ドン・キホーテ (後篇1) (ワイド版岩波文庫 332)

  • 岩波書店 (2010年12月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784000073325

感想・レビュー・書評

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  • 後篇の序文もまたおもしろおかしくはじまる。ドン・キホーテの後篇を勝手に書いて出版したという作家へのメッセージ(文句)がぶつぶつ、と。
    そして前篇での答え合わせのような会話と自虐からはじまる本編。ハメーテ・ベンネヘーリの書いた「ドン・キホーテ前篇」を読んだものたちも登場し、第二の作者(セルバンテス)によって、だれかの偽作であるという疑いの箇所(会話)がもりこまれたりと、なんとも愉快。後篇が少し時を経て書かれたことの妙なのかも。
    呑気なライオンが可愛くて可哀想だし、途中で立ち寄った婚礼の祝祭も狂気と美しさがないまぜになったサイケデリックなひととき(「ミッドサマー」みたい)で、なんともおもしろかった。
    そしてなんだかドン・キホーテの狂気に変化があらわれてきた??変わってきたのはそれとも、ドン・キホーテの狂気のほどを知った、わたしたちじしん?? わたしたちが演じているいくつもの わたしたち が、蜃気楼の向こうでゆらめいてる。

    こんかいもいろんな悪態がとびかうのだけれど、この巻でのぴかいちは、「悪意の南京袋め!」でした。



    「それどころか現在では、怠惰が勤勉に対して勝利を収め、無為が艱難辛苦にとってかわり、悪習に徳行が凌駕され、傲慢が勇気を追いやり、はたまた、かの黄金の時代に遍歴の騎士たちのあいだにおいてのみ生彩を放っていた武芸の実践にかわって、理屈ばかりが時を得顔じゃ。」

    「しょせん女ってものは、その亭主に、それがどんなに間抜けであろうとも、亭主の命令に従うという重荷を背負って生まれてきたんから。」

    「狂気のほうが思慮深さより、より多くの仲間や取り巻き連を集めるもの、なんて言うね。」

    「死ぬことはわが喜びと
    思えども さにあらず
    よくよく思考をめぐらせば
    われに命を与えしは
    「不安に満ちた未来の希望」」

  • メタフィクションな要素が散見される。
    後編(一)の本巻冒頭「読者への序文」において、"贋作ドン・キホーテ"が世に出回っており、それを駆逐するために本作を書き始めたのだ、と作者が述べる。 このへん、斬新である。

    また道中でも、出版されたあの物語のドン・キホーテ氏…なんですね、というふうに認知されている。

    〈第三章〉
    騎士「すると、わしのことを描いた物語があり、それを著わしたのがモーロの賢者であるというのは本当でござるか?」
    学士「…その本はこれまでに1万2千部のうえ印刷されているはずですからね。…」 …〈p60〉

    …かようなしつらえ、びっくりである。 

    後編、ドン・キホーテと従士サンチョ・パンサの二人は再び旅に出る。
    遍歴と冒険を求める旅である。なのだが、冒険とはいっても、騎士ドン・キホーテが道中でさまざまな事件を引き起こすエピソードの数々である。

    道中で荷車で移動中の旅芸人一座に出会う場面はちょっと面白い。死神、天使、皇帝、騎士などの姿形、いでたちの者たちの異様な一群なのだ。見事な絵柄で、さすがのドン・キホーテもはじめ、ちょっとうろたえる。この一団、実は『死の宮廷』という生体神秘劇を上演してまわる一座で、次の公演地が近いため、衣装替えの手間をはぶいて、舞台衣装のまま馬車移動していたのだ。わたしが映画化するならぜったい外せない場面。前編の風車の巨人との対決よりも面白い絵づらだ。
    他にも、アフリカから移送途中のライオンに出会う場面もばかばかしくてよい。宮廷に献上されるライオンなのだが、ドン・キホーテは、このライオンに戦いを挑むのであった。

    他にもいくつかのエピソードが記される。
    騎士は、他者に対して騎士道の正義感をふりかざして長広舌の説教を打ち、そのあと、槍や剣をふるって強引に介入する、というパタンである。それぞれの場面は、スラップスティックな修羅場なのだが、それが幾度か繰り返されるため、物語としてはなんだか平板な印象が募ってくる。

    さて、前編であれば、旅先の旅籠屋を城と思い込んでしまうドン・キホーテだが、この巻では旅籠屋をありのままに認識している。また、従士サンチョは「美しい思い姫」の代わりに横着して田舎娘を騎士ドン・キホーテに引き合わせたのだが、騎士は、彼女たちを不美人な百姓娘としてありのまま捉える。かような具合で、騎士ドン・キホーテのありようが少し変わってきているのだった。

  • のんびりしてる時もあるけど、明るくて良い!元気出る!
    作品の先が読めないのも読んでてワクワクするし、メタフィクションの描写も作品に幅があって読んでて楽しい!

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著者プロフィール

Miguel de Cervantes Saavedra(1547 – 1616)

「2012年 『新訳 ドン・キホーテ【後編】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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