寺田寅彦随筆集 (第4巻) (ワイド版岩波文庫 101)

  • 岩波書店 (1993年6月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784000071017

感想・レビュー・書評

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  • 最近読んだ夏目漱石の弟子(俳句の)で、中谷宇吉郎の師(物理の)である寺田寅彦の、晩年の随筆を集めたもの。
    編者の小宮豊隆も漱石の弟子でしたね。

    昭和8年から9年にかけて書かれた随筆ですが、私から見ると明治のにおいがかなり濃厚。
    それはなぜかというと、文章から立ち上る空気というか、日差しの強さ、土埃のけぶる道、草花の濃密な匂いが私の知っている昭和よりもかなり強いから。
    ああ、戦前の昭和は、まだ明治がこんなにも近かったんだなあと思いました。

    さて、科学者としての寺田寅彦の業績はよくわかりませんが、身近な現象から思いもかけない着地点に到達する思考の幅が素晴らしいと思いました。
    そして、本来は難しいはずの科学を、素人にもわかりやすく伝える文章の読みやすさ。
    難しいものをやさしく書くことは簡単ではない。
    しかしそれが出来た時、書いた本人の頭のなかもわかりやすく整理されているのだそうです。

    振動に対する感覚の実験をしていて、われわれの「寿命」すなわち「生きる期間」の長短を測る単位は、われわれの身体の固有振動周期だということに思い至る著者。
    これって、昔流行った『ゾウの時間、ネズミの時間』のことだよね。
    なるほど~。

    この中で読みたかったのは「科学者とあたま」
    “頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴うからである。けがを恐れる人は大工にはなれない。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。科学もやはり頭の悪い命知らずの死骸の山の上に築かれた殿堂であり、血の川のほとりに咲いた花園である。一身の利害に対して頭がよい人は戦士にはなりにくい。”

    失敗を恐れない人。
    人のためになってこその科学という信念の人。
    ものすごく防災の重要性を主張した人。
    頭の切れる、しかし心の柔らかな人だと思いました。

  • 物理学者がつれづれに書く昭和8年の科学エッセイ。
    映画の感想も。←興味深い。
    漱石先生の思い出を拾いながら読んだ。

    金平糖のエッセイは有名なようで、金平糖の会社のHPでも引用されていた。

    雨の日や雪の日にコーヒーが美味しいのはなぜか。

    「近ごろの若い者は」→寺田センセイも言ってた(笑) 人類は、誰もが、生涯に何度か口にするんだね。

    「素材」と「作品」

    蜘蛛の糸を使って天体観測。

    今は日本人が記録好きだけど、当時はアメリカが記録好き。

    探すものは無い。←わかる!
    墨を手作りしてたっぽい。

    神話と地球物理学
    記紀…素戔嗚尊が糞をまき散らす
      …天手力男の命が天の引き戸を放り投げる。
    →火山活動を書いたものではないか。
    ←はじめて知った仮説!

    1度、蹄鉄みたいな靴を買って、エラい目にあってはった。

    お子さんの発見
    「ウムーー」と言ってると蚊かよってくる
    →試したくないが、試してほしい。

    アンナ・パブロワの舞台を観にいったらしい!生!

    火災の科学
    ←現在の科学と異なる。

    科学と文学
    芸術としての文学と科学
    ←福岡博士の本を思い出した。そう、理系・文系で分けるなんてナンセンスなんだ。

    ジャーナリズムに物申す。
    ・新聞の文学的な嘘への許容。
    ・科学的なうそ、事実をねじ曲げるような嘘は許さん。

    自殺者の増加。
    →取り上げる新聞記事も気を付けてほしいとの苦言。

    中国物以外も・アンデルセンやグリム、アラビアンナイトやロビンソンクルーソーを読んでいた。
    そのかたわらで、歌う炎を作ろうとして爆発させたり、電池を作りそこなったりしていた。

    探偵小説のあけぼの。

    歴史は勝者の文学
    →日記や随筆で補う。

    昔話の超・解釈って、この頃からあって、やはり話題になっていたのね。
    当時のロシアを警戒していたような文章も見える。
    「おとぎ話はおとぎ話で良いのである。」

    文部省の監督がゆきすぎて、授業が窮屈。
    ←もう、片鱗が見えていたのか。

    火の玉の科学
    ←今は、ほぼ解明している。こわいものがないのは寂しいというのはその通りだなと思う。

    零和の世と、不謹慎だったり、科学的な発明発見だったりを比べながらよむのが楽しい。
    「ことしはヒトラーがたくさんな書物の灰をこしらえた。」

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著者プロフィール

1878–1935
東京に生まれ、高知県にて育つ。
東京帝国大学物理学科卒業。同大学教授を務め、理化学研究所の研究員としても活躍する。
「どんぐり」に登場する夏子と1897年に結婚。
物理学の研究者でありながら、随筆や俳句に秀でた文学者でもあり、「枯れ菊の影」「ラジオ雑感」など多くの名筆を残している。

「2021年 『どんぐり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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