君たちはどう生きるか (ワイド版岩波文庫 268)

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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000072687

作品紹介・あらすじ

著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかに生くべきか問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問わなければならぬ、というメッセージがあった。著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載。

感想・レビュー・書評

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  • 岩波文庫版よりもこちらの方が文字が大きく読みやすい。

    スタジオジブリの最新作が来年の夏に公開される予定だ。本書はこの映画の題名のもとになっている(内容は全然別物らしい)。

    物語の主人公コペル君は15歳の中学2年生。学校など日常生活を送る中で感じたことに対して、叔父さんが「おじさんのノート」として手紙をしたためる。

    最初はおじさんの気持ちになって読んでいたが、とんでもない。自分はコペル君の域にも達していないことを痛感した。なにより経験を自分の糧にできていない。自分の頭で考えるということが全くできていない。

    最後の丸山眞男の解説を読んで、読みの浅さもよくわかった。

    読んでいて情けなくなった。もっと精進せねば。

  • ちょっと前にえらくはやったこの本をいまさらながらに読んでみた。たぶん若者に対する有意義なメッセージが込められているとかいうことで話題になったんだと記憶しているけどそれほどのものでもない気がした。
    ただ、この物語が書かれた昭和の戦前の時代ってこういう文化があったのだろうなと思う。「こういう文化」っていうのは次代を担う少年たち(少女ではなく)に上質なものを与え、大志をもった立派な人(≒男)として生きていくことを教えるような文化という意味。たとえば『クオレ物語』なんかも同じ系譜だと思う。
    上述のことと根っこが共通してそうなんだけど、読みながらびっくりしたのはコペル君をはじめとした学友たちの豊かな生活。コペル君は銀行役員だったお父さんが亡くなって小さい家に引っ越したけど、それでも使用人が2人もいる。下町住まいの級友の家に行って初めてたいやきを食べたというのにもびっくりした。
    つまり、彼らは特権階級の家に生まれた男児なわけで、だからこそ「君たちはどう生きるか」ということを考える立場にあるというわけ。それは貧しい者への慈しみをもつとか、「男らしく」卑怯なことをせず公正に生きるということであり、それは持てる者の務めということだろう。
    いまの日本は表向き総中流的な意識が蔓延しているし、ジェンダー平等的な考えも取り入れることが奨励され、それはそれでいいことかもしれないけど、「君たちはどう生きるか」が示唆しているようなことを身につけるにはちょっと難しい時代かも。それがこの本がはやった理由のひとつじゃないかな。倫理や道徳という普遍的なものでありながら、現代の文脈では表現できず、昔の文脈を借りてくるしかなかったということだろう。

  • コペル君と叔父さんのノートでのやり取り、友達との関係で人はどう生きるべきかを問いかけ、導いている。
    自分が死んでしまいたいと思うほど後悔する行動をとってしまったことを認めるのはつらい。言い訳を考えて認めまいとするが、そこをきちんと認めてその為に苦しむことができるのは人間だけ。過ちは誰でもあるが、そこから学び立ち直ることもできる。
    消費専門で何一つ生産出来ないが、いい人間になることはできる。
    人間同士、お互い好意で尽くす関係が、本当に人間らしい関係ではないか。

  • 半古典だと思えば、設定の古さへの違和感は減じる。

    今、こういうの、誰が書けるだろう。

  • 恥ずかしながら、20歳の今、進路に迷って友達に進められて読みました。
    読んでよかったです。人間が生きていくうえで忘れてはならないことを思い出させてくれる本です。

    とっても読みやすいので、小学生でも読めます。
    子供にも大人にも、心の教科書としておすすめできる本だと思います。

    人生にちょっと焦ったり迷ったりしたら、私はまた必ずこの本を開くと思います。

  • 戦前に子ども向けに書かれた本ですが、今にも通じる部分が多く感動し、考えさせられました。

    特に、主人公コペル君が友達と約束したにもかかわらず、信頼を裏切り後悔する部分は、誰もが一度は体験する苦い想い出です。叔父さんの厳しい言葉、お母さんの思い出話に自分の言動に責任を持つということの重みをひしひし感じます。

    また、コペル君と豆腐屋の浦川君との生産者と消費者の対比、浦川君への態度についての叔父さんの言葉にも今に繋がるところがあると思いました。

  • 梨木香歩さんの「僕は、そして僕たちはどう生きるか 」を読んで、ぜひ原作となったこの本を読みたいと思って購入。
    梨木さんの本も深く考えさせられる本であったが、この本はそれ以上に中身の濃い本だった。日本が戦争に向かっていた1937年に出版されたというだけでも驚きだ。どんな時代にも良心のある大人は子供たちに「立派な人間に育ってほしい」と願っている。
    文章はさすがに戦前なので今とは違う表現もあるが、書かれている内容は「いじめ」だったり、「友情」だったり、まったく古さを感じさせない。人間が生きていくうえで大切なことが書かれているが、少年の目で見て少年の頭で考え、心で感じたことが平易な文章で書かれている。おじさんの言葉も説教臭さはまったく感じない。もっと若いときに読みたかった気もするが若かったらわからないことが今だから読んでも伝わってくるのかもしれない。とにかくすばらしい本だと思う。

  • 『本の本(斎藤美奈子)』で紹介されていたのを読んで、中学生でも高校生でもない私が読んでみた。中学生か高校生のときに読んでいたかった。いや、小生意気だったあのころの私には、コペル君の叔父さんが諭してくれることの意味をきちんと受け止められなかったかな。人はどうして学ぶのか、どう生きていくべきなのか、こんな歳になってしまった私に語ってくれる人はいないから、この本読んでよかった。

  • ・・・・・書きかけ・・・・・


    中学生から高校生にかけた思春期に読むべき本として、本書や

  • 初版は1937年。

    人から人へと読み継がれきた、少年少女のための人生指南本です。

    自分に子どもができたら出会って欲しい一冊です。

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著者プロフィール

編集者・児童文学者。1899(明治32)年〜1981(昭和56)年。
雑誌『世界』初代編集長。岩波少年文庫の創設にも尽力。


「2017年 『漫画 君たちはどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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