富嶽百景・走れメロス 他八篇 (ワイド版岩波文庫 309)

  • 岩波書店 (2009年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784000073097

感想・レビュー・書評

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  • 「魚服記」
    ファンタジー且つホラー且つミステリー且つ怪談に感じた作品
    女の自覚が出始める多感な時期に少女が鮒になってしまったとしても、なんだかありえる様な気さえした(先日小泉八雲の怪談を読んだので、不思議な事に対する器が大きくなった気がする)
    滝壺の中で鮒になった少女は水中で女へと成長して、若い男を水底から狙っているんだろうな…
    一体 おど(少女のお父さん)はどうなってしまったんだろう 少女に言われた言葉に傷ついて嫌になって自殺しちゃったのかなあ
    謎が残る終わり方だった

    「女生徒」
    九段理江の「school girl」に登場した作品でずっと読んでみたかった
    14歳、15歳ぐらいの青春でもあり多感でもある時期の少女の一人語りだけで構成されている
    些細な事で死にたい気持ちになったり超最高な幸福を味わったりする不安定なメンタルやエモさが緻密に描写されている 
    女生徒のメンタルの乱高下や美に対する理論展開や繊細さに「面倒くさい奴だな」と思う反面、
    いまだに自分も似たような事考えるよ死にたくなるときあるよね、と何故か女生徒の気持ちがわかってしまう
    こうゆうジトジトぐちぐちねちねち思考する人間に作中で出会えるのは純文学の醍醐味だな
    思春期に持て余すエネルギーを言葉に起こすとこんな感じなんだろうか
    いいなあ 純文学は、と思った作品だが同時に
    女生徒の感情をわかってしまう自分の厨二病具合に嫌気もさした

    「ロマネスク」
    パンクな作品 ラストではちゃめちゃ登場人物達が集結してしまいどうなってしまうのかと焦った
    真の芸術ははちゃめちゃパンクなのであるとゆう様に読んだ
    ぶっ飛んでいて支離滅裂荒唐無稽で無様な登場人物達が愛おしかった
    ああ あの作家もこの作家も太宰の影響を受けているんだろうなあ、とも感じた作品
    大変面白く読んだ
    タイトル、ロマネスクかーーその辺りが太宰っぽさなのか?などぼやぼや思う

    「満願」
    随分と中途半端で短い作品で太宰治の不安定さを感じた

    「富嶽百景」
    割合穏やかにのんびりした作品で人情や人の温かみを感じた、太宰治こんな一面もあるのかあ
    ーー苦しむ者は苦しめ。落ちる者は落ちよ。私の関係したことではない。それが世の中だ。ーー
    のセンテンスに痺れた
    誰かが苦しんでいてその相手に人差し指を突き刺しながら神様目線でこのセリフを言い放ってみたいがそんな機会や度胸まずない…ただ、想像するとすごく楽しい ああ本当に実際に誰かに目をひん向きながら言い捨ててみたい…

    「八十八夜」
    なんでそうなる?!が極まれり
    主人公の素晴らしき一人相撲に天晴れお見事と褒めたくなる程に、一人で頭ん中でぐちゃぐちゃやってるだけ 控えめに言って最高、オチも最高

    「駆け込み訴え」
    聖書に出てくるユダを主人公として話しは展開してゆくのだがいかんせん聖書におけるキリストとユダの知識がない…聖書知ってたら多分面白いのかな?聖書におけるキリストやユダをこのような茶番劇に仕立てあげるのは冒涜ナンセンスみたいな読み方も出来るのかもしれないが、こちら無宗教で信仰がないのでいまいちピンと来ず

    「走れメロス」
    学生の頃読んで感銘を受けた事だけは覚えているが、今読むとどうなんだろう… と思いつつ再読
    めーっっっちゃ面白い!!!なんで走ってるうちに全裸やねんフル○ンでオフィシャルな国王の前にいて 何で誰も最初にツッこまないの…
    大袈裟な文体がどこまでも真面目に硬いからこそ最後フル○ンで落とすのが効いていて笑ってしまった

    「きりぎりす」
    主人公の一人語りで展開されてゆく
    「アリときりぎりす」の話しではアリが正しいとされているけれど、この話しの主人公はきりぎりすが正しくて美しいと感じる感覚の持ち主なのかな、と感じながら読んだ。共感1000%位に共感しかない気持ちを抱いてある意味思考停止…
    よくぞ、言ってくれた、代弁ありがとう!!
    主人公!!!と拍手喝采をし心で涙を流したのだが齢にして既に40の私(太宰は40で死んだ)今更太宰にハマるのか?ハマらないのか??!と試されている気もした(誰にだよ)太宰って面白いんだなーって言えるのはブクログでだけの様な気がする…それもちょっと勇気必要だけどフォロワー少ないし言ってまうか…

    「東京八景」
    これを読んで強く思った
    文学はアートである、芸術であるとゆう事
    これを読むと太宰自身が芸術のように感じられた
    芸術ってなんだろうな、美しさってなんだろなと考えながら読んだ

    ーー全編の感想ーー
    今更だが太宰面白い…
    昔読んだ時はハマらなかったのに、何故今なのだろうか、今の私に必要なのだろうか
    そこに救いがあるのだろうか?
    呼ばれているような気がしなくもない… …

    • あぢまんがさん
      僕はこの中だと富嶽が1番かな〜。読んだの高校の頃だけど笑
      僕はこの中だと富嶽が1番かな〜。読んだの高校の頃だけど笑
      2025/12/27
    • 丁さん
      あぢまんがさん
      富嶽も良かった!このラインナップだからこそ光っている感じしました
      私もメロスなんかは学生以来でしたが全く別物に思えて、改めて...
      あぢまんがさん
      富嶽も良かった!このラインナップだからこそ光っている感じしました
      私もメロスなんかは学生以来でしたが全く別物に思えて、改めて読書すげ〜と感じました!
      2025/12/28
  • 太宰治は、教科書ぐらいでしか読んだことがなかったけれど、芥川賞をとった九段理江さんが大好きで「女生徒」をオマージュして「スクールガール」を、書いたと聞いて読みました。
    太宰治ってほんとにめんどくさくて、しょうもない人だったんだなぁと思った。

  • 太宰作品の中でこの富嶽百景が一番好きです。
    明け方、トイレの窓から見えた富士山のくだり。
    あそこに、太宰治の惨めで人間らしい一面を感じます。

  • 太宰のユダを書いた駆け込み訴えを読みたいがために借りてきた。

    ユダの一人語り。
    愛しているから自分の手で死に至らしめようとする。
    会計をしていたからこその不満。
    売ろうとしたり、止めようとしたり、だけど後戻りできなくなり、銀30で情報を売り、十字架に架けられる。
    小鳥がうるさいのは何を意味してるんだろう?

    ワイド版文庫ってシャレオツ。

    走れメロスをついでに読んでみた。
    国語でやったけど、改めて読むと記憶とは少し違った。

    3日目の日暮れまでで
    深夜に出て、翌朝日が出て仕事を始めていた頃について
    その翌日真昼に結婚式、夜は祝宴。
    あくる日の薄明のころに目が覚め出発。
    途中で昼寝もして、ギリギリ間に合った。

    結婚式はともかく祝宴は出ずに走れよと思うのは私だけ?

  • 十篇の作品がある中、やはり最近の影響で「富嶽百景」から読み始めました。
    話の進むなかに時々顔をだす富士山と、話の展開・・引き込まれました。
    ワイド版文庫で、持ちやすさに加え、読みやすさも格別でした。

  • NHKの日本戦後サブカルチャー史で宮沢章夫が取り上げていた「女生徒」を読むために図書館で借りた。思ったことをとりとめなく語る、思考のだだ漏れぶりがすばらしい。「走れメロス」の短さにもびっくり。15ページしかないのね。

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著者プロフィール

太宰 治(だざい・おさむ):1909年、青森県北津軽郡金木村生まれ。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東京帝国大学仏文科へ進学、中退。1933年、太宰治の筆名で「列車」を発表。「二十世紀旗手」「女生徒」「富嶽百景」「お伽草子」「ヴィヨンの妻」「斜陽」ほか代表作多数。1948年、筑摩書房の雑誌「展望」にて「人間失格」連載。同年6月、同作最終回の掲載をみることなく、玉川上水に投身。

「2025年 『人間失格』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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