岡山出身、女子マラソンで2度もメダルを獲得した有森裕子さんの自伝。激動の半生を、自ら綴っている。そこには、人と比べず、自分の成長だけを見つめること。他人以上の努力。意志の強さ。といった熱いメッセージも込められている。
有森さんは、2019年NHK大河ドラマ『いだてん』の元になった人見絹江さんを尊敬しており、時代を切り開く様は、重なって見える。(人見さんは1928年アムステルダムで日本女性選手として初のメダル。有森さんは1992年バルセロナで、人見さん以来2人目、64年ぶりの快挙。)
生まれたときに股関節脱臼だったこともあり怪我が絶えず、恵まれた身体とはいえなかった。様々な葛藤を抱えた時期もあった。それでも、ひたすらに努力し続けて、結果が実を結んだ。
しかし、そこで終わらず、これからも続いてくる未来の選手のために、自ら道を作っていく姿がとても印象的だった。(日本陸上選手初のプロ契約etc)
・「好きこそ、ものの上手なれ」この言葉は、私にとっては贅沢な言葉だ。
・練習中、長い間私は勝ったことがなかった。練習は勝負の場所ではない。自分が本当に成績を出さなくてはいけないのはどこなのか。これを肝に銘じておく。
・これまでは、自分のためだけに走っていた。でも、これからの走りは、私を含むメダリスト、アスリートと言うものを視野に入れての戦いになっていたのだ。
・メダルを取った後の人生の方がずっと長いのに、そのメダルに押しつぶされて生きていくなんて、できない。してはいけない。後に続くアスリートたちの為にも、私はもう一回オリンピックに出て実績を残し、選手の環境を少しでも変えていけるようなことをしなければ。
スペシャルオリンピックス日本の理事長も務められおり、大学時代に興味が湧いて、読んだ本。