実録 FUKUSHIMA――アメリカも震撼させた核災害

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000054713

作品紹介・あらすじ

福島でいったい何が起きているのか。日本側の対応は適切か。放射能の危険はアメリカ本土にも及ぶのか。自国の安全体制に問題はないのか-涌き起こる疑問と繰り返されるシミュレーションや議論。福島第一原発事故直後の10日間を中心に、アメリカの原子力災害への対応をリアルに再現し、原発のリスクとどう向き合うかを改めて問うノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 福島第一原発の事故を、これまでに明らかになった情報を基に詳細に振り返り、その上でアメリカの原子力安全基準についてどのような議論がなされたのかを検証している。

    印象深かったのは、原子力の安全を司るNRCの安全基準に対する思想は、基本的には変化しなかったという点だ。

    起こりうる事故の確率及びその被害額と、安全対策にかかる費用を比較し、合理的と認められる安全基準を定めるという考え方が根本にあり、今回の福島第一原発の事故を受けたNRCの検証も、その観点から行われているようである。

    また、規制を見直した際に現在稼働中の原子力発電所に対してどこまでの遡及をさせるべきかということについて、明確な基準が新たに導入されるということはなかったようである。

    一方、本書をまとめた「憂慮する科学者同盟」は、設計時の想定を超えた事故が起こることを想定したうえで、常に安全推進派であることの大切さを主張している。「このくらいで安全というのなら、もう少しやればもっと安全になるはず」という姿勢で安全対策に取り組みべきという意見である。

    福島第一原発の事故を考えるにつけ、「このようなことはわが国では起こりえない」とか、「十分な安全性を確保している」という発言は、よほど慎重に使わなければならないということを感じる。

    そうした認識のもとで、規制に対する考え方自体を、しっかりと議論していくことが大切だと感じた。

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