いま家族とは

  • 岩波書店
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000027922

感想・レビュー・書評

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  • どんな人でも、家のなかでは有名人なんです。赤ん坊として生まれて、名前を付けられて、有名な人なんですよ。たいへんに有名です。家のなかで無名な人っていないです。それは、たいへんな満足感を与えるんです。私は、人間がそれ以上の有名というものを求めるのは間違いではないかと思いますね。そのときの「有名」が自分にとって大切なもので、この財産は大切にしようと思うことが重大なんじゃないですか。
    最後は、お互いに見知らぬ人になり、そのときには家族のなかでさえ無名人です。やがて物になる。人でさえない。そのことを覚悟すればいいんです。

    自分は、かつて家のなかで有名な「者」であった、その記憶を大切にする。そして、やがて自分は「物」となって、家族の者にとってさえ見知らぬ存在になっていかという覚悟をして、そして物としての連帯に向かってゆっくり歩いていくという覚悟をもって、家を一つの過渡期として通りぬける。それが重要なんじゃないでしょうか。

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著者プロフィール

922−2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

「2022年 『期待と回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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