性愛論

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000029865

作品紹介・あらすじ

誰しも避けて通れない永遠の問い。猥褻から恋愛幻想まで、解きほぐすことの難しい、性愛という複合的な現象に挑む社会科学の冒険。

感想・レビュー・書評

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  • 本書に収録されている諸論文が発表されたのは、日本でフェミニズムが確立されていった1980年頃です。著者は、そうした動向を眺めつつ、原理的な社会学理論に基づいて性愛を考察することを試みています。

    著者は、身体と身体が直接に出会うところから始まる「性愛空間」と、言語によって媒介された公共的な社会空間とを区別し、両者の関係について考察をおこなっています。たとえば「猥褻」と呼ばれる現象は、この2つの社会的空間の侵犯に対して名付けられたものだと考えられます。

    また、ユダヤ・キリスト教から近代のピューリタニズムに至るまでの、ヨーロッパにおける性愛の政治学についても、考察をおこなっています。こうした試みは、フーコーの晩年の課題と重なりますが、著者の議論はフーコーの系譜学とは違い、ウィトゲンシュタインの言語ゲームを独自に受け取りなおして発展させた、「言語派社会学」の方法に基づいています。フーコーのような「自己のテクノロジー」へ向けての微細なまなざしはありませんが、社会的な規範システムの総体を、歴史的な形成プロセスを追いかけながら記述することが試みられており、興味深く読みました。

  • 『いまこの国で大人になるということ』の中の「読んでご覧」に出てたので、
    その流れで…。
    愛と性が結びつく根拠が、知りたかったのだけれど、それはキリスト教側からしか書かれておらず、不完全燃焼な気分。
    どちらかというと、性愛ありきで、その歴史と仕組みを読み解く本かな。
    フェミニズム抜きで性を語りたかった←と、著者。

  • 橋爪の性愛論。
    この人こういうこともしてるんだね。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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