまでには、意外なほど地味である。
幼少期に移り気な性格のせいで身につけられなかった数学やラテン語の知識を勉強し直したり、
第一人者と呼ばれる技術者の設計図を模倣したりと、かなり泥臭い努力をしている。
また、30歳までには現代のように認められることはなく、その後フィレンツェからミラノに「都落ち」してから本格的に才能が花開くことになるという。
(そこは本書では描かれていないが。)
現代での知名度を考えると、生まれついての才能の部分も相当に大きいのだと思うが、その裏に、こうした試行錯誤と失敗の連続があったというのは少々意外だった。
その後の彼の活躍の記録もそのうち読んでみようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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著者プロフィール
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