鳥肉以上、鳥学未満。 Human Chicken Interface
- 岩波書店 (2019年2月20日発売)


- 本 ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000063173
作品紹介・あらすじ
ボリュームたっぷり胸肉、スジが嚙み切れないササミ……。日々の食卓でおなじみの鳥肉には、鳥ならではの機能性と進化の歴史がいっぱい詰まっている。ボンジリってお尻じゃないの? 鳥の首はろくろ首? 昭和の野球部はスズメ跳び!? ──トリビアもネタも満載。オーブンのチキンが焼けるまで、とっておきのサイエンスを召し上がれ。
感想・レビュー・書評
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どんな内容かと思いきや、まさに「鳥学」の本でした。
鳥類の形態、生理、発生、分布、生態、行動、遺伝、進化、利用、保護などの研究である「鳥学」の入門書ですね。
鶏肉の筋肉、骨格、内臓、卵の構造(特徴)から生態や進化の様子も抜け目なく説明してくれています。
食と結び付けての説明は、実際に誰もが経験していることだけに親近感があります。
鶏肉以外にもプチ情報が散りばめられていて楽しめる。
オスプレイはタカの仲間のミサゴの英名だとか、
シロハラアマツバメは6カ月も飛び続けた記録があるとか、
キガタヒメマイコドリの羽ばたきは毎秒105回にも達し、ハチドリの80回を上回る。などなど。
面白かった!川上和人さんの次回作が待ち遠しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。 』を読んでからファンになりました。
クスっと笑えることも書いてあるけど、鳥類について、そして鶏肉についてガッツリ学べます。生物学、環境好きな方におすすめです。 -
不思議な本。千葉に住んでいる姪っ子の旦那さんからおもしろいと推薦の一冊。日々食卓でおなじみの鶏肉を、解剖的に筋肉、骨、と機能的に丸裸に。
作者は、洒落人間、「ツバサをください」「アシは口ほどに物を言う」「一寸の鳥でも五分はホルモン」「そしてトリもいなくなった」と、ダジャレたっぷりに最後まで引っ張って行ってくれます。
ニワトリが先か、卵が先かと問われたら、答えは簡単。ニワトリは人間が生み出した家禽であり、その歴史は1万年に満たない。しかし、鳥類学にとって意義ある点は、親より卵よりも、空を飛ばない恐竜が先にいたということです -
以前読んだ、同じ著者の著書『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』がめちゃくちゃ面白かったので、こちらも読んでみました。
今回の『鳥肉~』もめちゃくちゃ面白い。
面白さの理由としては、その文体・筆致もあるのですが、博物学的な記述になりがちな生物学を、まっとうな自然科学として取り扱うことができている点が挙げられます。
要するに、単に面白いだけでなく、勉強になります。
しかも、暗記のような勉強ではなく、合理的かつ論理的に理解しながら勉強できるようになっており、非常にまっとうな本だと思います。
一見ふざけた文体は、そのまっとうさを隠すためのもの(≒照れ隠し)と思われる一方で、適切なアナロジーや補足説明になっているところが、この本の魅力だと思います。
こういった研究者が増えると、もっともっと、子どもたちの学力、ひいては大人たちの知性も上がっていく気がするのですが、そもそも川上さんのような研究者は、どのようにしたら、育成できるんでしょうか。
そういった育成方法の研究も、実は大切なのかもしれません。 -
身近なチキン(鶏肉)について、鳥類学者が他の鳥と比較しながら、各部位に解説を施したまさにタイトルどおりの本。鳥類学まで行くほど真面目ではないけど、鳥肉(鶏肉)について丁寧にコミカルに話をしている。まず、この本を読んだ後は鶏肉が食べたくなるし(特にケン●)、スーパーに行って部位ごとに鶏肉を観察したくなる。時には丸鶏を買ってもいいのではないかとすら思う。そして鶏肉に感謝、鶏に感謝だ。今まで以上に鶏に想いを抱きながら、美味しくいただきたいと思った。
前半に、鶏の図が載っているので見返しながら読み進めるのがオススメ。ぽんじりは尻ではない、など少しだけ鶏に詳しくなれる、良書である。 -
鳥類学者が、トリ肉の各部位を通して、鳥の体について語るエッセイ。
この著者の本は[ https://booklog.jp/item/1/4103509112 ][ https://booklog.jp/item/1/4101215111 ]に続き3冊目。相変わらず軽妙な文体は健在。「鳥類学者だからって~」の時はネタの盛り込み過ぎでやや疲れる印象もあったが、真面目な知識とネタの混ざり具合は、本書の方が自分にはちょうど良かった。
トリ肉という身近なものを引き合いに出しながら解剖学的に語るという、本書の企画そのものが非常に良いセンス。鳥の筋肉や骨格などをまじまじ観察する機会なんて、一般の人にとっては、トリ肉以外ではほぼあり得ないだろう。
しかしニワトリは鳥の中ではかなり特殊で、かつ食用のニワトリは若鳥のためニワトリとしても普通の状態ではない。そういう例外的な点と、他の鳥の例を比較しながら、鳥自体の解剖学的うんちくが惜しげなく披露される。
・胸肉が安いのは、翼を動かす胸筋がもっとも発達していて大きいから。
・砂肝は胃だが、鳥は歯がなく胃で食物をすりつぶすので筋肉が発達していて歯ごたえがある。
・ボンジリは脂肪の分泌場所。
・鳥は軽量化のためあまり脂肪をつけることができないが、渡り鳥は絶食に備えて肝臓に脂肪を溜めることができる。これを応用したのがフォアグラ。
・ニワトリは地上性の鳥なので、生まれたヒナは既に羽毛が生えそろってすぐ走れる。樹上に営巣する鳥の場合はもっと未熟な状態で孵る。
生態と行動が、体のつくりにも反映している。当たり前のことではあるが、改めて知るとなんと面白いことか。 -
焼き鳥屋に行くのが楽しみになる本。
とてもウマイタイトルだと思う。
鶏をベースに鳥に関する知識を解剖学的に解説してくれる。
鳥肉だけでなく、卵も。
焼き鳥屋で適当に注文していたがこれからはどこの肉なのかを考えて食べれそう。
ボンジリが美味しいのは脂身だからかー、と納得した。 -
相変わらず面白い。
川上さんの本は二冊目だが、早くもこの川上節(ガンダム比喩や美女比喩)の文章に魅せられている。
内容もとても有意義なものだと思う。
普段から食卓に並ぶ鳥肉から、生物としての鳥の構造を学ぶ…。豚や牛では構造別で肉の部位を学んだりは学生のときにやったことがあったが、鶏は初めてだ。
普段食べているものがこの部位なのかという驚きと、進化の過程で生きるために得てきた骨格や筋肉の構造が食べながら学べるなこの本すごいという気持ちで、素直に感心した。
著者プロフィール
川上和人の作品





