こころ (ワイド版岩波文庫 (204))

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レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000072045

感想・レビュー・書評

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  • 良かった。とっても。何が良かったかは良く分からないけど、良かった。

  • 素晴らしい、感動した、面白かった。作品に対して様々な賛辞の言葉がありますが、今作品に関しては何の言葉も思い当たりません。賛辞する作品では無い。

    精神的に呵責や葛藤を抱いた人間が二人いて、同じ人間を好きになった。そしてそれは一人の人間が死ぬ程の事だったと。生き残った方の人間は、生き残る事で死を超越した祝福を得、死んだ方は生が死ぬのを待っている。

    登場人物のどちらの生き方が正しいのか等より、「二人の人間が、懸命に生きた」と言う事を伝える為に、一個体の生命が文章を通して自分の人生を肯定する事で、この作品の純度の高さを物語っていると感じました。

    与えられた生命(生者)は、安直な単語や短文で表現するのではなく苦しみや悲しみと共に「生きて往く」ものなのだなぁと思いました。
    先に死んだ方が負けであるとか、生きて好きな人と結ばれるのが勝ちであるかとか、そんな遊戯的な話では無く親友の死を内包して生き続けた「先生」の一途さに目を向けて欲しいと思います。それに伴った精神的葛藤が、筆者の文体から感じる事が出来る事でしょう。

    この作品を通して感じた事は「単なる勝ち負け」ではなく、「命の尊さ」だと信じて疑いません。生きていれば、なんとでもなるんだとそう思いました。

  • 2015.6.2私が初めて読んだ夏目漱石の作品。読むのは二度目。前期三部作を読み、夏目漱石の小説の主題となる、無意識の偽善、真面目さとか理性、徳と言えるものと、欲望、とくに愛への欲望との間での引き裂かれという視点で読むと、より深く面白く世界観に引き込まれた。人間は罪深く、どんな綺麗事を並べても結局利己的で自分が一番可愛い。そんな人間の汚れた部分と、その汚れを直視した真面目さ故の自殺に至った先生、Kに対する、なんと言ったらいいのか、人間に対する慈愛というか、憧れの一種のようなものも感じてしまった。利己心と利他心、徳と不徳、善と悪、理性と感情、あるべきとありたい、そうやって人間は引き裂かれる。どっちの極端にもなる。善人がある時に急に悪人になるように、不気味さすら感じるほどの策略を持って相手を貶め利己的になる悪にもなれば、真面目さによる罪への後悔から逃げられず、自ら人生を終わらせるほどの、罪に対する潔癖というか、そんな極にもなれる。そういう人間の複雑さ、相反するものが内部に絡み合って成り立つ人間性というものを描いた名著。

  • 20141210
    独白系で時間がかかったが何とか読み終えた。
    うつ状態の人が多く出てくるね。

  • 両親を亡くした先生は、政略結婚をさせられそうになった挙句財産を誤魔化されて人間不振になる。
    下宿先のお嬢さんに初恋をし(恋に対する信頼は健在)、しかし母親が自分の財産を目当てに近づいているのではないか、という疑惑との板挟みになり、気持ちを打ち明けられない。
    そんな所へ、先生は半ば無理矢理Kという幼馴染みの親友を同居人に加える。男気があり、成績優秀で、自分は到底敵わないKへ嫉妬心が起きる。
    そしてKはお嬢さんに恋してしまう…

    読み返してみたら、叔父に裏切られたという人間不振のきっかけを忘れていたので、先生の苦悩が前よりしっくり来た。

    人間失格のように、読んでいてやりきれない苦しい気持ちになった作品。
    文章がシンプルで綺麗。殆ど『た』で終わっているが、一文の長さが上手くリズムを取っていて読みやすい。不思議。

  • 「こころ」
    先生とのお話。


    こころ。小学生か中学生の頃ちらっと読んだ以来です。当時は、夏目漱石作品の面白さが全く分かっていなかったし、例えば、「吾輩は猫である」も何で名作と呼ばれているのかさっぱり分かりませんでした。当然私は、猫が主人公と言う取っ付きやすい物語にもかかわらず、興味を惹かれる事もなく、最後まで読み切れなかったのです。


    そんな私なのだから、題名がこころと言う崇高なもので、中身も先生の覚悟や苦悩がびっしり出てくる本作を読み切れるはずも無かった訳です。


    しかし、10数年経った今、やっと読み切る事が出来ました。さて感想ですが、まず先生に憧れを抱いた「私」が勝手に失望し、悲しんだり怒ったりするのは、憧れを抱く側の心情としてはあり得ると思うけど、海にいたおじさんに憧れを抱くと言う所にリアリティを感じませんw


    しかし、このリアリティの無さは、どうでも良くなりました。先生が抱えているものにとてもリアリティがあり、人間の本質が先生を通して透けて見え、もう海のおじさんに一目惚れしたなんて忘れちゃうのです。特に、「私」を信じて行く心情の過程や奥さんの心の描写、2人の間に入る「私」の感情なんか人として抑えるべき所を抑えていると言うか、人を語る上で避けて通れない箇所を見事にずばっと指摘しているように思います。だから説得力が文章からひしひしと感じる。


    先生の覚悟を「私」に伝える所が一番の読みどころであり、それが奥さんとの関係を紐解くキーになるのだろうけど、私はそこに辿り着くまでの過程の方に惹かれました。


    さて次は何を読むべきか。果たして夏目漱石を好きになれるか。今年の挑戦の1つです。

  • 2014.5.15読了。
    高校で大方の生徒が学ぶであろう夏目漱石の『こころ』。私もまた授業で私とKとお嬢さんの話として覚えている。いつか本編を読みたいと思っていたが、授業で学ぶ前に全編読んでおくべきだった!主人公の立場で読み進めたいのに先生の立場を知ってしまっているからどうしても先生目線になりがちになってしまう。
    でも授業でやることのなかった先生のさらに細かい過去を読むことができてより理解は深まったから良しとしよう。ちゃんと全編読んだからこそ高校の時とは各人物の印象もだいぶ変わったしな。
    ところで主人公の祖父の最期は?
    結末をきっちり書かないあたりやはり文学作品らしいなぁと思う。
    そういや誰も救われない話を久々に読んだな。

  • 自分の中の基本です。大好き!

  • 学生の時以来?に読みました…
    夏目漱石…流石ですね。
    読んでいると若干、重いですが、名作ですね。
    情景、心情などが、すごく細かく描かれています。

  • 高校生のときに読み、また読んでみた。登場人物の心情を楽しめた。

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著者プロフィール

明治、大正時代の小説家、英文学者。1867年、江戸(東京都)に生まれる。愛媛県松山で教師をしたのち、イギリスに留学。帰国後、執筆活動を始める。『吾輩は猫である』『三四郎』『こころ』など作品多数。

「2017年 『坊っちゃん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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