- 岩波書店 (2022年6月16日発売)
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感想 : 43件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784000054157
作品紹介・あらすじ
つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない。著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて、学力の基盤となることばの知識、数・形の概念理解、推論能力を測るテストを開発。その理念と内容、実施結果を紹介し、それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを質的・量的に検討する。
みんなの感想まとめ
子どもたちの算数におけるつまずきを深く掘り下げ、認知メカニズムに基づいた分析が行われています。著者は、学力の基盤となる「ことばの知識」や「数・形の概念理解」、さらには「推論能力」などが、どのように算数...
感想・レビュー・書評
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普段、知識をどのように使っているかは、意識することはないが、知識を使うとはどういうことで、どのような能力が必要なのかの説明が、とても興味深かった。
実行機能、作業記憶能力、視点変更能力(他者視点取得能力)、推論能力、メタ認知能力などの認知能力が必要だとのこと。
実行機能・・・必要な情報にのみ注意を向け、不必要な情報への注意を抑制したり、注意を指示に応じて柔軟にシフトさせたりする能力、いわば注意をコントロールする認知機能。
作業記憶能力・・・作業記憶の容量や効率性の個人差は生まれつきの要因よりは、訓練による効果が圧倒的に大きいとされる。
視点変更能力(他者視点取得能力)・・・学力の前提となる基盤能力の中で必須であるが、子どもが身につけるのにとても苦労する力。
推論能力・・・教えられた情報が学び手の中で「知識」になるかどうかは推論にかかっているといっても過言ではない。
メタ認知能力・・・自分をちょっと離れたところから俯瞰的に眺め、自分の知識や行動を客観的に認知する能力。テストで解答後に見直しをするようにいくら指導されても、メタ認知が働かなければ、自分の答えの誤りに気づくことはできない。
子どもたちがどういったつまずきがあるか、その原因は何かを、膨大なデータをもとに、入念に分析されていたので、多くの知見が得られた。しかし、その解決策は、残念ながら書かれていなかったので、他の今井さんの本を読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもたちの脳の能力値に差があるのではなく、認知負荷を下げるための方略を持っているかの差に注目するべきということがわかりました。
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ゆる言語学ラジオから今井むつみ先生の魅力に触れ、書作初挑戦。
最近の子供たちは読解力が不足している、学力低下の危機と巷で騒がれ始め久しいが、認知心理学という学問の観点からのアプローチの軌跡を読み知れる。決して〇〇のせい!とは断定せず、複合的な要因があるのだと真摯な姿勢で説いているのが非常にアカデミックで好感が持てる。
言語能力が学力に深い関わりを持つという一般的な評判に対する金言
個別でことばを多く知っているのではなく、学力とは組み合わせによる推論力が重要
P164
しかし、そこで想定されている「言語能力」は、ほとんどが語彙のサイズ(どれだけ多くのことばを知っているか・・・)であった。しかし、・・・「語彙の深さと広さ」よりも、「空間・時間のことばの運用」のほうが頑健に「学力」を説明することを示したのである。
「1」に関する多義性への言及。これは曖昧に何となく使用しているけど、一義的なスキーマを持っていると抽象的な算数の理解の足かせになってしまうのか。
P116
「1」には、モノを数えるときに、1個ある、という意味で「イチ」を使う場合と、任意のモノの量を「1」として、それを分割したり、比較の基準にしたりするという意味の「イチ」がある。
自分も数学文章題に対して、部分点だけでもいいやという投げやりな態度で取り組んでいき、だんだん嫌になって諦めた口がある。どこに躓いているのか、自分のスキーマの更新や折り合いを避けていたのだなと痛感。
P183
抽象的な算数の概念と自分のスキーマがぶつかって混乱するからつまづくのである。
P184
算数が分からない、問題が解けない経験だけが積み重なってしまい、しまいには自分はいくら勉強してもしても算数文章題は解けないという学習性無力感に陥ってしまう
では、どのように謝ったスキーマを正していくよう指導するのか、家庭学習の大切さは次回に繰り越されている。次回作が待ち遠しい。 -
先日読んだ広瀬有紀さんの『ことばと算数』で取り上げられていたこともあり、こちらも読んでみることにした。
子どもが誤ったスキーマを身につけてしまうこと、それを修正するメタ認知が働かないことなどが印象に残っている。
ではどうするのか、についてはあまり具体的なことが書かれていなかったので、そういったことが分かればと思い、少し専門的ではあるけれど、この本も読んでみることにした。
(思いがけない自分の向学心?に自分で驚くよ。)
小学生のつまずきの原因をさぐるために、アセスメントとなるテストを開発し、その結果を分析したもの。
だから、本書でいう学力は、受験でいい学校へ受かるための学力とは少し違う。
この本での「学力」とは以下のようなものだ。
新たな情報を認知能力と推論能力を駆使して自分が既に持っている知識の体系に組み込み、統合し、拡張すること(p168)。
ただ知っていても使いこなせない知識は、学力ではないという立場だ。
そして、学習のつまずきとして6つの要因が挙がっていた。
1)知識が断片的でシステムの一部になっていない
例:足し算の手続きは知っているけれど、どういう時に使うべきかや、引き算との関係が理解されていない。
2)誤ったスキーマを持っている
例:数はものを数えるためのものという考え→分数や少数の概念の邪魔をする
3)推論が処理能力とかみ合っていない
例:複雑な手続きがいる作業だと、認知的負荷の高さに負けて推論が利かなくなる
4)相対的にものごとを見ることができない
例:100mを紙の上の10cmに置き換えて図示することができない
5)行間を埋められない
例:「30パーセント増量」という問題文の表現から、書かれていないもとの分量の「100パーセント+30パーセント」を掛けないといけないという推論ができない
6)メタ認知が働かず、答えのモニタリングができない
例:「14人の行列で自分の前に7人いる」という問題に対し、「14×7」と立式し「98人」という行列よりはるかに多い人数が出てきても気が付かない
7)問題を読んで解くことへの認識の問題
例:何のために算数を学ぶのかがわからず、文章に出てくる数字を適当に組み合わせて計算すればよいという考えを形成してしまう
これ、小学生だけの問題ではないのでは?
自分の周囲に中高校生、大学生を教えている人たちがいるけれど、これと似たようなことが起きているという。
これらの原因が取り除かれていないのか?
それともある課題については乗り越えても、上級の学校での学習課題の中でまた同じようなことを繰り返している、ということか?
さて、これら7つの原因を一つ一つつぶしていけるのかというと、そう単純ではないようだ。
それぞれの力が相関しているからだ。
例えば空間認知能力だけを取り出してトレーニングしても、算数の学力が高まるわけでもないという。
そこで著者たちが提唱するのは、つぎのようなこと。
上記七つの原因を複数組み合わせて学習課題を作り、認知処理の負荷をコントロールしながら取り組ませていく、ということだ。
その学習課題とはどういうものになるのだろう?という問題はあるけれど、問題解決への道筋が示されたことはすばらしいと思う。
また、簡単な問題から複雑な問題へ、という「教育的配慮」が誤ったスキーマを固定化させてしまう可能性があるという指摘は考えさせられる。
単純なものから難しいものへ、というのは、私たちが受けてきた教育のやり方だったわけだが、それに問題が潜んでいるということだからだ。
割り算なら、まず割り切れる数の計算で慣れさせて…という配慮が、「分数は整数で答えが出る」という誤ったスキーマを持たせてしまい、のちに割り切れない演算に進むとパニックを起こす…など。
なるほど、と思う。
が、スキーマの誤り方は人それぞれで、事前に対応などできないこともわかる。
だとすれば、個人が試行錯誤をして進む余裕が必要なんだろうが…それが集団教育じゃ多分難しいんだよね。 -
たんなる表面的な学力ではなく、学びの前提となる言葉の理解力や数や図形の知識・推論の能力を客観的に測る「たつじんテスト」を開発した経緯からテストの設計、それを使った調査の分析を通じて、こどものつまずきの原因をさぐる試み。
テストの誤答分析からどんな力が足りていないのか知り、指導や支援に活かすという取り組みは大事だとずっと思っていたので、こういう研究がすでにここまで進んでいたと知ってうれしい。出題内容、実際の正答率や誤答例、興味深いデータが盛りだくさんでありがたい。
結論として「ことばや数字を直接教えるより、子どもが言葉や数に自ら自然に興味を持つように環境を整えることが、就学後の学力を高めることにつながる」としているのは、想定の範囲内というか、経験的にも納得のできるまとめだと思う。 -
生きた知識と死んだ知識
私の目の前にいる子どもたちには
生きた知識をつけることができているのだろうか
体験の中で学んでいくってとっても大事だなって
思った。
また、幼少期の家庭にある本の冊数が
国語、算数の学力に関わりがあるって
聴いていたけれど、
データとして相関関係があって驚いた
文字にふれる機会を小さい頃からとるって
大事なんだな -
▼東京外国語大学附属図書館の所蔵状況(TUFS Library OPAC)https://www-lib.tufs.ac.jp/opac/recordID/catalog.bib/BC15284271
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認知負荷という考え方が面白かったです。人工知能も、負荷が高い問題は不得意そうな気がしました。
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子供の学力についていろいろな知見を得られた
知識を覚えるだけでは死んだ知識になるので、生きた知識にするためにどうすべきか
目の前の問題をどのように解くかのフレームワーク=スキーマの更新が必要
一方で個々の要素だけを取り出して鍛えることはそれほど有効ではなく、複数の認知的要素を統合して鍛える必要がある -
読前は、教科の学力や例えば国語では、読む、書く、話す、聞くのように独立した領域があるのが学力のイメージで、何処かに重点を当てて指導にあたると考えていた。読後、基礎学力とは何か?という本書のテーマを考えた。本書の中で教科の内容を「生きた知識」として使うために必要な能力は、実行機能、作業記憶機能、視点変更能力、推論能力、メタ認知能力が必要である。(P10)
これらを複合的に育てる視点を授業作りで持つには、一度達人テストを解いてみたいと,思った。またこのテストを活用して、授業作りの視点に生かすことは分析する時間はかかるが、必要なことだと感じた。
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子供に向けた勉強法があるのかと思ったが、テスト結果や要因の内容だった。日本語をしっかり読み解ける語学力が大事ということなんだと思う。
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学習のつまづきの原因を「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の結果を分析することで明らかにしてゆく。「生きた知識」を使うためには「実行機能」「作業記憶能力」「視点変更」「推論能力」「メタ認知能力」これらが複合的に関わる。子どもを順序づけるためのテストではなく、支援の手立てのヒントとすること。かつて算数が苦手だった子どもとして、確かにこれは引っかかるなぁ〜とか懐かしくも読んだ笑そもそも文章題って解く必要性が感じられないと適当に式に当てはめがちだったよな、と笑
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丁寧で緻密な分析結果は興味深いものがある。その結果から、どのような学習をすることが必要なのかを知りたいが、それは本書にはない。
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コロナがあって、人の顔や口や表情を見ながら話す機会が少なくなった。zoomやskypでは比較的一方通行の会話になりがちで、会話のキャッチボールがしにくい。画面越しで話を聞く際に、本質的に「耳を傾ける」動作が減った。家族の食事の時間がバラバラで、食事を摂りながらの会話が少なくなった。文字でのコミュニケーションは増えても、語彙は少ない。短文、単調、絵文字。空気を読む、正しいかの答え合わせは無い。もしくは間違えていた場合は、全て終わる。空気を読むのは、行間を読んだり行間を埋めたりする事とイコールでない。
読書から得られる文章能力の個人差が顕著になっている?ネットニュースは、興味がある事ばかり出てくるようになる。
他人と認識が違う事に気がつけるチャンスがない。一度の失敗でも人生の致命傷になりやすい。誤る事で得られる事より失うものの方が大きい。
他人に無関心でいる方が、辛い目に遭わない最善策となってる。諦めている事の方が、諦めないより心身へのダメージが少ない。
悪い意味で、合わない人と簡単に縁を切れる。逆に会う人を見つける手順はどこにも書いてないので分からない。分かった振りでも生きていけるけど、ずっとストレスから解放されない。 -
今井先生のウェビナーに参加して、興味があって読みました。子供の「わからない」を細分化して体系的に理解しようとする試みに、ただただ尊敬です。
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勉強会で購入して読んだ本。そうです、とにかく本を読まないとダメなんですよ!
著者プロフィール
今井むつみの作品
