知られざる原発被曝労働―ある青年の死を追って (岩波ブックレット (No.390))

著者 : 藤田祐幸
  • 岩波書店 (1996年1月22日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (63ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000033305

知られざる原発被曝労働―ある青年の死を追って (岩波ブックレット (No.390))の感想・レビュー・書評

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  • 10年以上前のTOPIC、問題意識の端緒として非常に興味深い内容でした。
    ただ、裏づけが微妙な状態で、予断が強いかなとの印象も。

    値上げ云々の前に、必要な情報を的確に公開してほしいところです。

  • 企画コーナー「今、原発を考える時」(2Fカウンター前)にて展示中です。どうぞご覧下さい。
    貸出利用は本学在学生および教職員に限られます。【展示期間:2011/5/23-7/31】

    湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1247120

  • 次号『We』では、藤田祐幸さんのインタビューを掲載する。藤田さんの本はいくつか図書館にあり、この古いブックレットは現在手に入らないこともあって、予約して待っていた。

    順番がまわってきて借りてきて、昨日読んだ。ほんまに原発って、運転中も、定期点検で止まってるときも、こんなに被曝者をうみだすんやとぞっとした。今も、福島や他の原発で、こんな風に被曝をしながら作業してはる人がいてるんやと思うと、つらいものがある。亡くなった嶋橋伸之さんは、とりわけ定期点検中の作業で被曝をかさね、8年半のあいだに累積で50ミリシーベルトの被曝となったころに白血病を発し、29歳で亡くなっている。

    嶋橋さんのご両親は、会社側から、「今後なんの異議もいいません」という念書をとられ、労災並みの弔慰金の支払いを受けた。だが、そこに、労災認定を求めることは禁じていないのに着目して、申請を決意した。慎重に準備をおこなうあいだに、申請準備を察知した会社側はご両親に圧力をかけてきたという。

    ▼そんなことをすれば反原発派に利用されるだけだ、というのが会社側の言い分だった。それに対して、母親の美智子さんは、私たちが反原発派を利用するのです、と答えたという。(pp.12-13)

    このブックレットが出た当時で、日本で原発に起因すると労災認定を受けたのはわずか3人。嶋橋さんはその1人だ。
    50ミリシーベルトは、「放射線業務従事者」が、年間ここまでの被曝は許されるという基準値(5年間で100ミリシーベルト以下、女性や妊婦はもっと低い基準値)。一般の人の年間被曝限度は1ミリシーベルトとされているから、50倍。(★この基準は、電離放射線障害防止規則[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000041.html]の2章で定められていて、7条では事故の際の緊急作業では100ミリシーベルトまでの被曝が許容されていた。このたびの原発事故で、福島第一原発での緊急作業に限り、この基準がさらに引き上げられ「250ミリシーベルト」となった※。)そして、文部科学省は、子どもの年間被曝を20ミリシーベルトまで許容した※※。嶋橋さんの年間被曝量は最大だったときで9.8ミリシーベルトだった。

    ※「平成23年東北地方太平洋沖地震の特にやむを得ない緊急の場合に係る実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」
    http://www.houko.com/00/RINJI/04/H23/8_040.HTM

    ※※「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」(文部科学省)
    http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm

    この一般人の50倍(現在の福島原発の作業に関しては250倍)という被曝を放射線業務にかかわる労働者は法的に認められているため、「法で定められた限度よりはるかに低い被曝であって、安全性に全く問題はなく、会社側に何の責任もない」という会社側の記者会見での発言が出てくる。

    この理屈は、「暫定規制値」という食品の放射能汚染の基準値にもみられる。3月17日発表の「放射能汚染された食品の取り扱いについて(厚生労働省)[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf]」では、食品キロあたり、放射性セシウムで500ベクレル(水や牛乳は200ベクレル)、放射性ヨウ素で2000ベクレル(水や牛乳は300ベクレル)などとなっている。1986年のチェルノブイリ原発事故をうけて、輸入食品では暫定限度が放射性セシウムで食品キロあたり370ベクレルとされた。放射能汚染に関しては、現在のところ輸入食品のほうがまだマシだということになるのか。

    中国新聞の2000年の企画連載「被曝と人間」[http://www.chugoku-np.co.jp/abom/00abom/ningen/]の第3部「ある原発作業員の死」に嶋橋さんについてのシリーズ記事がある。
    特集 原子力施設作業員の被曝(3/22)
    [1] 白血病/闘病2年 力尽きる(3/22)
    [2] 原子炉の下で/身かがめ点検 調整(3/23)
    [3] 手帳は語る/線量 定検時に上昇(3/24)
    [4] 2つの基準/法定線量以下で労災(3/25)
    [5] 高いハードル/がん、救済基準なし(3/27)

    嶋橋さんの母・美智子さんは、藤田さんと出会い、原発について知り、息子の労働を知るにしたがって、「原発に息子を奪われた母親として、ただ弔慰金を受け取ってひっそりと暮らすだけでは、息子の死を無駄にすることになる、原発労働の実態を明らかにし、隠された多くの事例を明らかにし、同じ悲劇を繰り返さないようにすることこそ、息子が望んでいることではないか」と考えるようになったという。そして、労災申請と認定。その後、美智子さんは、『息子はなぜ白血病で死んだのか』を書かれたという。これも読んでみようと思う。

  • 福島原発事故を収拾するために放射線の強い現場で働いている労働者たちの姿を見るにつけ,私はこの本に紹介されていた事実を思い出さずにはいられませんでした。そして10数年ぶりに本書を読んでみました。「原発というのは被曝労働者の存在を前提にして動いているのだ」「被曝した人たちは確率的に晩発性障害に蝕まれることになる」―そんな現実を教えられ,テレビで見せられ…私たちは電気のために,とんでもない世界に迷い込んでしまったのでしょうか。

  • 分類=原発。96年1月。『エントロピー』、『ポスト・チェルノブイリを生きるために』に続く藤田氏の3冊目の著書。

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