チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

著者 :
  • 岩波書店
3.92
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本棚登録 : 335
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000062442

作品紹介・あらすじ

地球温暖化の根源にひそむ、気候変動の謎。本書は、その解明に挑む、科学者たちの姿を活写する。第一線の研究者による、信頼すべき正確な科学的解説。海外の優れたノンフィクションを彷彿させる、スリリングなストーリー展開。読者は本書に、その類稀なる融合を見いだすだろう。問題の本質を理解したい人は、必読の一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 名前だけ知っていたような研究者達のエピソードも入っていて楽しみながら読めた。著者は有機地球化学の研究者というイメージが強かったので、専門から近くなさそうな気候学や海洋物理学の議論まで一人でお書きになっているのに驚いた。

  • 専門は地球惑星科学で、海洋研究開発機構に勤務する著者が、過去数万年に起きた気候変動を題材に、そのメカニズムを説明しようとするもの。自分にはメカニズムの是非を論じる基礎素養はないものの、十分楽しめた。以下記憶すべきキーワードを備忘録として記入。①酸素同位体比、②間氷期における寒冷な時代としてヤンガー・ドリアス期などがあること、③楕円である地球公転の離心率の変動は木星引力によること、この変動は周期的で、現在は減少中だが変化率は大きくないこと、④自転軸の首振りを歳差運動といい、二万年以上の周期であること、
    ⑤歳差運動→赤道面の公転面に対する角変化→春分点(公転軌道上の春分日の位置)の変動、⑥地軸の歳差運動で公転面を一周するのに2万6000年かかること、⑦歳差運動の原因は、赤道方向に膨らんだ地球に対する太陽・月の引力が、地軸を公転軌道面や月の公転軌道面に引っ張ることにある(地軸を立たせる方向)、⑧北緯65°の日射量が氷床を溶かし気候変動をもたらすこと、⑨海洋熱輸送が地球環境・温度分布コントラストを下げる重要な要素
    ⑩深層流を止めてしまう(原因は、本来塩分濃度が濃くなっている海溜が何らかの理由で薄くなる等)と、気候変動が生じる、⑪気候変動は非線形と線形の双方の原因があること

  • 2015年4月25日読了『チェンジング・ブルー』大河内直彦著 評価A

    地球の温暖化問題について、その原因を専門家の立場から科学的に分かりやすく説明してくれている著作。
    太陽の黒点活動が地球の気候に長期的な影響を与えている。そして二酸化炭素が温暖化の引き金を引きつつある程度の知識でした。しかし、過去にはもっと激しく短期間に気温が変動した近々の歴史があるとは知らず、驚かされました。

    文系の私には、もちろん全てが分かった訳ではありません。74万年前からの地球の気温の歴史から紐解く。なぜそんな昔の気温が分かるのか、その測定方法論、機器開発から丁寧に説明されている。(放射性炭素年代測定法、酸素同位体比)

    ミランコビッチ・フォーシングという理論。地球の公転軌道と歳差運動と呼ばれる地球の自転軸が振れる現象、太陽から入射エネルギー、その地理的分布と季節的分布が地球の氷期、間氷期を引き起こすメカニズムを説明。
    更に、現代よりも激しく寒暖差が発生する仕組みを深層水循環(熱塩循環THC)、大循環モデル=大気ー海洋結合モデルにより説明。

    地球の気候システムが数十年という短い時間スケールで大規模に変化してきたことを紹介し、筆者は、現代の二酸化炭素急増という人類の活動によって引き起こされた現象がさらに大きな気候変動の引き金にならないかと警鐘を鳴らす。

    温暖化とは全然違うけれど、大西洋の大きな島、グリーンランドは10世紀ごろにバイキングの詐欺師が、アイスランドの人々を呼び込む為に付けた名前であること。この日本の6倍もある大きな島を所有するのはヨーロッパの小国デンマークであることを初めて知りました。

  • 今さらかも知れないけど、地球環境に関するお勉強を。
    感情的にならずに書いてあるので、落ち着いて読める。騒がれている温暖化のロジックは理解できたけど、それを防ぐための手立てが無いような気がする。それが一番怖いな。

  • 気候学とも言うべき本ですが、何万年前という遥か昔の気候変動をいろいろな科学者や調査団体が海底の炭素堆積物やグリーンランドや南極の氷床を深く掘って、その酸素同位対比から、昔のある時点の気温を詳細に分析するという気候学の歴史が細かく書かれており、その分析方法は難解ですが、それでも私でもある程度は理解できるように分かりやすく書かれてます。
    気候というのは、基本的には寒冷状態と温暖状態が適度に繰り返す循環サイクルを続けており、洪水や火山の爆発などで突発的に気温の変動がある時はあれど、基本的には短期間で元の安定したサイクルに戻るというのは興味深かったです。
    しかしながら、それに安住して、昨今の温室効果ガスなどの大量放出により大気が不安定になることで、今盛んに叫ばれている地球温暖化という現象が、ある程度のところで歯止めがかかれば、これまでの循環にそれほどのインパクトはないかもしれないが、このまま大量発生を放置しておけば、過去例に無い気候システムの崩壊を生む可能性もあるというのは怖い話です。
    でも、温室効果ガスによって、現在の平均気温が上げられて15℃位に落ち着いているというのには驚きでした。これがなければ平均気温が-10℃より低い極寒になっているというのは知りませんでした。
    今まで安定した自然(気候)の恩恵を受けてきたのに、人間のエゴ?により、それが崩壊した時、自然がどんな猛威をふるうかは科学者でも予測できないということで、それだけではありませんが、やはり温室効果ガスはなるべく抑制したほうが良いのだなとつくづく思い知らされるのでした。

  • [ 内容 ]
    地球温暖化の根源にひそむ、気候変動の謎。
    本書は、その解明に挑む、科学者たちの姿を活写する。
    第一線の研究者による、信頼すべき正確な科学的解説。
    海外の優れたノンフィクションを彷彿させる、スリリングなストーリー展開。
    読者は本書に、その類稀なる融合を見いだすだろう。
    問題の本質を理解したい人は、必読の一冊である。

    [ 目次 ]
    海をめざせ!
    暗号の解読
    失われた巨大氷床を求めて
    周期変動の謎
    気候の成り立ち
    悪役登場
    放射性炭素の光と影
    気候変動のスイッチ
    もうひとつの探検
    地球最後の秘境へ
    気候が変わるには数十年で十分だ
    気候変動のクロニクル
    気候変動のからくり

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 地質記録から気候変動を解き明かす研究者たちの、「生き様」が描かれています。

    理図書 451.85||O53 11874433

  • <目次>
    プロローグ
    第1章 海をめざせ!
    第2章 暗号の解読
    第3章 失われた巨大氷床を求めて
    第4章 周期変動の謎
    第5章 気候の成り立ち
    第6章 悪役登場
    第7章 放射性炭素の光と影
    第8章 気候変動のスイッチ
    第9章 もうひとつの探検
    第10章 地球最後の秘境へ
    第11章 気候が変わるには数十年で十分だ
    第12章 気候変動のクロニクル
    第13章 気候変動のからくり
    エピローグ

    <内容>
    成毛眞さんの『面白い本』からチョイスした本。海外の方のこうした本は少し読んできたが、日本の方でもこうした骨太の科学啓蒙書が書ける(いや出版社が発行しようと思った)ことに驚いた。
    気候変動のメカニズムについての内容だが、地球という環境はまだまだわからないことが多いのだな、というのが平凡な感想。わかったことは、今後数十年以内に気候変動(おそらく温暖化)は急速に進むであろうことと、人為だけでそうした変化が起こっているのではないこと。やっぱりわかってないな、俺…




    逗子市立図書館

  • 本書は地球温暖化や気候変動の本質である気候の仕組みや気候の研究の歴史をドラマチックに語ってくれる。

    「最近の人口衛星による太陽観測の結果からすると、黒点数の変化にともなう入射エネルギーの変動は、1平方メートルにつき1~2ワット程度(大気上端における全入射エネルギーのおよそ0.1%に相当)と非常に小さい。このことから現在では、太陽の放射エネルギーの減少が小氷期という気候の寒冷化に直接結びついたとは考えられていない。」と地球温暖化懐疑論でよく使われる主張をさらっと退けている。

    素人の私からすれば、懐疑論の争点となっていることをさらっと書いていることに驚くが、気候の研究の最新データを日々目にしている科学者の目からすれば、当たり前のことなのだろう。

    気候にはまだまだわからないことが多いが、それだけに気候学は新たな発見が多い学問なのだろう。

    素人である私たちは、懐疑論者が一昔前のデータを論拠に反論しているかもしれないことを忘れてはならない。

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