宗教クライシス (21世紀問題群ブックス 11)

  • 岩波書店 (1995年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784000044318

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  • オウム事件後に書かれた本。統一教会のことがあって再読。 著者によれば宗教とは、日常意識から離れた変性意識状態における聖なる体験がベースだという。シャーマニズムが宗教の始源であることを思えば妥当だろう。 ただ、オウムのような変性意識への導入よりも、言葉によるイデオロギー的洗脳を基本にする統一教会や幸福の科学などのカルトをどう位置づけるか知りたいと思った。

  • 現代の社会に閉塞感を感じている人びとが、宗教に解放を求める例が増えています。社会システムは個々人の「死」の意味を与えることができないのに対し、宗教は個々人の「死」に意味を与えることで、社会のなかの交換可能な役割に還元されない「本当の私」や「絶対的な私」を求める人びとの期待に応えようとします。ここに、現代において人びとが宗教を求める理由があると著者はいいます。

    しかし、宗教は人びとに「死」の意味を与えることで、社会の外部へと通路を「開く」と同時に、特定のコスモロジーに人びとを囲い込むような「閉じる」役割を果たしていると著者は指摘しています。宗教心理学の研究は、深い宗教体験のなかで感得される、いわくいいがたい「絶対的な私」の感覚が、あらかじめ定められている神話や教団の教義によって具象的なイメージへと統合されることを示しています。このことは、コスモロジーを共有する人びとの一体感を強めると同時に、特定のコスモロジーを絶対的なものとみなすような傾向を助長する危険性をともなっているのです。

    現代の宗教が直面しているのは、こうした宗教的なコスモロジーに内在するイデオロギーへの盲信を乗り越えて宗教多元主義を実現することだと著者はいいます。さらに、ただ一つの回答を与えるものから、探求し尽くすことのできない世界の奥深さを開示するものへと転換することで、社会システムからの解放と宗教多元主義を両立させるような新しい時代における宗教の可能性を見ようとしています。

  • 宗教に傾倒していく若者の心理を説明する過程として、現代社会における非日常の喪失と人間性の埋没が引き起こす問題について述べている。

    文章が読みやすく。、まるで筆者目の前にいて解説しているかのような感じ。ついつい引き込まれてしまう。

    宗教体験に用いられるドラッグによる「変容した意識」っていう学説が面白かった。思い込みの力ってやつ。プラセボ効果。たしかに、マリファナよりずっとずっとカフェインのほうが依存あるんだよね。

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著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき) 東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は文化人類学。特に宗教、癒し、社会変革に関する比較価値研究。著書に『生きる意味』(岩波新書、2005年)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書、2008年)、『愛する意味』(光文社新書、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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