心理療法序説

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000026901

作品紹介・あらすじ

著者が京都大学を退くにあたって、臨床心理学者・心理療法家としての長年の体験とノウハウを懇切・平易にまとめた、画期的な概説書。人間の心に関心を抱くすべての人にとって必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 実務に沿ったアドバイス集のような感じだったので、全体の編集が治療者で無い自分にはなじまなかった。

    ・ある治療者に対して、クライエントが自殺をしたいと思うが、その勇気がない。しかし、ここからの記と、駅までは自動車の交通が激しいので、交通事故に見せかけて死んでしまおうと思うと言う。あげくの果ては、「先生、すみませんがせめて駅まで送って下さい」ということになり、この治療者は安易にそれに従がって、以後はクライエントの依存心を強化してしまって、非常に困難な状況になっていった。
    このとき、以上の事を予想して、もし送らないとするとどうだろうか。もちろん、そのときは自殺はしないという判断にたってのことだが、もし、それでもクライエントが死ねば大失敗ということになる。こんなときに、いつも通じる「正しい答」などというものはない。治療者はともかく判断を下して行動しなくてはならないが、このとき、送ってゆくのと送ってゆかないのとを比較すると、後者の方がはるかに心的エネルギーを必要とすることは明らかだろう。
    心理療法家はできる限り、心的エネルギーを使う方に賭けるよう心がけるのである。それを間違って、クライエントのために、あちこち走り回ったりするのを「熱心」と思ったりする人がある。

    ・「科学は客観的真理と誤解されている。しかし、科学は実在の世界(第一世界)を個人の心の世界(第二世界)が描いた社会的な表象(第三世界)にすぎない」―ピーター・ミッチェル

    ・このようなとき、ピストルの話を聞いて、そのときは黙っていて、クライエントと別れてから陰で警察に通報したりするのは最低のことである。そのような裏切りをしてカウンセリングができるはずはない。それでは、中学生がピストルをもっていると知って、警察に言うのか、言わないのか、あるいはそのどちらも駄目とするとどうすればいいのか。このように二者択一的考えに陥り、どうにもならないと思うのは、事態が見えなくなっている証拠なのである。そのように結論をすぐ焦る態度ではなく、この少年はどうしてピストルなどをもつことになったのか、その事実はなぜ、他ならぬ今、この自分に告げることになったのか、などについて、少年および自分自身をとりまく状況全体の流れのなかで見ていると、解決法が浮かびあがってくるのである。

  • 図書館所蔵【146.8KA】

  • 2005

  • 著者が京都大学を退くにあたって書かれた<br>
    画期的な概説書。とあります。

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著者プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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