想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

著者 : 松沢哲郎
  • 岩波書店 (2011年2月26日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000056175

作品紹介

人間とは何か。それをずっと考えながら、日本で、アフリカで、チンパンジーと寄り添うようにして研究を続けてきた。彼らには人間の言語のようなことばはない。けれども、彼らなりの心があり、ある意味で人間以上に深いきずながある。人間の体が進化の産物であるのと同様に、その心も進化の産物だ。人間にもっとも近い進化の隣人を深く知ることで、人間の心のどういう部分が特別なのかが照らしだされ、教育や親子関係や社会の進化的な起源が見えてくる。この本では、チンパンジーの研究を通してたどりついた「人間とは何か」の答えをお話ししよう。

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心の感想・レビュー・書評

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  • 絶望するのも希望を持てるのも人間だけ。
    それが想像するちから。
    研究対象であるチンパンジーの幸福や権利を最優先している姿勢に感動した。
    エピローグとあとがきで泣きそうになった。

  • 松沢先生の本は過去にも何冊も読んできた。しかし、これだけはっきりとした主張を書かれたのは初めてだと思う。あとがきには「遺書のつもりで書いた」とある。「社会的な集団のなかで暮らすということがチンパンジーにとってはいちばん大切なことで、一人だけ取り出してエンターテイメント・ビジネスに使ってはいけない。それと同じように、チンパンジーを一人だけで暮らさせてはいけない。」30年以上もチンパンジーといっしょに生活してきたからこそ言えることばだと思う。「チンパンジーは絶望しない。それに対して、人間は容易に絶望してしまう。でも、絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望をもてる。どんな過酷な状況のなかでも、希望をもてる。人間とは何か。それは想像するちから。想像するちからを駆使して、希望をもてるのが人間だと思う。」長年チンパンジーと付き合ってきたからこそ分かる人間像。重いことばだ。

  • 人科は4属ある→「ヒト科ヒト属ヒト」といって,人間だけを特別視するかのような理解は正しくない。ヒト科は,ヒト,チンパンジー,ゴリラ,オランウータンの4属である。そもそも「サル目ヒト科」であり,「哺乳綱サル目ヒト科」である。


    言葉は経験・知識を持ち運ぶ携帯可能性がある。それを、他者と共有する。チンパンジーアイより引用。DNAにおいて、98.8%の塩基配列は同じ。
    →塩基が連続してつながったものが遺伝子。逆に言うと遺伝子の構成材料が塩基。

  • チンパンジーの研究を通して、人間とは何かが見つめられています。他者を理解するという営みにたどり着くまでの過程を読んで、改めてその尊さに気づきました。人間とチンパンジーは、遺伝子的にはほとんど同じ生き物。「隣人」がたくさんのことを教えてくれます。

    「今、ここ」を生きるチンパンジーに対して、人間は未来を想像する生き物。絶望もできるし、希望も持てると著者は書きます。想像することには痛みや苦しみも伴いますが、人間に与えられたこの素晴らしいちからを信じて、全てを抱きしめられるようにしたいものです。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB05069694

  • 松沢先生のお話を聞く機会があり、紹介されていた本書を手にした。先生のお人柄を感じさせる素晴らしい著作だと感じた。
    今この世界を生きているからチンパンジーは絶望しない。「自分はどうなってしまうんだろう」とは考えない。多分、明日の事さえ思い煩ってはいないようだ。
    それに対して人間は容易に絶望てしまう。でも絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望を持てる。どんな過酷な状況の中でも、希望を持てる。人間とは何か。それは想像する力。創造する力を駆使して、希望を持てるのが人間だと思う。
    人間とは何かを考えさせる良書。

  • [ 内容 ]
    人間とは何か。
    それをずっと考えながら、日本で、アフリカで、チンパンジーと寄り添うようにして研究を続けてきた。
    彼らには人間の言語のようなことばはない。
    けれども、彼らなりの心があり、ある意味で人間以上に深いきずながある。
    人間の体が進化の産物であるのと同様に、その心も進化の産物だ。
    人間にもっとも近い進化の隣人を深く知ることで、人間の心のどういう部分が特別なのかが照らしだされ、教育や親子関係や社会の進化的な起源が見えてくる。
    この本では、チンパンジーの研究を通してたどりついた「人間とは何か」の答えをお話ししよう。

    [ 目次 ]
    プロローグ―心、ことば、きずな
    第1章 心の歴史学
    第2章 生活史―人間は共に育てる
    第3章 親子―人間は微笑み、見つめ合う
    第4章 社会性―人間は役割分担する
    第5章 道具―認識の深さ
    第6章 教育と学習―人間は教え、認める
    第7章 ことばと記憶―トレードオフ
    第8章 想像するちから―絶望するのも、希望をもつのも、人間だから
    長めのエピローグ―進化の隣人に寄り添って

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • チンパンジーと人間は遺伝情報の98.8%が同じで、生物学的にも法律的にも彼らは「ヒト」である。チンパンジーとの比較から人間の心の本質を探求した良書。
    これほどまでに似ているし、記憶力などでは人間を上回る力をもっているのにもかかわらず、チンパンジーの個体数は小さな街くらいの人数しかいない。方や70億を越える人間との違いは、目の前にない何かを想像するちからにあるのだろう。言葉の獲得と直感像的記憶力の「トレードオフ仮説」が興味深かった。

  • チンパンジーと人間との比較から、人間の心の由来を探る比較認知科学。その違いを知ることで人間とは何かが見えてくる、その一部が垣間見える。かも。

    「第8章 想像する力ー絶望するのも、希望をもつのも、人間だから」は他の章と比べてかなりメッセージ性が強くて感動するよ。無いものを想像する能力が人間たる所以だとすると、イマジニアリングを何より重視するディズニーの姿勢に通じると思った。

  • 感動的な本です。チンパンジーとは見つめあうことができる。上着を渡すと腕を通してみて返す場面とか、社会的微笑とか、人間に極めて近い動物であることを学問的にも改めて知りました。ゲノムも98.8%まで一致し、法律上も「ヒト科パン属」とは! 残りの1.2%の追求が、更に深い人間とは?を問うことになりそうです。記憶力は人間の大人以上という驚きの研究報告の一方で、そして最大の違いがチンパンジーには絶望も希望もないこと。人間と違って目に見えない世界の想像は出来ないからだそうです。そこに人間の素晴らしさを深く心にしみさせてくれました。と言いながら、チンパンジーを1人、男性と呼ぶなど、この類人猿への愛情も感じさせてくれました。この研究が人間の本質そのものの研究に繋がるものであることを痛感します。この著者が心理学から入り、現在は「比較認知科学」という分野になるそうです。さすが京大の霊長類研究所の伝統は健在です。

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