意識をめぐる冒険

  • 岩波書店 (2014年8月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (382ページ) / ISBN・EAN: 9784000050609

みんなの感想まとめ

意識の本質を科学的に探求する本書は、著者の情熱と深い知識が光る作品です。物理的世界とは異なる意識の存在を考察しつつも、それが物理的な現実によって生み出されているという視点を提供しています。読者は、最新...

感想・レビュー・書評

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  • 意識をめぐる冒険

    村上春樹の名前も文中に登場するので明らかに「未をめぐる冒険」のもじり題。
    前に読んだガザニカ氏がどちらかというとホロニストでしたが、著者自らが語っているようにコッホ氏はばりばりの還元主義者のようです。(とはいっても後半は還元主義を超えた話になってきますが・・・)
    大昔からある「意識は脳のどこから来るのか?」という疑問に科学的な手法を用いて著者が辿った軌跡を数々の実験結果や理論から解説しています。哲学や宗教のみが今まで向き合ってきた意識とはという問いに対して科学的アプローチがだんだんと市民権を得て、多くの研究者が様々な分野の知を結集して臨んでいることを知りました。
    汎心論、統合情報理論など今まで知らなかった知識もためになりました。
    著者が言っているように、この研究は道半ばということで、ちょっと歯切れが悪い部分や尻切れトンボのところもありますが、知的でスリリングな冒険を堪能することが出来ました。
    あと20年くらい経った際の最新の知見が知りたい。そんな期待を抱かせる内容でした。

    竹蔵

  • 意識は特別なものではなく、進化の過程で合理的に形成された自動反応メカニズムだろうということです。だから、私の脳のニューロンと他のニューロンとの電気パルスの伝達を決めているシナプシスの値が、すべてシミュレーションされると、私の意識が計算機上に出てくるだろうと思われます。ニューロンとシナプシスの構成は単純なので、枠組み作りは不可能ではない。ただ、一本のニューロンは1万の他のニューロンと繋がっているし、数は千数百億本あるので、簡単ではないですね。一番の問題は、シナプシスの結合係数は数が多すぎて計測しようもないだろうから、自習学習が必要だろうけど、その方法は全くわからないですね。そういう意味では、本当の人工意識まだまだ先ですね。
    あと、意識は生物には普遍的な進化の産物だと考えてられるので、他の生物にもレベル差はあっても、意識はあると考えるのが合理的です。自分を客観的に見れるのは、人と同等レベルの脳構成が必要かもしれませんが。犬に感情があるのは歴然ですし、感情は意識そのものだから。コッホ氏もベジタリアンになったそうです。

  • 意識を科学的に説明しようと20年も頑張ってこられたクリストフ・コッホさんの本。たぶん、一流の科学者の方であろう。しかし、科学について書かれた一般書を読むといつも科学者の方の情熱に感心する。凄いなぁと思う。

    2011年に書かれた本なので、かなり最新の情報が盛り込まれていると思う。コッホさんの考えでは、意識そのものは物理的な世界とは別世界のものではあるが、物理的な世界によって生み出されているということのようである。といっても魂が存在するというようなものではない。

    本書でも触れられていた、ポパーさんとエックルズさんの「自我と脳」を読んでみようと思った。なぜなら、彼らが心と脳は別物で心身二元論を主張していると批判されることもあるが、ポパーさんの主張はそう単純ではなく、むしろ、コッホさんの考えに近いんじゃないかなと思ったからだ。

    それと、科学に関する本なんだけど、なんだかとてもロマンティックで、ところどころでグッと来る文章がに出会えた。いやぁ~いい本だった。

    Mahalo

  • 池谷裕二先生が
    「読売新聞」(2014年9月14日付朝刊)で紹介しています。
    (2014年9月14日)

  • なかなか難解。ニューロン、シナプス、伝達物質というメカニズムについてはサラリと。
    読了 90分

  • 人間の意識に取り組んだ悪戦苦闘の書。
    佐倉統2014年の3冊

  • 筆者のクリストフ・コッホが、フランシス・クリックと繰り広げた、「意識」の源をめぐる知的冒険の世界を堪能することができた。

    意識がなぜ生まれるのか、これを還元論的に脳の働きを分解していくことで説明することは難しい。実際には、意識の生まれる際に働く脳の機能の構成要素をある程度まで突き止めることはできるが、最終的に意識の生成過程を還元論的に説明することは不可能である。

    意識の生成に必要な要素を整理したうえで、意識の謎にさらに分け入っていくためには、意識の役割、意識を持つことの意義についても考えていく必要がある。

    本書の中で筆者は、意識が存在する理由は、我々は不確実性やランダム性を持った状況に直面しながら生きており、そのような局面において行動を決定していくためには、無意識の働きだけではだめだからだということを述べている。

    そのような観点に立って考えてみると、脳が、外部から入ってくる様々な情報や日常の行動(何かを手に取るといった一見「意識的」な行動も含めて)の多くを無意識の制御下で行いながらも、ある程度の情報を「意識」するということを行っているのは、非常に意味を持った働きであると思える。

    また、本書は脳神経科学の研究成果を解説しているだけでなく、筆者の生い立ちや研究のプロセスにおける様々な障害、日々の人生における悩みや喜びといった、筆者の半生を振り返るような内容も盛り込まれている。

    科学が純粋に理論や実験によって組み立てられるのではなく、研究者が形成してきた人間観や周囲の環境との相互作用、過去の歴史との対話によって方向付けられていくということも手を取るようによく分かった。

    そういった点も含めて、知的探求の世界の面白さ、ドラマチックな側面を十分に味わうことのできる本だった。

  • ふむ

  • 「情報を処理し、なおかつその情報を統合できるシステム」
    あるいは「内在的な情報を生み出すシステム」であれば、
    それが人間の脳だろうと、犬の脳だろうと、虫のであろうと
    ワイヤーとトランジスターで作られた電子回路であろうと
    何らかの意識を持つとする「汎心論」とも言える考え方が
    印象に残る。「意識」は人間において初めて獲得することの
    できた特殊なものではなく、この宇宙にありふれている、
    ごく当たり前の存在だというこの考え方が、なぜかすとんと
    腑に落ちてきた。日本人には割と受け入れやすい考え方なの
    かも知れない。

    ただ、研究は進み知見はどんどん増えているとは言え、意識
    に関する科学的探求はまだほんの端緒を開いたばかり─この
    本を読んでもその思いは変わらなかった。

    あと、これからの哲学者・宗教者は脳科学を押さえておか
    なければ、立ちゆかなくなる、そんなことも思いました。

  • 意識はどこからくるか?かなり刺激的で面白い。科学がどこまでこの世界を明らかにできるのか?神とは?日本の八百万の神の考え方は作者が言う世界に蔓延する意識と何か通じるものがある気がする。突き詰めれば、意識はその入れ物によらないというのも、いつかは人類が到達するかもしれないなんて考えるのも楽しい。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784000050609

  • 「意識」に関する最新の研究について紹介した本。
    ディープラーニングの盛り上がりから機械に人格が生まれるのも時間の問題か、みたいな雰囲気になりつつあるけど。知能と意識の間には、まだまだ大きな隔たりがあるのだと気付かされる。

  • なぜ人の意識について研究するのかを著者自身の生い立ちに遡り説明し、宗教や哲学など交え意識とは何かを考察するのを導入とし、臨床医学や、様々な実験結果(人間が手を動かそうとするより先に手が動いているなど)などにより、その考察を深く掘り下げる。本書でも統合情報理論が取り上げられているが、汎心論の進化形と論じ、宗教の話に回帰しつつ、まだ最終理論にはならないと結論付けている。終章では宗教を批判しつつ科学の進歩が意識の謎を解くとしている。似たようなテーマの本を何冊か読みましたが、まだまだこれからの分野のようです。この先が楽しみです♪

  • まさに冒険。「意識の源を探求する最新の研究の現場は、どのような雰囲気に包まれているのか」、脳の複雑さのベールを一枚ずつはぎとる興味深い実験の数々を紹介しつつ、自らの直截な告白が語られる。プリズンブレイクの主人公のように、脳の回路図の入れ墨を肩に彫り込み意識の探求にかける意気込みを示す著者は、幾度も精神的な危機に陥る。師や妻との出会いと別れ。信仰心を失い、肉を食べるのをやめる。突然、死の不安に襲われた時は、世界に存在するすべての驚きとの遭遇に救われる。「今なお私は、この意識をめぐる冒険の真っただなかにいる」

    「ある脳機能が特定の部位に局在する」という考え方は骨相学の再来だと切って捨て、意識の話となると、重要な脳科学の知見をほとんど知りもしないのに展開される好き勝手な言説は徹底批判する。そのため、過去に蓄積された脳科学に関する膨大な知見や、繰り返し触れる基本概念はきっちりと抑えられている。

    しかし、難しい技術の話は早々に切り上げ、ロッククライミング中に崖から落ちた時の話や、息子のTVゲームをして自分が死にゆく運命にあることを実感するなど、自身の体験に話を移す。ひき逃げ事故で後脚が押しつぶされてしまった犬が、獣医の処置により車輪の助けで活発に走り回っているのを見た時、涙を流す話は印象的。犬はもしあの日に車に轢かれなければなどと考えないが、人間は自己を振り返ったり、仮定の状況を考えたりという能力を持ってしまったと概観する。

    例え話も実に多彩で、脳から意識が生じる過程は「まるで魔法のランプからアラジンが出てくるのと同じくらい不思議」と表現し、「煮込み過ぎたカリフラワーのような、茶色と灰色の混ざった脳」や、精神疾患に処方される薬は、「車のオイル交換をするときに、エンジンの外側からドバーっとオイルをぶっかけているようなもの」と結論づける。「すべてのニューロンという楽器はそれぞれ、音を奏でている時も、意識という演奏に参加している」なども心に残った。

    読んでて果たしてそうかなと思ったのは、「進化の過程で意識は洗練されれてきた」という箇所。未来についても、ネットワークに意識が宿る可能性や、意識の内容を電子情報として永遠に保存しようとする技術の開発などに期待を託しているが、先走りしすぎだろう。

    そもそも、意識の真の原因の探索は棚上げにし、「神経科学は意識と相関する神経活動を見つける」ことに今は専念し、「時期が来れば、科学はその疑問に応えられる」としている。いかなる仮説を持ってしても、意識と神経活動の関係性の説明にはなるが、なぜある種のニューロン活動から主観的な意識が生み出されるかを説明することはできないのだ。

  • 特に、自由意思と意識に関わる7章と8章は秀逸。
    意識が創発的な現象であるとする考え方はとても感覚的にわかり易くて受け入れやすいんだけど…それでは許して貰えないらしい。意識の存在することは誰にでにも自明なのに、そこから先へは各界の気鋭が束でかかっても一向にはっきりしないのは何故なんでしょうね…

  • 第一章をさらっと読んだ時は、ハード・プロブレム(心身問題)を中心に扱った、よくある啓蒙本なのかと思った。しかし終章の自伝的な記述を読むに至り、これは脳科学を専門とする著者が私生活で襲われた不思議な感覚ーー人生がいかに「無意識」に支配されているかーーの意味を探ろうと、自らの壮大な研究をもう一度つぶさに解し直した過程を描いた、まさに「冒険」の名に相応しいものであることに気がついた。

    著者の研究自体、「意識」そして「無意識」を還元主義の立場から説明しようとするもの。研究に研究を重ねたはずの対象に、研究外の思いがけないところで悩まされるというのが著者にとっては何とも皮肉だが、この皮肉が終盤立ち上がってきて別の角度からテーマを照らしなおすという効果が本書に特別の彩りを与えている。脳科学を巡るトピックが満載の本書だが、何と言ってもこの読後感がすばらしい。

  • 『意識をめぐる冒険』 我々はどこから来たのか - HONZ
       URL : http://honz.jp/articles/-/40727

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