- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000040969
作品紹介・あらすじ
天使の"コピー"か複製のバベルか。自己増殖する複製文化の無限軌道をコピーする現代的のセルフ・ポートレート。
感想・レビュー・書評
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「コピー」というテーマについて、6人の論者が論文・エッセイを寄せています。
美学者の増成隆士による「複製技術とシミュレーション―現代芸術が提起する問題を中心に」は、たんに外的な構造を複製することとは区別される、内的な構造まで含めて複製するシミュレーションが、対象を理解することにつながっていることについての考察が展開されています。
科学哲学者の横山輝雄による「進化と学習機械」は、進化論をとりあげ、人間を機械論的に説明しようとする試みとそれに反対する議論の錯綜を調停する道を示そうとしています。
フランス文学者でパスカルの研究者として知られる塩川徹也の「虹と秘跡―記号から表徴へ」は、ポール・ロワイヤル論理学やパスカルの思想において、聖体にかんする問題がどのように論じられていたのかを明らかにしています。
ギリシア哲学の研究者である小池澄夫の「ミーメーシス」は、プラトンやアリストテレスにおいて「ミメーシス」というテーマがどのようにあつかわれていたのかを解明しています。
わが国におけるオートポイエーシス論の第一人者である河本英夫による「円環 禁止 権力」は、リンネの分類学の検討から議論を説き起こし、とくに生物とそれについての知におけるシステム論的な構造についての考察をおこない、最終的には科学社会学的な側面にかんする議論が展開されています。
哲学者の坂部恵による「〈うつし〉〈うつし身〉〈うつしごころ〉」は、パースの記号学を参照して、「コピー」と「うつし」や「しるし」の含意のちがいを論じています。詳細をみるコメント0件をすべて表示