科学ジャーナリズムの先駆者 評伝 石原純

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  • 岩波書店 (2011年9月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784000052139

みんなの感想まとめ

科学ジャーナリズムや教育の重要性に焦点を当てた本作は、理論物理学者であり歌人でもあった石原純の波乱に満ちた生涯を描いています。彼は日本初の相対論や量子論の論文を発表し、科学的精神の啓蒙に尽力しました。...

感想・レビュー・書評

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  • 石原純という名まえを聞いてすぐ反応できるのは、物理をかじった人か、あるいはアインシュタインにとくに興味を持っている人くらいだろう。石原はアインシュタイン著「物理学はいかに創られたか」の訳者である。私も、その訳者ということでしか石原のことは知らなかった。どういう人物で、ほかにどういうモノを書いていたのか、今回本書を読むことで初めて知ることができた。おもしろい。やはり伝記は抜群におもしろい。石原の物理学における専門的な功績はもちろんあるだろう。しかし、それ以上に一般向け、あるいは子供向けに書かれた物理学や相対論や科学論や科学教育などの本の方が大きく後進に影響したようだ。朝永や湯川も刺激を受けたとのこと。石原が科学教育について書いたことがらを著者があとがきでまとめている。「科学教育では科学的に知られたことばかりを教える(知識の詰込)のではなく、科学的に知られていないことがいかに周囲に満ちているかを十分に説明する必要がある。子どもたちが自発的に疑問を抱くように、しかも適切な疑問を抱くように導かねばならない。子どもたちの質問に対してはなるべく子どもたち自身で解答を見つけ出せるように指導しなければならない。」このことは肝に銘じておきたい。石原は、また歌人でもあった。そして、歌人原阿佐緒との不倫スキャンダルで東北大学を退職している。そこで専門家としての道が途絶え、雑誌「科学」や理化学辞典の編集にたずさわるようになった。晩年は戦時下での社会的な発言も多くなる。最期は、交通事故、あるいは暗殺? 66年の人生であった。本書は岩波「科学」に連載されたものをまとめたもので、非常に読みやすく仕上がっている。著者に雑誌への原稿を依頼した編集者とは3ヶ月だけ同じ職場で働かせていただいたことがある。一度、飲みにも連れて行ってもらった。いまも良い仕事をされているようだ。図書館に購入していただきました。手元に置いておきたいけれど、高いし、かさばるし・・・

  • およそ くろいものほど ひかる。いましめられる非常時の なにとない おののき。 
      石原 純

     昭和初期に、掲出歌のような非定型の「新短歌」を推進した石原純。理論物理学者であり、日本で初めて相対論、量子論の論文を発表した人物でもある。とはいえこれまで、その全業績はほとんど伝えられてこなかった。昨年、生誕130年を機に初の評伝が刊行され、興味深くひもといた。
     歌人としての出発は、東京帝大入学のころ。伊藤左千夫に師事し、学生時代から「アララギ」の有力歌人として活躍した。しかし父が病死し、生活のために講師をかけもちしながら大学院で研究に没頭。歌風もしだいに変化していった。
     東北帝国大学に赴任後、ヨーロッパに留学する機会に恵まれる。当時パリに滞在していた島崎藤村とも親しく交際したという。敬愛するアインシュタインに面会した際は、〈名に慕へる相対論の創始者にわれいま見ゆるこころうれしみ〉という喜びの歌も残している。
     帰国後、歌人・原阿佐緒との恋愛事件のために教授職を辞した。それが、科学ジャーナリストしての職の始まりにもなった。
     石原が力を尽くしたのは、「科学的精神」の啓蒙である。たとえば地震予知についても、流言に惑わされない科学的教養を一人一人が持つべき、と説いていた。
     戦時下には、科学が「軍用科学」に導かれることを批判し、軍部や国家と対立。執筆の場が減らされても、自由主義を重んじたという。その科学者らしい誠実さが、評伝でも読みどころである。敗戦直後の交通事故がもとで1947年に死去。享年66。

    (2012年2月19日掲載)

  • 石原純先生は理学部物理学科の初代教授陣のおひとりで、東北帝国大学にアインシュタインを招聘するきっかけ作られた先生です。
    科学ジャーナリストとしての石原先生に焦点をあてた本だそうなので、ちょっと読んでみたいです…

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