- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000073295
感想・レビュー・書評
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1605年刊とのこと。17世紀初頭である。そんな時代に書かれたとは信じがたい。
序文からして斬新。ぱっと見にはわからなかったが、訳注によると、当時の序文の多くが賛辞や頌詩で飾られていた慣例形式をあげつらい、架空らしい賛辞や頌詩をたっぷり盛っているのだという。
小説本編にも実験的な試みがある。二重構造なのだ。これまた架空らしいアラビア人史家シデ・ハメーテ・ベネンへ―リのアラビア語の原典がベースにあり、セルバンテスがこれをスペイン語に翻訳しつつ、「編集者」として関連する史料を付加して著している、という形式をとっているいう。
かようなパロディ的な批評性やメタ小説な発想など、斬新な発想が散見されていて、驚かされるのだ。実は近現代の作家が匿名で書いたのでは?と思うほど。
さて、物語のなかで、郷士ドン・キホーテは、道中に出会う普通の人びとを勝手な妄想で敵役に仕立てあげ、槍を携えて突撃する。そこで何人かは、怪我を負ってしまう。ひとりで完結している妄想と狂気がならまだしも。出会った人びとに大いなる迷惑遭難をさせている。この点、読んでいてあまり笑えないのであった。 -
序文からもうおもしろくてわくわくがとまらない。アンブローズ・ビアスがメキシコで鞄にいれていたとかいないとかのドン・キホーテ。というわけでようやく、この名高い物語のなかへと旅立てることになった。
ドン・キホーテの世界でわたしが知っているのは、テリーギリアムのジョナサンプライスだけだし、ドン・キホーテの映画制作はなにかの呪いのようにことごとく頓挫するっていうへんてこな現実があったということだけ。あとはブレッソンの「湖のランスロ」で、かちゃかゃ鳴っていた滑稽なほど重たそうな鎧兜の合奏が聴こえてくる。言及されている(攻撃されている)騎士道物語なんて読んだこともないけれど、彼のそのユーモアとアイロニーに一瞬にして虜になっちゃった。お笑い のさきがけが、16世紀のスペインにあったのではないか? なんておもってしまうほどの。
語られるのは、旅のはじまり、失われていた頁と第一の作者。恋に破れた身勝手な男の埋葬と独りよがりな詩。ふんだりけったり。
そしてなんとも人びとのあたたかいこと。狂気をいったん受けいれる、そんな寛容も心地いい。なんど声を出して笑ってしまったことだろう。なんてあわれでかっこいいのだろう。
さて、これからどんなさらなる悲劇(喜劇)が待ちうけているのかな。
「なんでも世間の噂では、詩人病というのは不治の病いで、おまけに伝染するというではありませんか。」
「そうだ、一途な愛こそ幸いで
昔ながらの愛の圧制に屈すれば
屈するほどその魂は自由なり。」
「《恋》という名の暴君は
それゆえ版図を広げたり。」
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400年前の小説とは思えない!
ちゃんと前振りがあってギャグが発動するとかね。
「機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ第一部 第一章 名高き郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャの人柄、および生活ぶりについて」
ラノベのタイトルみたいじゃないですか! -
作品は若干のんびりしてるけど、周りに何言われても、自分で作り上げた世界に突っ込んでいくドン・キホーテ見てると元気出る!そんで行く先々でトラブルを巻き起こすドン・キホーテとサンチョって「トラック野郎」とか「こち亀」っぽい!
こんにちは。
私もちょうど「ドン・キホーテ連続読書会」参加しながら読んでいるところです!
200ページまで読んだと...
こんにちは。
私もちょうど「ドン・キホーテ連続読書会」参加しながら読んでいるところです!
200ページまで読んだところですが、思ったより読みやすかったです。
序文で「かっこいい序文なんて書けないって相談したら、パクればいいって言われたんだ」とか、途中で「この決闘の決着がアラビア原著にかかれていないから必死で探した!」みたいに作者が顔を出してきて面白いですよね。
私は読書会で2年がかりで読了する予定ですので、ゆーーっくり読んでいきます。(…連続読書会に興味あれば一緒にいかがででしょう…、、すみません、一応声掛けだけですので合わない場合は気にしないでください)