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- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784000045568
感想・レビュー・書評
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やっと読み終わった。ものすごく濃い内容であった。
一面では80年代、という時代がよく表れている観はあるけど(世界
システム論の評価とか)、それにしたって、今読んでも非常に多様な
論点に富む刺激的な内容だ。
印象的だったのは、「従来のボナパルト登場論は、社会的条件と理念との
間にみられるこの共鳴作用に注目してきた。しかし見落とすことのでき
ない重要な問題は、共鳴作用の社会的形態、換言すれば共鳴作用を媒介
する社会関係がいかなるものかという問題」である、という指摘。
この指摘は、政治史が政治過程史にならないために傾聴すべき価値の
ある文言だと思う。
本来はウォーラーステインの世界システム論に触発された、世界資本主義
体制の構造と展開の描き方を「政治・経済・社会」に配慮して描くことに
力点が置かれている著作だと思う。
もちろんそこから零れ落ちる問題はたくさんあって(サバルタン、女性
でも子供でもそうだと思うが)、そのことにも注目しなければいけない
けれど、だからといって、「政治・経済・社会」的観点の中にも大切なこと
はたくさんあると思うのだけどな。
まあ、僕が政治史なんていまやすたれたものに興味があるから、そう思う
のかもしれませんが。
そういう立場からすると、古典的(というほど古くもないか)名作として
読むべき本だなあ、といまさらながら改めて感じました。
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