- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000036580
作品紹介・あらすじ
近代市民革命をへて形成された「人権」は、実は男性だけの権利だった。女性の権利が排除され続けてきたのはなぜか?人権史の欠落部分を補完し、新しい時代をになう男女の課題を展望する刺激的な一冊。
感想・レビュー・書評
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とても分かりやすくまとめられています。世界の法的なジェンダー事情の経緯を大まかに知ることができます。
ただ、筆者が一貫して主張しているジェンダー問題は世界共通のもの、という主張には疑問が残ります。
男女格差は多くの国で見られますが、その内容は日本のように経済効率性と関連するものや、アジア諸国のように宗教や文化的背景に大きく影響するものまで多様です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全体は二部構成。第一部「「人権」の確立と女性の権利」では、近代市民革命における「人権」の確立の営みが、実際には私法上も公法上も女性の権利を確立しない営みであったことが歴史的に示される。その際、特にフランス人権宣言に触発されたフェミニストの先駆者――コンドルセとオランプ・ド・グージュ――の所説が紹介される。フランス革命がまず論述の対象とされてから、それに影響を受けたメアリ・ウルストンクラフト、選挙法改正期のJ. S. ミルの女性参政権論など、主に19世紀ヨーロッパにおける女性の権利論とそれに対抗する潮流が紹介される。最後に、近代日本における女性の権利をめぐる状況が考察される。それから第二部では、主に国際連合を中心とする女性の権利を確立しようとする取り組みが紹介される。第一部では性役割分担論と特性論に基づく権利の担い手の差別が批判されながら、第二部では時折女性特有の価値観が重要であるといったような言明が見出される点は、著者二人の立場が必ずしも一致しないことを意味しているかのように思えて興味深いが、基本的には、権利論を中心とするフェミニズムの歴史を辿る際の論点が簡潔に示されていて、非常に勉強になった。
著者プロフィール
辻村みよ子の作品





