眼が語る生物の進化 (岩波科学ライブラリー 37)

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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000065375

感想・レビュー・書評

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  • 眼の機能がどのような進化の過程を経て形成されてきたのかということを解説している本ではなく、眼という器官を例に生物の進化のしくみについて解説している本です。

    著者は、生物の形質や行動様式といった表現型はダーウィンの自然淘汰の考え方で理解することができる一方、分子レヴェルで起こる、生存にとって有利でも不利でもない中立的な変異は木村資生の中立説で理解できるということから説きはじめて、遺伝子進化における基本的な内容を解説しています。そのうえで、眼をかたちづくる遺伝子が、脊椎動物の進化の歴史における初期に急速に多様化を遂げたという事実をとりあげ、それを説明する著者自身の仮説を提示しています。

    遺伝子進化の基礎的な事柄を理解するうえで助けになる内容でした。

  • 1996年刊。著者は京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。進化論における自然選択仮説と分子進化の中立説(ほぼ中立説)。一見矛盾するように思える両説は、前者は形態の保全とその変容に関する仮説、後者はそれを生み出す遺伝子の保全・変容に関する仮説で、元来、必ずしも同一位相で論じられるべきものではない。本書は、かかる観点を踏まえ、分子進化と形態面(表現型)での進化の差異と関連につき、「眼」を切り口に検討する書である。勿論本書の基軸は分子進化学だが、関係性に踏み込もうとするのは意欲的で、個人的にも興味をそそる。
    複雑な組織や構造を生み出す遺伝子の場合、その組織・構造の複雑さ故に、遺伝子の改変・変異が抑えられ(あるいは、変異に伴う表現型の変化が顕在化しない。顕在化は致死につながるからか)、変容が保守化するというのは、異説や反論は知らないものの、卓見と思えるのは私だけかなぁ…。

  • 目の生物学・分子的な話が続くのがちょっとつらい。

  • 勉強になりました。

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著者プロフィール

医科系大学教授、病院長を経て、国際医療協力NPO理事長に就任。独立直後の東ティモール、内戦中のカンボジアなどの多くの医療現場で活躍した。現在はラオスを中心に活動をしている。北区内田康夫ミステリー文学賞、ヘルシー・ソサエティー賞などを受賞。主な作品には、誰も触れることのなかった凄惨なカンボジアの内戦を描いた「ポル・ポトのいる森」やベトナム戦争のさなか、同じ民族同士が二つに割れて戦ったラオスの壮絶な内戦を描いた「モン族たちの葬列」など、大国のエゴに翻弄させられたアジアの人々を描いた歴史小説を得意とする。また、月刊「アッレ」では明治初期という時代の矛盾を鋭くえぐった「邏卒刑事工藤一輔の事件簿」の連載がある。近著に「時衆の誉 小石川養生所 立雪龍庵 診療譚」がある。

「2022年 『長吏頭 弾左衛門の親-西陣大火の秘密-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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