記憶のエチカ―戦争・哲学・アウシュヴィッツ

著者 :
  • 岩波書店
3.80
  • (6)
  • (5)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 47
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000027519

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 戦後50年目の8月に出版されたこの本は、集合的記憶、トラウマ的記憶などの「記憶」論が噴出してきた時期の論考の極めつけとも言えるものだと思う。

    証言の不可能性、アーレントの「忘却の穴」などに言及する部分もよかったが、「従軍慰安婦」の問題とレヴィナスの「繁殖」性を結びつけた第4章「満身創痍の証人が特に勉強になった。

  • 本人の講義に出席した時に教科書指定で購入。以後何度か読み返したが、ある時友人にあげてしまった。今回また読み返してみて、とりわけ第一章における論の展開の鮮やかさに印象付けられた。

    しかし、この手の「記憶のポリティックス」について論じる哲学者はみな共通して、詩や芸術的作品を「表象不可能な物を表象するための手段」と見なしがちなところが不満である。たしかに大いにそういう面はあるが、もちろん芸術作品の可能性はそれにとどまらない。要するに、「芸術」を時として、論理の彼岸に想定しつつ、逆に自己の議論を強化するために用いると言う点が嫌である。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1956年福島県に生まれる。1983年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。哲学専攻。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『逆光のロゴス』(未來社、1992)『記憶のエチカ』(岩波書店、1995)『デリダ』(講談社、1998)『戦後責任論』(講談社、1999)『歴史/修正主義』(岩波書店、2000)『証言のポリティックス』(未來社、2004)『靖国問題』(筑摩書房、2005)『沖縄の米軍基地』(集英社、2015)ほか。訳書に、デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房、1993)『有限責任会社』(共訳、法政大学出版局、2002)『ならず者たち』(共訳、みすず書房、2009)などがある。

「2016年 『他の岬 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高橋哲哉の作品

ツイートする