忘れられた日本人 (ワイド版 岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000071604

感想・レビュー・書評

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  •  司馬遼太郎さんのエッセイからこの作家に行きつきました。民俗学というものを初めて読みました。面白かったです。こんなのがあと何十冊もあるのかと思うと、うれしいです。 
     子供のころ、もっと祖父母の話を聞いておけばよかった、と思いました。

  • 対馬旅行の調査資料。

  • 昔の生活。テレビもスマホもネットも不要。そんなのが無くても十分楽しくきっと充実している生活の切り取り。なんてことない無名の人の生活。でもどんどん読み進めたい。もしかしたら自分の深い所に断片が残っているのか。そんなことを考えさせられた。

  • 内田樹推薦。

  • 「土佐源氏」の本編は簡潔だが、リアリティがあり、ほのぼのとした明治時代の愛媛の情景が思い浮かぶ。「対馬にて」は道を歩きながら歌を歌うのは、自分のありかを示すためだったとの生活の知恵を語る老人。「女の世間」は田植えの際にエロ話を語る40前後の女たちの健康な姿。「梶田富五郎翁」は昭和25年に80歳を過ぎていた対馬のある村の開拓者の語り。そして「私の祖父」は筆者自身の祖父・宮本市五郎との小動物に関する思い出の紹介など、古老たちの語りを通して日本の失われた近過去の麗しさを楽しめた。

  • 日本という国が好きになる本。政治的な意味では無く。宗教的な戒律に縛られなかった日本は、清濁併せ持つ、非常にバランスのとれた、自由で豊かな国だったんだなあと思います。その豊かさのごく一部でも現代の日本に取り戻せないものかと、夢想しました。

  • 私の祖父 を読んで、通学中の電車で泣きました。

  • 名もなき人のナマの言葉の記録。宮本常一の代表作。
    途中、奇兵隊の話題が出てきてびっくらこいたー!立石&楢崎の騒動を、土地柄からくる百姓の気風で見るという目線が、
    ふだん政治史ばかり追っている私には新鮮なのでした。

    つづけて島崎藤村の『夜明け前』を読もうかなと思った。

  • 高速道路でびゅんびゅん飛ばす脇をふと見やると
    うっそうと茂る森。山。
    たとえばこんなところでぽいっと降ろされたら
    迷子になるどころか
    生きて帰れる気がしない。

    宮本常一の『忘れられた日本人』
    日本全国を歩いて人々の生活を、その身を通して体験し、伝える地道な民俗学者。

    対馬、伊奈での調査を終え、佐護へ行く宮本さんに
    用事をすませた男たちが、馬に乗せて送ってやるという声を辞退して、じゃあ荷物だけとお願いしひとり山道を歩く。
    道を歩くが、二股の細い方が本道だったりして、馬蹄のあとを探りさぐり、しかも木が覆いかぶさっていて見通しが悪い。
    どこかでおおいと呼ぶ声で、ようやく男たちに合流したが、
    よぉこんな道、簡単には進めんやろうなどと聞くと
    声をたてるのだ
    と言う。
    歌を歌うのだ
    同じ山の中にいるものなら、その声をきくとあれは誰だと分かる
    相手も歌い
    こちらも声をかけておく
    それだけで相手がどの方向へ何をしに行きつつあるかくらいは分かる
    行方不明になっても誰かが歌声をきいていれば
    どの山中でどうなったかくらいは想像つく
    と言う。

    そんな
    そんな心もとない方法で!
    と思うがそれがはるかな大地で生きる方法なんやろうかな
    いまよりずーっとずっと敏感な感覚で、この身ひとつで獣道をかき分けて来た山の景色をながめていると
    忘れていた感覚がよみがえるような気がする。

    その歌は追分のようで、
    宮本さん曰くは、松前追分や江差追分のように抑揚ある洗練されたものではなく
    もっと素朴な、馬方節のような追分であるらしい。

    遊びもないから、とおくのほうまでよばいに行く
    台所なんかに若い者が寝ているので納戸で寝てる親を起こさないよう、敷居に小便かけると、きしまない。
    帯を巻いて転がし、その上を歩くと板の間も音がしない。
    娘と男を髪とにおいで見分けて、今とちごうてずろおすなどもしておらんから、、、
    なんてその先はおっと。

    メシモライというて、5つ、6つくらいのみなしごで、漁船に乗せられて仕事もせんで遊んでればよかった

    なんちゅうことを聞けば聞くほど、まるで異国の語りぐさ。
    そんな時代を知っている人も、もうどんどんいなくなる。
    こういう生活を、高速道路でぴゅんぴゅんワープして、まったく忘れてしまったんやなあと思う。

  • 中の一篇「土佐源氏」。橋の下に住む乞食の語りであるが、「チャタレー夫人の恋人」と「富島松五郎伝」を一つにしたようなドラマが掌編の中に淡々としかしドラマチックに書かれている。江戸から続く明治の一断面とそこに生きた人間が活写されている名品。

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著者プロフィール

1907年(明治40)~1981年(昭和56)。山口県周防大島に生まれる。柳田國男の「旅と伝説」を手にしたことがきっかけとなり、柳田國男、澁澤敬三という生涯の師に出会い、民俗学者への道を歩み始める。1939年(昭和14)、澁澤の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、五七歳で武蔵野美術大学に奉職するまで、在野の民俗学者として日本の津々浦々を歩き、離島や地方の農山漁村の生活を記録に残すと共に村々の生活向上に尽力した。1953年(昭和28)、全国離島振興協議会結成とともに無給事務局長に就任して以降、1981年1月に73歳で没するまで、全国の離島振興運動の指導者として運動の先頭に立ちつづけた。また、1966年(昭和41)に日本観光文化研究所を設立、後進の育成にも努めた。「忘れられた日本人」(岩波文庫)、「宮本常一著作集」(未來社)、「宮本常一離島論集」(みずのわ出版)他、多数の著作を遺した。宮本の遺品、著作・蔵書、写真類は遺族から山口県東和町(現周防大島町)に寄贈され、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)が所蔵している。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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