確率・統計入門

著者 :
  • 岩波書店
4.00
  • (2)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 141
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000051576

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分にはレベルが高すぎた

  • 独特の語り口で、平易に確率・統計の基礎を教えてくれる教科書。

    とにかく、文学的な語り口と、定理の直感的意味合いにも踏み込む解説が魅力。

    例1:
    Bertrandの逆理の解説
    "その不統一ぶりを指摘しようとDさんは、ヘナヘナ曲がったあやしげな曲線を描き、その上に一様な分布があるとして、'答は不定だね、アハハ'とやったわけである。[...]真理というものがどこかにあって、それを究明するのが学問、ではなくて、何を仮定すれば何が結論されるかの論理の連鎖が学問である。どの仮定が真理への道か、などというせんさくは不毛である、と前節で書いたことをもう一度くり返そう。仮定が明確でなければ、結論がさまざまになることは、憲法第9条に限ったことではない"

    例2:
    チェビチェフの不等式の証明に関するコメント
    "この証明を見てずいぶん気前がいいと思わない人はいないだろう。[...]ここでは右辺の第2項、どまん中のふくらみの部分を、正だからという一言の下に切り捨てごめんしている。まるで大根の頭としっぽだけ残して、真中の部分を捨てるようなことをしている。まさに殿様のような贅沢をした不等式になっている。
    チェビチェフ氏にはお気の毒だが、数学に接するときは、これくらい悪たれを言う批評精神は是非ほしいところである”


    尚、一部、式の導出に不親切、または怪しい部分があるが(一様収束性を仮定しなければならない部分で何の断りもなかったり、厳密性に欠ける図形的な説明で先に進んだり、無限小を物理学的手法に扱ったり)、上記の長所はこれを補って余りある。

    共分散、相関係数、確率密度関数などをある程度知った上で、本格的に確率・統計理論を学習し始める上での、最初の一歩として、非常におすすめ。

  • 早逝した著者の意を継いで友人たちが出版したという経緯のせいか、通読してみると章によってニュアンスが異なるところもあるような気がする。しかし森一刀斎と同じような語り口は親しみやすく、読んでいても肩が凝らない。確率のテキストブックとして標準的なのかどうかはわからない。正規分布についてのフーリエ変換に関する双対性から物理学における「不確定性原理」を読み物的に紹介するところは面白かった。また、「帰無仮説」は「ながしびな」のようなものというのは、印象に残る表現である。

全3件中 1 - 3件を表示

小針アキ宏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×